劇場公開日 2021年12月24日

「めちゃくちゃ面白い→民主主義に大切なこと」香川1区 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0めちゃくちゃ面白い→民主主義に大切なこと

2022年1月26日
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鑑賞方法:映画館

「なぜ君は総理大臣になれないのか」で、32歳で政治の世界に飛び込んだ小川さん(淳也)の17年間を描いた大島監督、前田プロデューサーが、「50歳までやったらやめる」と言っていた小川さんのその後(2021年。4/18の議員宿舎から10/30の衆議院議員選挙、11/30の立憲民主党代表選まで)を撮った映画。

めちゃくちゃ面白い。156分があっという間。

その小川さんが50歳になった年に総選挙があり、デジタル庁を立ち上げた前大臣である平井氏との激戦区香川1区で初めて勝利するという、映画のエンタメ的要素としては、願ってもなかなか叶わない状況が起きる。もちろんドキュメンタリー映画なので、単なる事実なのだが、この劇的要素が撮れたことはこの映画のヒットに無縁ではないだろうな。

事実に基づいているが作為的に適度なエンタメ要素も組み込んだ映画も、多くの人が史実を知るために必要だなぁと日頃から思う自分だが(注1)、この映画は事実だけでエンタメ要素も組み込むことができた奇跡的な映画だ。

一方それだけに、観た俺としては「小川が勝った。平井ざまあみろ」といったエクスタシーに浸って終わりたくはない。

小川さんが言う「民主主義とは、勝った51の側が、負けた49の側をいかに背負うか」。民主主義に大切なことは、観た俺に大切なことは、この言葉なのだろう。「負けたんだからお前ら黙ってろ」ではないし「勝った俺たちが言うことに従え」ではないのだ。国民である俺たちが代表となる人を選んでいるだけで、誰が、どちらが選ばれようが、全国民の代表の一人である点には変わりがないのだから。それをちゃんと言える小川さん。そして日頃から「真っ直ぐすぎて溜め息が出ちゃう時がある」と母や娘が「どんなアンチな人に対しても、お父さんは話を聞きに行くよ」と語ったセリフで、小川さんの言葉は嘘ではなさそうなこと。この2点から、自分も小川さんの今後に期待する。

また、平井さん陣営の支援者がたびたび撮影を妨害するエピソードも、「悪いヤツだな」という紋切り型で終えるのでなく、勝つか負けるかの極限状況では、人は判断力を失いかねない、ということを俺に実例として示してくれたと考えよう。

こうした映画は、民主主義の基本もまだはっきりとわからないままに暮らしている俺への貴重なメッセージだと思うから。

追伸
「なぜ君は総理大臣になれないのか」でも書いたが、彼も妻も二人の娘も、いずれも鼻につかないタイプの美男美女であることは肝のひとつだなぁと再び感じた。

注1:作為的にエンタメ要素も組み込む:もちろん作為的と言っても、伝えるべき事実を違えることがないエンタメ要素であることは絶対必要:このあたりは「タクシー運転手」のレビューをご覧ください。

CB
こころさんのコメント
2022年1月26日

CBさん
私も156分の長さを全く感じませんでした。慢心せず、謙虚に取り組んで下さる政治家が増える事を願っています。

こころ