「振り回される」さがす キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
振り回される
佐藤二朗って、個人的には苦手な俳優なんだけど、本作はその嫌いな感じが功を奏している。
どうなっていくのか読めない展開に観客は振り回されて、それでもラストはしっかり泣かされる。
人間、決して100%の善人ではあり得ない。それでも、自分にとって「正しきコト」に向かって生きていくしかなくて。でもその正しさとは、決して「法律」や「モラル」ではない。
いろんな意味でキツいシーンも多い作品だが、娘役の伊藤蒼が出てくるとホッとする。
そのくらい映画全体を彼女の存在が支配しているのは間違いない。
特に物語が転がり出す手前。
彼女の周辺で描かれる大人たちの姿が、まさに我々であり、子供たちにとっての世界そのもの。
「悪意なく、子供たちを追い詰め、傷付けていく」
映画のラストシーンのあと、彼女はこの世界で独りで生きていくのだ。
こんなバッドエンドがあるだろうか。
でも、これが大人のしつらえた「ベストエンド」。
「何を探してるの?」
劇場を出ても、心の中で皮肉に繰り返される。
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