「考えさせられます」ある男 SING SINGさんの映画レビュー(感想・評価)
考えさせられます
これも「血」のお話ですね。そこにラベルを貼ったり貼られたりして生きる人々のお話。色々と問題提起されていて答えは見つからないけど考えさせられます。
自分自身、在日でもなければ加害者家族でもないので本当の意味での理解はできていないのだと思いますが、主人公の気持ちがわかるような気がしました。これも上から見下してると言われてしまうのかな。でも主人公が人探しにのめり込んでいく様子はとても共感できました。
全てが明らかになった後に里枝が言った言葉にも共感します。でもきっと、全てを知った上でないとそう思えなかったはずです。自分が同じ立場になっても、同じように身元調査をして同じ感想を言うような気がします。
妻のケータイが見えてしまうところから、ラストのバーでの会話の流れがとても好き。
最初と最後のあの絵画もこの映画の世界観に合っていて深い余韻を残しました。
映画とは関係ないけど、最近アマプラでエンドクレジットが強制終了するのにガッカリ。あんなに早く次の作品を再生しなくても…
〈追記〉
気になって調べてきました。あれはマグリットの「複製禁止」という絵なんですね。
この映画を観て思い出しましたが、芦田愛菜さんが「信じること」について答えた内容が大好きでして。
ちょっと引用します。
“「その人のことを信じようと思います」って結構使うと思うんですけど、それってどういう意味か考えた時に、その人自身を信じているのではなくて、自分が理想とするその人の人物像に期待してしまっていることなのかなと感じます。だからこそ人は「裏切られた」とか「期待していたのに」とか言うけれど、それはその人が裏切ったわけではなくて、その人の見えなかった部分が見えただけ。
その見えなかった部分が見えた時に、「それもその人なんだ」と受け止められる揺るがない自分がいるというのが【信じること】なのかなって思います。”
この後も少し続くのですが、ここまでにして。
この芦田愛菜さんの考えと、この映画の里枝の考えは同じですよね。里枝は本当の意味で夫を信じることができて幸せだと思いました。
