「なんか色々とエグい」さがす クマチキチさんの映画レビュー(感想・評価)
なんか色々とエグい
街の雑踏とか…路地裏とか…佐藤二朗とか…汚らしくもあるが、同時に何処か懐かしく人情味に溢れた映像から物語は始まり…まさか、こんな結末を迎えるとは。
一時、ニュースで話題になったアレやコレ…社会の歪みが生み出した、いわゆる「猟奇的な事件」が題材として扱われており、それなりにえげつない映像も情け容赦なく描写されている。
物語は、人の業に導かれるように、闇に向かって突き進んで行く…
あまりにも暗すぎる題材だが、あえて暗く描きすぎず、飄々とした掛け合いや日常の景色を交えて描くことで、そこに存在するものの異様さがより生々しく浮き彫りになっていると感じた。
奥さんの心理描写や、殺人鬼の「本気で死にたいやつなんて…云々」といったセリフは心にくるものがあり、大いに考えさせられるものがあった。
我々、一般人の多くは、他者との繋がりの中で生活をしている。だから、誰かが不意に口にした「もう、死にたい」の言葉は、往々にして「まず、誰かに自分の境遇(気持ち)を分かって欲しい」という願いが込められた「救い」を求める言葉なのだ。要するに「何か救いがなければ、自分は死ぬしかありません、誰か助けて下さい」と言っているに他ならないのである。
ストーリーな大きな破綻は見受けられないし、足りないピースを想像するのも楽しい(娘はいつから気づいてたんだろうね…)、実によく出来た作品だと思うが、作中に吹き荒れる「性」と「強欲」の嵐に当てられて、なんか疲れちゃった。
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