ある男のレビュー・感想・評価
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結局、曽根崎はどこ?
結婚した相手が偽戸籍だったので誰であるかを調べた結果、やっぱり調べなくても良かった、一緒に暮らした日々さえあればみたいな感想を述べることも、死刑囚の実の孫であることを娘に伝える役を息子に買って出させるのも、被害者ではありますが、無責任な母親だなぁと思いました。
調べる前から、偽戸籍である事情がポジティブであるわけがないとわかっているはずで、自身が犯罪者でなければ家族に犯罪者がいることくらいしか思いつきません。映画の予告編を見た時点でそう予想していましたが、結局その通り。何の罪もない死刑囚の息子が苦しむ軌跡を辿って理解したつもりになっただけ、何も誰も救われません。将来、娘は、戸籍の父親欄が空白になっているか死刑囚の息子の名前が入っているのを知るわけで、父親違いの兄から何言われたとしても、新たな悲劇しか待っていないでしょう。
それと、妻夫木聡扮する弁護士が在日三世と一目で見抜かれるというシーンに驚きました。全く見えないですからね。でも、戸籍偽造業者は会う度に「在日、在日」と連呼して五月蝿いし、在日問題を死刑囚の子供と同列視しようとしているのか、とても違和感がありました。
ラストシーンで弁護士が温泉宿の次男坊を名乗っているのにも呆れました。浮気かつ託卵かもしれない妻に嫌気が差したので、逃げてるんですかね?
で、結局、曽根崎はどこの誰なんでしょう、スッキリしないんですが。
サスペンス?ミステリー?社会派ドラマ? 主人公が途中、里枝から城戸...
サスペンス?ミステリー?社会派ドラマ?
主人公が途中、里枝から城戸弁護士に替わり、心理ドラマっぽくなる。
男の正体が分かってからの後半は冗長。
詐欺師とのやり取りは病んだ心の作り出した妄想のように思える。
無神経な義両親に心を削られ、自分の出自を責める声が聞こえるのかと。
キャリアも全て捨て去るほどに。
本物の谷口大祐の兄も相当な無神経ぶり。
眞島さんの空気読めないっぷり。ああいう人いるいる。
里枝の娘は家族が心優しいのが救い。
名前って何だろう。
_φ(・_・不安になったよ。
考えさせられる映画だった。
対比する映画は『ドライブマイカー』だと思う。
あの映画は過去の辛い思いをどうやって折り合いをつけるかってのが描かれていたと思います。誰かとそのことを話す事でその辛い思いは忘れはできないにしろ昇華していくのが描かれていました。
この映画も辛い過去や出自などの逃れられない事に対してどう折り合いをつけるかっていうのがテーマなのかなぁと思います。折り合いをつけるには現在の自分の状態が正常に存在するか?アイデンティティが確立されているかどうかなのでしょうね。里江が折り合いをつける事ができたのは長男の誰だかわからない父が死んで『さびいしいね』の一言と娘の存在が大きかったのでしょう。誰だかわからない父を憎むのではなく、寂しいという現実が折り合いをつけたのだと思います。息子にとって誰だかわからない父ではなく優しい父だったのですね。泣けました。
問題は弁護士の城戸。在日という逃れられない出自、家族は彼とは真逆の人間。妻は浮気、義理の父は差別主義者。彼は折り合いをつける事ができない。孤立した人間だから。
ラストは孤立した人間はどうしたらいいの?という視聴者への問いなんでしょうね。
どちらかと言うと私も孤立しそうな人間で帰り道車を運転しながら不安になりました。
たかが名前、たかが戸籍
観た直後より少し時間置いた方がじわっとくる気がする。名前とか戸籍とかただの人を識別するための記号でしか無いのにやたらと重たい。戸籍ロンダリングって新しい人生を手に入れるというよりこれまでの人生を捨てるってことなのか。
彼はこれまでの人生をちゃんと捨てられたんだろうか。鏡を見て傷つけたくなる自分を最後の3年9ヶ月には捨てることが出来ていたと信じたい。
ホンモノの谷口大祐は何を捨てたかったんかな。家族と上手くいってないことはわかるけど戸籍ロンダリングしてまで捨てたかったモノってどれほどのものだったのかな。そして一切素性がわからない曽根崎という人も。小見浦も。
一方で城戸さんは?在日3世という生い立ちや妻の浮気という現実を捨てずに生きられるのだろうか。
いい映画
「いい映画」だと感じました。ネタバレは驚くようなものではないですが、妻夫木さん、安藤さん、窪田さん、清野さん、柄本さんなどなどキャストがすばらしく、2時間ほぼ引き込まれぱなしでした。
別の人物になる
石川慶監督。
勧められて、なんとなく観たけど、めちゃくちゃ面白かった。
色んな理由で戸籍も変えて別の人物になり、別の人生を歩みたい人の話。誰もが想像はするなー
殺伐とした話なのかと思ったらなかなか考えさせる終わり方で話の伏線もきっちりしてた。
柄本明の不気味さが際立ってた。
ラストのオチの意味は
映画の評価は、時によっては、作品の内容云々よりも、自分が想像していたストーリーでない時は評価が下がったりもするものだ。
そして本作の批評は、オイラにとってはまさにそれ。
ミステリーでの謎解きを期待したが、そういうものではなかった。
【以下、思いっきりネタバレ注意】
そして、ラストのバーでのオチ。みなさんのレヴューを読んでいると、失礼ながら勘違いされている方が多いのでは?
弁護士の城戸は、「私は、伊香保温泉の次男坊で……」と、谷口大祐を連想させて終わるわけだが、あれは、あくまでもそう擬似的に語ってるわけで実際はそうではありませんよね?
何故って、城戸が事務所で書類を叩きつける温泉の兄と谷口里枝と3人で話しをしてます。
大祐なら兄は、当然気が付きますよね?
(オイラの勘違い?)
確かにそれならそれで、恐るべき偶然の確率ではあるもののミステリー好きのどんでん返し作品としては、もしかしたら成立するかもですが。笑
それにしてもやっぱり妻夫木聡は素晴らしい。
“感動”だけでは終わらない、秀逸作
とても面白かったです。
根底には差別問題があり、身元不明の男「大祐」(窪田正孝)が長い間囚われていた苦しみが描かれています。
妻夫木聡演ずる弁護士の城戸と一緒に、物語が進むにつれ、まるで自分の足もとが揺らいでゆくようでした。
里枝(安藤サクラ)とその息子との爽やかな結末とは他所に、家に帰ってから、ラストカットの意味(おそらく)に気づいて震えました。
予告のわりには期待はずれ
それなりに楽しめるけど、映画やドラマ慣れしている人には、期待はずれのよくある筋書き。
また、内容にあまりリアリティが感じられない。死刑囚の子どもとして自分を責めているのに、家庭を作り女の子までもうけている。また、男の子を可愛がるのは、自分もそうしてもらいたかったからなのか?自分のことに精一杯の人間が、他者を思いやる余裕がそこまであるのか?
死刑囚の子どもとしての葛藤や苦しみ、また、おそらく父から受け継いだであろう激しい性格や、幼い時の子育ても含めた心のトラウマの面が描ききれていない。・・それが、映画の迫力を削ぎ、嘘っぽくさせている。
キャストの素晴らしさ
ヒューマンミステリーなので静かな映画だったが
窪田正孝さん、安藤さくらさん
そして妻夫木くんよ
妻夫木くんはこんな感じの静かだが内面に爆弾持ってるような役やらせたら天下一品やわ
話が進むごとに
榎本明さんや清野菜奈さん、仲野太賀さん、でんでんさん…
出るわ出るわ
名演オンパレード
小籔とかもちょうど良い息抜きポイントで
苦悩のあった人生だったけど
戸籍を変えることで
別人として生きる事で
家族、血縁の暗い部分は捨てれたのだろうか。
安藤さくらとの三年数ヶ月は幸せだったのだ。
血は切っても切れないと悩む大祐だったが
安藤さくらの息子、悠人と血の繋がりはなかったが
親子以上の関係を築けたことに
血より愛が優った。
妻夫木くんの奥さんがね。。。
この監督らしい終わり方だと思ったなー
ざわざわ感が抜けない
1番推しのブッキー主演作『ある男』
久しぶりに主演をはると聞いた時……
『キターーー!』と喜んだのを覚えてる😊
彼の芝居、声、仕草…全てが好きなんです😍
あの苦悩する姿とかも…。(推しの前置きはこの位で)
観終わって…
またやられたぁ〰️って気持ちにさせられる作品でした。
ラストが気になる終わり方だし…なぜあの終わり方なのか?
原作未読の私には、またざわざわ感が残った。
窪田くんが謎の男としての存在感がとてもリアルで最後までどういう展開になるのか気になり、誰がどのように戸籍を交換したのかも途中、分からなくなり…
ボトルに名前を貼り説明する場面で少し理解が出来たりと…最後までホント目が離せませんでした。
城戸がファイルを叩きつける場面や面会場面での怒りの芝居にはドキッとさせられ心が締め付けられるほど悲しい気持ちにもさせられました🥺
ただ…一人に焦点を当てたのではなく、城戸にも謎な部分がある事を話を進めるにつれて分かり、あのラストはなぜあの様な展開になったの?
城戸も誰かになりすましたかったの?!
もう ざわざわ感のままエンドロールを迎えました😰
原作を読めば分かるのか❓
このざわざわ感は観終わっても残り…
他の方のレビューを見て少し落ち着きたいと思った。
幸い…Twitterで『ある男』公式さまより
ムビチケオンライン券を頂いたので
もう1回観るチャンスを頂きました😊✨
こりゃなんだ コリアンダー
2022年映画館鑑賞64作品目
11月20日(日)イオンシネマ石巻
ACチケット1000円
原作未読
原作は『マチネの終わりに』の平野啓一郎
ヤフーニュースでお馴染みの人だ
村上春樹も政治的発言はするがTwitterはやらない
コタツ記事ライターは生活費の足しのためTwitterを見るが本は読んでいる暇はない
監督は『愚行録』『蜜蜂と遠雷』『Arc アーク』の石川慶
脚本は『リンダリンダリンダ』『マイ・バック・ページ』『ふがいない僕は空を見た』『愚行録』『マイ・ブロークン・マリコ』の向井康介
再び幸せを掴んだのも束の間に再婚してから数年ののち夫を事故で亡くした谷口里枝
一周忌に訪ねてきた「夫の兄」は遺影を見て夫の谷口大祐は別人だと里枝に告げる
里枝は離婚裁判のときにお世話になった弁護士の城戸に偽の谷口大祐「X」の正体の調査を依頼した
調査の結果Xの本名は死刑囚の息子で元プロボクサー(リングネーム緒形勝利)の原誠
本物の谷口大祐と闇業者小見浦の仲介で戸籍交換したのだ
冒頭はマグリット風の絵画
最後の方で妻夫木の後頭部の前に例の絵というシーンはわりと好き
死刑囚の父も演じた窪田正孝は今回の作品がこれまでの俳優人生の集大成と言える
さまざまな窪田正孝が『ある男』に詰まっている
窪田正孝ファンは必ず映画館で観よう
窪田正孝以上に良かったのは安藤サクラ
彼女の演技力がとにかく素晴らしい
谷口里枝の悲哀と苦悩を安藤サクラが見事に表現した
文房具の店番でひょっとこのように顔を歪ませて涙する里枝
飲食店で病気で亡くなった次男について谷口大祐こと原誠に話す里枝の一連のシーン
などなど
親になったことがない自分でも安藤サクラのチカラで貰い泣きしてしまった
二世俳優というだけでバカにする人は世の中に少なからずいるが「かかってこんかい」とキレたくもなる
奥田瑛二を完全に超えたね
原誠は谷口大祐の前に曽根崎義彦という男と戸籍交換しており谷口大祐は原誠ではなく曽根崎義彦を名乗っていた
原作では登場するであろうヤクザの曽根崎と原誠を名乗る知的障害者田代正蔵は映画には出てこない
城戸弁護士はいわばミステリーものの探偵的役割を担っている
一応城戸弁護士が主役のようだが谷口里枝と谷口大祐こと原誠中心に描かれるべきである
だからこそ城戸が日本に帰化した元在日朝鮮人というエピソードも思い切ってカットするべきだった
作品をより骨太にするため必要だったのかもしれないが曽根崎や田代をカットするなら必ずしも必要とは思えない
古畑任三郎や湯川学や江戸川コナンは朝鮮半島がルーツだろうか
人権派を気取りたいのはわかるが詰め込みすぎだと感じた
在日差別を取り上げることに猛烈に反対するわけではないが扱いによっては在日や帰化人にとても不快な思いをさせてしまうのでないか
『パッチギ』の井筒和幸もそうだったし被差別部落問題を取り上げた平田弘史の漫画『血だるま剣法』にしても然り
差別問題はより慎重さが求められるわけでたとえリベラルの良心だとしても当人たちからすればありがた迷惑になることもある
リベラルが天下を取ったとあまりにも調子にのれば狂信的な保守派を生み出し性的マイノリティーに対する乱射事件が起きてしまう
衝撃的なことは確かだが修復不可能になりつつある分断状態に銃社会では充分に起こりうることだった
あっちを立てればなんとやら人の世は簡単にはいかない
拉致問題慰安婦問題徴用工問題領土問題に加え北朝鮮のミサイルに韓国軍のレーザー照射に旧統一教会などなど課題は尽きない
だとしても自分としては日本で生まれ育ち普通に日本語が話せる彼らを国籍だけで嫌悪することはない
元ヤクルトの上田は大好きだ
日本語がろくに話せないにも関わらずなんとかなるさという軽い気持ちで出稼ぎにやってくるベトナム人男性に比べたらよっぽど好感が持てる
あと坂元愛登の芝居が子役のわりに良かった
子役なりに細かい演技ができてる
映画はとても重い話ではあるが妹役の小野井奈々が可愛くてそれで少しは癒される
里枝からの依頼を受ける弁護士の城戸章良に妻夫木聡
バツイチ子持ちで実家の文房具屋で店番をしている谷口里枝に安藤サクラ
谷口大祐を名乗りのちに里枝と「結婚」するXこと原誠に窪田正孝
本物の谷口大祐の恋人の後藤美涼に清野菜名
本物の谷口大祐の兄で伊香保温泉の宿を経営している谷口恭一に眞島秀和
城戸の相棒をしている弁護士の中北に小籔千豊
里枝の前夫との間に生まれた長男で中学生になった谷口悠人に坂元愛登
谷口大祐こと原誠と里枝の間に生まれた長女の花に小野井奈々
里枝の母に武本初江に山口美也子
章良の妻・城戸香織に真木よう子
谷口大祐こと原誠が勤めていた林産会社社長の伊東にきたろう
ボクサー時代の原誠のガールフレンド茜に河合優実
原誠が所属していたボクシングジムの会長の小菅にでんでん
小菅が経営するボクシングジムのトレーナー柳沢にカトウシンスケ
香織の父にモロ師岡
香織の母に池上季実子
美涼が勤める店のバーテンダーに芹澤興人
香織の不倫相手に矢柴俊博
温泉宿の次男坊で本物の谷口大祐に仲野太賀
戸籍交換のブローカーもやっていた詐欺師の小見浦憲男に柄本明
人生は上書きできるのか
サスペンスやミステリを期待していたが、人間ドラマの色が濃かったかな。
演技に関しては全員素晴らしかった。
今回は特に柄本明の底知れなさを感じる怪演が残る。
脇を含めて隙なし。(河合優実はもっと観たい)
反面、脚本はややまとまりに欠けた印象。
最後に真木よう子の浮気や妻夫木くんの騙りが入ったことで、『誰もが仮面を被っているし、誰かになりたいと思っている』という有り触れた結論に見えてしまった。
「真実を知らなくてもよかった」というところで締めた方が綺麗だったのでは。
まぁそうすると、様々に描いた差別や偏見が無駄になってしまうのですが。。
しかし、窪田くんはボクシングジム周りの人間関係には恵まれてたハズなのに、それでも足りなかったのか。
そこから2回も戸籍を変えた、その背景や心情を知りたい。
鏡に自分の後頭部が写ったら?どんな世界が見えるんだろうか?
3年9ヶ月愛した旦那が、ある日突然に「ある男X」になる。そんな状況に巻き込まれて翻弄する里枝(安藤サクラ)が真相を探る為に弁護士の城戸(妻夫木聡)に依頼することから始まるミステリー。城戸はこの依頼に仕事を超えて、自らの出自と重ねるようにのめり込んでいく。
在日、戸籍、差別、なりすましが主なテーマの原作だけに、かなり複雑で重い。しかし最後まで目が離せない脚本と演出はお見事❗️
死刑囚の息子が暗い過去を塗り変えたことは全く違和感はない。自分だってそう思うだろう。
城戸と小見浦(柄本明)の刑務所のやり取りが今作の見所。城戸に向かって小見浦が言う。「先生はなんで私が、小見浦ってわかるんですか?顔に書いてありますか?」このセリフに少しゾッとすると同時に、戸籍なんてただの紙切れなんだよなあと思う。ラストの城戸のバーのシーンと奇妙な絵がなにか色んな想像をさせながら締めてくれた。キャストの感想。窪田正孝のボクサー役は凄い。「初恋」を思い出した。安藤サクラさんは気丈な母親役を見事に演じてました。その義父の柄本明の短いシーンだが謎解きの鍵になる役を怪演。わざとらしい関西弁が逆に面白い。清野菜々さん今年は何本映画撮ってるんだ〜?売れっ子ですね。でんでんも何やらせてもしっくりくるなぁ。仲野太賀はラスト一瞬だけ贅沢に使いましたね。
久々の骨太の邦画ミステリー満足でした👍
ミステリーとしての雰囲気は最高 だが、あの人物の描写がないのが残念
里枝(安藤サクラ)が大祐という人物と再婚して、大祐が事故で死亡した後、大祐が実物とは別人と判明するところから始まる物語です。
結局、原という男が曽根崎という人物と戸籍交換し、さらに大祐と戸籍交換したことが判明します。
肝心の曽根崎という人物についての描写がないため、説明不足に感じました。
最後の弁護士の城戸についても、なりすましを匂わせながら幕を閉じましたが、衝撃はそれ程ありませんでした。
ミステリー映画としての雰囲気は最高ですが、曽根崎という人物の描写は、ある程度いれるべきだったと思います。
追記 ミステリー映画としての引き込み度は、今年のトップクラスだと思います。
塗り替えたい人生
ずいぶん前に原作を読んだが、正直 その時には
それほどピンとくる感じではなかった。
…が、しかし役者に惹かれて鑑賞。
個人的には、原作より分かりやすく面白かった。
安藤サクラは、まさに田舎町の文具屋さんにピッタリの
配役だったし、窪田正孝も親の罪を背負ったような
苦しみを切なく演じている。
それに、妻夫木聡は登場した際に、おやっと思うくらい
雰囲気が変わっていて、弁護士という富裕層の立ち位置と
在日という生まれを背負っている複雑な生い立ちを
良く表現していた。
生きてきたことを何もかもリセットしたい。
そんなふうに思う人は多いのだろう。
この作品は、見方によってそちらにも重心が
置けるし、また 安藤サクラの「ある男」が
結局は、誰でも良かったという「愛」の物語として
感じることもできる、とても面白い映画と思う。
しかし、江本明はどの作品に出てもどんな性格
の人物でも、いったい演技なのか本人なのか…
彼が出演することで、作品の深みが数倍上がる
ようなきがする。
目に見たり、自分が感じた事以外知る必要はあるのか?
人は誰しもが知られたくないことはあるし、話したい事がある。しかし、僕達は色々知りたがるし、噂などに色々踊らされ、その人のイメージを勝手に決めてしまって色眼鏡で見てしまっている。
しかも本人が犯したわけでもないのに、家族であったり、その周りが何かをしたからといって、その人自身が同じと思ったり、否定したりする事は違うが、僕ははそうした部分で同じ括りとして見てしまっている気がして自分の考え方など考えさせられました。
自分が見て感じた部分だけで良いはずなのに。
安藤さくらさんが言っていた、やはり別に知らなくても良かった、みたいなセリフがなんかその通りだなと思いました。もちろん子供の戸籍などはどうするねんみたいな事は抜きにして。
しかしラストのメールの場面も見ると、知ろうとしないとわからない事もあるし、逆に言うと知らない事が幸せな事もあるのかなっと思ったりしました。
最後バーでの話で思ったのですが、これは自分だけなのかもしれませんが、初めて飲み屋で会った人に、仲のいい友達や家族に言えない事を喋ってしまのかなと思ったのですが、それはきっと自分の事を知らないし、自分のバックボーンなど知らないから話せるんだなと思いました。そういう時は自分も何故か本屋で働いてると偽ってたなというどうでもいい事を思い出して映画館を後にしました。
血に抗い、名を変える意味。
原作は未読です。
愛に、過去は必要ですか?
芥川賞作家・平野啓一郎氏の同名小説を「愚行録」で知られる石川慶監督が描くヒューマン・ミステリーです。
妻夫木聡・安藤サクラ・窪田正孝、俳優陣は三者三様の何役を熱演で、物語がとても引き締まりました。きっと、来年の賞レースを席巻すると私は確信しました!!
本編は、重厚なストーリーに、この上ない切ない展開で、登場人物の掘り下げも深く丁寧に描いているので、私は序盤から物語に惹き込まれました。
ヒューマン&サスペンス&ラブストーリー&ミステリー、様々なテーマが乱立していますが、ひとつとして悪目立ちせずに自然に溶け込んでいました。まさに石川慶監督の真骨頂であり、プロの手腕に感服しました。
一度は他人と変わってみたい願望がある。
結婚した男が戸籍を売買して得た名前だったら。。。ということが起こり、それを弁護士が探っていくと、戸籍を変えたい背景が浮かび上がってくる。
死刑囚の子ども、温泉旅館のデキの悪い次男。
自分の姿を消して他の人生として生きていくことは、すべてをリセットできるのだろうか。
気持ちや性格はそのままのはず。そう思うとどんなに頑張っても残ってしまう前の人生の残り香をいかに消すか誤魔化すかというプレッシャーも奥底にあるはずだ。
在日の問題もあり、自分ではどうにもならないバックグラウンドをどう背負っていくかを考えさせられる作品である。
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