ロスト・ドーターのレビュー・感想・評価
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一筋縄ではいかない魅力的な要素満載の海辺のドラマ
海辺の街に1人バカンスで訪れた中年の大学教授、レイダが、ビーチで見かけた若い母親と幼い娘のやり取りを見て、とんでもない行動に出る。そこには、レイダが過去に置いてきた娘との苦い思い出が関係しているようだ。
そこから始まる物語は、中年女性の旅先の恋を描いた『旅情』でもなく、南仏の別荘を訪れたミステリー作家が、そこで出会った奔放な若い女性から創作意欲をもらう『スイミング・プール』でもなく、つまり、ラブロマンスでもミステリーでもない。レイダが抱え込む心の闇が、女性にはあって当たり前のものとして語られる母性への葛藤と結びついていることがわかる、けっこう斬新でチャレンジングな内容だ。そこが監督のマギー・ギレンホールが本作に託したテーマなのだろう。簡単にジャンル映画にカテゴライズさせないという意気込みを感じるのだ。
美しすぎる若妻、なくなった人形、若くてハンサムなビーチボーイ、鍔の広い麦わら帽子を止めるハットピン、それらが話の端々に危険なアイテムとして挟み込まれている。こんなにダークなオリビア・コールマンは見たことがないし、ダコタ・ジョンソンの洗練された身のこなしには引き込まれる。一筋縄ではいかないが、映画ファンの興味をくすぐる要素満載の1作であることは間違いない。
かなり濃いいが名画感漂う
初めて観る監督の作品だが聞き馴染み多い役者陣と、夏の終わりの海を感じたくて鑑賞。
何となく不穏な空気の中、クセは強いがなかなか味のあるオープニングに期待高まるが…なんだこの独特過ぎる作風は。至近距離からのカメラワークも本作の生々しい雰囲気に拍車をかける。
そしてタイトル通り「娘」がテーマなのだが、幼い女の子の無邪気で残酷な面が絶妙に表現されていて、いたたまれなさが胸に突き刺さる。
そして、役者陣の演技も闇がうまく表現されていて凄みすら感じる。オスカー女優オリヴィア・コールマンは言わずもがなだが、ダコタ・ジョンソンのヤンママ熱演ぶりも想像以上にはまっていて印象深い。
これはかなり濃い作品だが、どことなく名画感も漂うあたり、個人的には結構好きかも知れない。
子育て女性の生き方の分岐点の苦悩を理屈でなく感覚的にクローズアップした作品
他の方のレビューを読むと、推測ながら女性の方々の評価があまり高くなく、男性がやや高めかと思われる。
これも推測なのだが、女性にとっては自分の嫌な時期を思い出させる心理的な抵抗があるのではないか、そして男性はこれだけ若い母親の感覚的な子育てと自由や性欲、社会的な承認欲求との葛藤を見たことがないから、ついつい高くつけてしまうのでは…?? ま、全部想像であるww
できるだけ正直になろうとするなら、残念ながら小生にはこうした子育てする若い女性の妻であり母であり社会人であり…という生き方の分岐点の苦悩や、一時的にも母性を捨てた心的外傷は理解できかねる。だから、「ああ、こういう感情や欲望のアマルガムに晒されてるんだろうな」という感想しか出て来ない。
主人公が一時、娘を心理的に捨てても、その後は母娘関係を復活させているし、決して大事に至ってしまったわけではないが、大事に至ってしまう母子も多数いる。その根底にはこうした苦悩があることを、理屈ではなく感覚的にクローズアップして描いたのが本作だと、小生は理屈で理解するw
こうした苦悩は恐らく日常では「誰でも経験していること」と、大きな問題にされることもないので、いざ映画作品になってみると斬新に見え、大きな映画賞で話題になったのではなかろうか。
ただ、これらに加えて、日本には渡る世間は何とやらの恐るべき嫁姑問題があり、鬼姑に捕まったら生涯ブラック企業就職などのジョークもあり、確かにこれじゃ結婚なんかしたくねえだろーなwなどと余計なことを思ってしまうのであった。
ダコタ・ジョンソン綺麗
2023年7月31日
映画 #ロスト・ドーター (2021年)鑑賞
主演の #オリヴィア・コールマン の演技はさすがだが、脚本的には今ひとつしっくりこない。育児ストレスで、子供を捨て仕事上の上司の元へ走るのは分かるが、そこから後の展開がはっきり描かれていないので何だかな?という気持ちになる。
見る人を選ぶ作品。
子供を持つことで発生する「母」という女性にとって束縛的な面を、一度娘を捨てた母親の追想で描き出す作品。ギリシャで1人休暇している現在パートと、子育てに自分の諸々を抑圧されている若き頃と、渾然とした構成で進んでいく。特に現在パートでは敢えて観る者にこの母親に移入させない作りで、不条理劇のような緊張感を狙っている様だが、スローなテンポでただただ焦れったい。何かのメタファーになってるんだろうアイテムも幾つか出てくるが、その意図も良く解らんままだし、トラウマを克服したきっかけも明確になっていないから後味も非常に悪い。かなり見る人を選ぶ間口の狭い映画で、正直男というのが多分に在るのだろうが、何を云わんとしてるのかまるで良く解らん映画だった。
気持ちがずっとザワザワとして居心地が悪く、感動も共感もないまま終わ...
気持ちがずっとザワザワとして居心地が悪く、感動も共感もないまま終わってしまった。このザワザワ感はコールマンの見事な演技によるもの、この巧みな演技力だけが光っていた。
始まった瞬間から
なんだか知らないが、見始めたその瞬間からものすごく雰囲気が良かった。構図やら、色やら、音楽などが相まってとにかく良い感じ。そしてそれは最初だけではなくて最後までオシャレで、カッコ良かった。主演の女性の魅力もかなりあったと思う。彼女の演技、表情には常に惹き付けられた。
ある女の人生の後悔や罪悪感や劣等感や嫉妬なんかのごった煮を、めちゃくちゃセンス良く堪能しました!
ロスト・ドーターなお話…
リゾートの浜辺に現れた中年女性。
彼女はなぜここに現れたのか…。
前半何の話?って感じだけど、だんだん重い話になっていくのよね。
現実でもよくある話だと思う。
まさにロスト・ドーターなお話…
いや、Abandoned daughterな話。
みせますね
マギー・ギレンホール特に気にしたことのない女優でしたが監督のほうがいいかもしれません。タイトルとか最初の方の描写で娘を亡くしたのかと思って見てたけど一筋縄では行かない。周りの人も善人なのか悪人なのかこちらも一筋縄ではいかない。オリビア・コールマンって女王陛下のお気に入りで初めて認識したけどホントにいい女優。この人の不安な表情ってこちらまで不安になる。
理解が難しいけど共感はできる
海辺のコテージで一人バケーションを過ごす中年女性の不可解な言動。少しずつ明かされる彼女の過去を知ってもなお、全てが理解できたわけではありません。
ですが、母親になること子供を育てることの過酷さや代償がダイレクトに伝わり、後悔や自責の念での苦しさに胸が痛みました。
「私には母性がないの」という台詞、刺さりました。
やっぱり子供を産み育てるって、生半可な覚悟じゃできないことだなぁ…。
曖昧な表現に終始しなかなか難解な造りでしたが、不思議と退屈せずに観ることができました。
何なんだよ。この気持ちの悪い映画は。
劇中のセリフ「あんたビョーキよ」その通り。
いい年したメンヘラのおばさん。
知的な映画ですよ~の傲慢な演出が腹立たしい。
自己満足マスターベーション映画、何の益もない、waste of my time.
ちなみに私も子供が嫌い、だから生んでません。
己を知らずに人生の選択間違えて後悔してる奴とか、ほんと女々しくて嫌い。
成功と挫折
大学の教授が滞在型リゾートに仕事できていた。
彼女はどこから見ても成功者。自分の道を堂々と進んでいるように見えた。
でも、彼女の中には蓋をしてしまい込んだ闇があった。
リゾート地のファミリー、妊婦、子育てに悩む若いママ、
これらが引き金となって、過去の闇の中に落ちていく。
子育ては自分の違う面が垣間見えて怖いことがあるけれど、彼女も思っていたより向いてない自分に戸惑ったのではないか。逃げ出して戻ってきたけれど、大きな挫折感となって残ったのだろう。
主演のオリヴィア・コールマンの演技は素晴らしかった。
エーゲ海でも癒されないその本性
穏やかな保養地で ちょっとついていないような 日から始まる主人公の目線、心模様、発展していく事象が興味深く否が応でも そのパーソナルが作り出す世界はただ傍観することしかできない。
気持ち悪い。そこが良い。
支持。
母性本能なる非科学的なマスコミの造語から女達を引き摺り離すには、
この気持ち悪さと向き合わねば、
という撮る動機と覚悟が滲み出る。
サスペンスフルで尚も情緒的なエンタメとしても成立。
こんなに居心地が悪い映画を他に知らぬかも。
劇場で見たかった。
どの選択肢をとって生きるか
母性とはなにか。そもそも存在するのか。
自分の人生を謳歌する前に誰かの人生の責任を負う立場になったら。
子どもに何度も呼ばれたり、傷にキスしてと泣いてせがまれたり、くだらないケンカの仲裁、ものを大事にしない、何度も叩いてくる。
観るものが自分が経験したことばかりで、母親である彼女の反応も同じようで、胸がギュッとなった。
私も自分の幼少期に大切にしていた絵本を子どもに渡したら破かれて発狂したことを思い出した。。小さい子に渡した自分が悪かった。
小さいうちだから仕方ない、そのうち収まると言われたらそうなんだろうけど、いま対面してる当事者は関係ない。
今がつらいんだよな。
終始不穏で、不良たちや他人の目線がきつくて、誰かが彼女に接近する度、冒頭のシーンを繋ぎ合わせては不安でドキドキした。
ラストで彼女の過去のトラウマが少しでも成仏できていたらいい。
本気で「死ぬかも」と思った経験があれば、吹っ切れるのかな。
彼女は素直で大胆だから、離れる行動ができたけど、大多数はそんなこと考えても実行できない。
どっちの道を選んでも苦しいとは、詰むなあ。
特に印象的なシーンは夫が泣きついてきたところだった。
苦しいときに苦しさをわかりあって、楽しさを共有して、助け合える身近な存在を大切にしたい。
辛いときこそ癒しあって支え合いたい。
若い母親、自分の欲求を忘れてあんなに怒れるなら子供を愛せてる。大丈夫だよニーナ。
母親が完璧である必要はない
母親である前に一人の女であることを優先するレダ(オリヴィア・コールマン・ジェシー・バックリー)の葛藤が弱いように感じるが、そもそも葛藤という概念ではなく「なぜわたしだけ?」という意識なのかもしれない。
女性の教育向上と社会進出に対して男性の古い考え方が現状のままであれば、こういった母親がますます顕在化するだろう。そもそも母親が完璧である必要はないというのだが。
ところでダコタ・ジョンソンの瞳の色はホンモノか?
癖になる女優
『The clown 』と『ファザー』で釘付けになったオリヴィア・コールマン
『ロブスター』であっ!と気がついて
その後際立ったのが『女王陛下のお気に入り』あれはすごかった…
ということですっかり癖になってしまって、この人の顔を(怖いもの見たさ)な自分が悪趣味なのか
この『ロスト・ドーター』の内容もかなりな悪趣味で嫌な気持ちしかしない
あたしは子育て期が遅く、いい中年になってからだったので落ち着いていたし、不妊治療の賜物だったので幸せな子育てだったけど(一男一女)
同級生に「子供が可愛いと思えない」(男子二人)という深刻な悩みを聞いたことがあったので
こういう気の毒な不穏を抱える女性を否定せず思う事もできる
そこを良く演じているな、と二人の女優に対して敬服する
話はすごく複層的で、主演女優もチャーミングだった。娘がまとわりつい...
話はすごく複層的で、主演女優もチャーミングだった。娘がまとわりついてくる感じがニーナと重なり、ニーナとの微妙な関係がよかった。言葉に対する彼女の関心と、人への人なつっこい関係のとり方が隣接している気がする。人形は、彼女にとっては、自分が与えられなかった母からの愛の代理物でもあるのか。
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