劇場公開日 2023年6月16日

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「ここに行き着くか…」カード・カウンター MARさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ここに行き着くか…

2023年6月20日
PCから投稿

悲しい

難しい

10年の刑期を終え出所した男と、ある人物への復讐を企てる青年が出会い、お互いが持つ微妙に重なる闇を認めながらその行く末を描いていく物語。

本作、ギャンブルをして過ごす寡黙な男が主人公だが、ギャンブル自体にそんなに重きを置いているわけではなかったですね。てっきり、アレコレあって最後には大逆転‼みたいな作品かと思ったが。。

実態は、米国のイラク侵攻でのアブグレイブ捕虜収容所にて行われた、非人道的行為を発端に逮捕されたウィリアムと、悪徳大佐の所為で元軍人の父が自殺してしまった青年との関りを静かに、そして重厚に描いたドラマ作品。

話はやや小難しいし、テンションはずっと低いし、最序盤のカードカウンターの説明も私にはチンプンカンプン。

よって、ゾクッとしたり大興奮するような展開もないのですが、オスカー氏の力強くも、脆さが見え隠れする男の演技にズッポリと魅せられる。そして…やっぱり復讐と言うのは虚しいものなのか。。

元はと言えば、収容所でのひどい行為の数々も、テロに対する復讐行為とも言えるし。。その虚しさに気づいたからこそ、ウィリアムはあんな感じになったのだろうし。

だからこそのカークに対する接し方。それなのに結局は…。

復讐の輪廻の悲しさを伝えるとともに、壊れかけの人生に救いを垣間見せるような、メッセージ性の強い作品だった。

MAR