「極力前情報無しに見てほしい有料コンテンツ」さがす とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
極力前情報無しに見てほしい有料コンテンツ
貧困と障害、西成区が象徴する生々しい底辺の生活や現代社会の闇="病み"と生きづらさ。そして本来そういう人たちの受け皿であるべきにも関わらず手を差し伸べない行政(教師、警察)。しっかりとエンタメしながら根本やテーマは『岬の兄妹』から一貫して何も変わっていない作家主義。見たくないものまで見させられる力強さみたいなものは揺らいでいない、作り手として嘘のない本気が胸ぐらを掴まれるようにヒシヒシと伝わってくる。日本映画と日本社会に大きなクエスチョンを突きつけるように、予告からいい意味で印象がガラッと変わる作品!大義と金儲け、責任感や意義あることもいつか薄れて変わっていってしまうのだろうか…。
本当の汚さとは?生きたいと思っても生きられない人がいる世の中で簡単に"死にたい"とか言っちゃいけないなと思った。と同時に自分もいつそっち側に行ってもおかしくないなとも思う。それくらい片山監督は他人事では済ませてくれない。それを可能にする演者の力。『空白』に続き一貫した出演軸、ブレない作品選びで、役柄に類似点も見出だせる伊東蒼。眉毛の下がった幸薄そうな顔だからか(かわいいけど!)不幸せなさまがよく似合い、韓国ノワールの刑事役ばりに走らされる。また、ずっと『ミスミソウ』の終盤みたいな清水尋也の狂気。そして監督自らオファーしたという佐藤二朗もいい意味で彼らしくも、役者としての懐の深さをしっかりと感じさせられた。福田作品には絶対ない魅力!見事な適材適所的キャスティングとそれに全力で応える役者陣の熱演にタジタジ。予期せず笑いどころもあった。ログアウト。
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