劇場公開日 2022年11月18日

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「「ある男」ってボクのこと?」ある男 ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「ある男」ってボクのこと?

2022年11月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

皆何かしらの闇を抱えて生きている。そんな自分から逃げ出したくて、話を盛ったり、嘘を吐いたり、いはばプチなりすましをして生きている。ボク自身、原誠ほどの闇は抱えてないけど、ビンボー育ちにはそれなりの劣等感を抱えていて、自分の過去を少し詐称して身の上話をしたこともある(学生時代ね)。小学校しか出てなかった優しい親父は、いつも学歴を詐称していた。
最後に妻の不倫に城戸は気付く。しかし問い詰めたりはしない。問い詰めたって追い詰めれられた妻は自分の心を守るために、結局夫をなじるだろう。自分は悪くない。悪いのはこういう状況に追い込んだあなたなのだ。不倫せざるを得なかった自分になりすますのだ。
そして城戸は自分の心を守るためになりすましを決行する。ボクは群馬の老舗旅館の次男坊谷口大祐です。
最後の里枝の言葉が胸を打つ。
「結局、彼の過去なんてどうでもよかった」
家族として幸せに暮らした3年9か月がすべてだってこと。
ウソだのなりすましだの、どうでも良いことに思えてくる。今目の前に起きていることは自分には知り得ない過去があって、その延長として起きている。だから、今目の前にあることを信じて生きていけば良い。

ゆみあり