死刑にいたる病のレビュー・感想・評価
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PG12の水準とは思えないほど描写がきついので注意
今年132本目(合計406本目/今月(2022年5月度)9本目)。
原作となる小説があるのは後で知ったところです。したがって、その映画化である以上、もとの小説を基本的に下敷きにしている以上、あることないこと書けないという事情は確かに存在します。
多くの方が書かれている通り、「よくPG12で通ったなぁ」という状況で、拷問シーン等結構きびしいです(リアル視聴者のメンタル的な部分にも依存します)。まぁ、正直なところR15レベルは覚悟したほうが良いのでは…というところです。
一方で映画の趣旨的に誰が真犯人でトリックがどうだのということを書き始めると趣旨的にネタバレであり、結局この映画はそこに全部帰してしまうので(このことはずっと予告編などでも話されていたこと)、正直レビューサイトなのにレビューが書けないという珍妙な映画です。
気になった点などいくつか考慮しています。
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(減点0.2/配慮不足)
いくつか指摘がありますが、正直なところ、「ただの素人」(大学生)が弁護士事務所を訪れても、資料を見せたりということはないのでは…というところです。さらに最初の訪問時の指示が「中途半端」であったために大学生が勝手な行動を取るところがあります(このような事件で、特に控訴審(通常は、高裁)で争われている中で、弁護士資格がない人があっちこっち聞きまわったり現場に行ったりすると、当事者の心象が悪化したり、裁判の進行に支障をきたすような状況さえ発生しえます)。
正直なところ、普通の人は一般常識でやらないし、(弁護士でない)法律系資格「だけ」を持っている方(行政書士など。私もその類型)は「もっと」やらないので(それらがまずい行為であることは当然にわかりうる)、この部分は正直どうなのか…と思います。
(まぁ、最初に事務所に訪れたときに「どこまでやってよく、これはやってはいけない」という明確な指示を出していないこと、それ自体が一番まずいと考えるのが妥当?)
(減点0.1/配慮不足)
上述通り、PG12というレベルではとても見るのはきついです。また、現在(2021~2022)でも問題視されている「とある事項」(福祉行政的なお話)に触れている部分もあり、実際に当事者の方もリアルには(数は少ないかもしれませんが、確実に)います。
そうした方にも配慮はやはり足りていないのでは…というところです。
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【操られる映画】
ガラス越しに巧みな言葉で操ってくる殺人鬼。衝撃のラストは、見ているこちらも2時間通してじっくりと操られた感覚に。阿部サダヲと岡田健史の狂気の“目”の演技にも注目。
◆トリビア
○役作りのため、監督は阿部サダヲにビッグボス(日本ハム・新庄剛志監督)イメージの歯のホワイトニングを指示した。
○阿部サダヲが演じた榛村は、阿部サダヲ史上最悪の殺人鬼。
○ラストは原作と違う。
○ 原作小説は出版当初から“イヤミス”(イヤな気分になるミステリー作品)の傑作として、ラスト10ページの展開が大きな話題を呼んだ。
○原作者の櫛木理宇は、作家デビュー前から世界中のシリアルキラーを集めたサイトを作っており、その想いを本原作で初めて描いた。
○白石監督と阿部サダヲのタッグ作品『彼女がその名を知らない鳥たち』で、監督が『5分前に人を殺してきたような目をしてもらっていいですか?』と指示したシーンの阿部の目が忘れられず、今作の起用に至った。
○本作で効果的に使われている雨。白石監督は、本音では全編雨の映画を撮りたがっている。
○ 白石監督は次回作「仮面ライダー BLACK SUN」(今秋配信予定)を撮りあげ、女子プロレスの作品を構想中。
◆関連作品
○「凶悪」('13)
白石和彌監督作品。実際に起きた殺人事件を元にしており、死刑未決囚が手紙を出す内容は本作と酷似。プライムビデオ配信中。
○「彼女がその名を知らない鳥たち」('17)
白石和彌監督、阿部サダヲ主演。2017年度ブルーリボン賞監督賞、主演男優賞受賞作品。白石監督が阿部サダヲを本作で起用するきっかけとなった目のシーンは必見。ラスト衝撃です。プライムビデオ配信中。
○「クリーピー 偽りの隣人」('16)
邦画のサイコパスといえばこれ。香川照之がどハマり。Netflix配信中。
◆概要
【原作】
櫛木理宇(くしき りう)「死刑にいたる病」
【脚本】
「そこのみにて光輝く」高田亮
【監督】
「孤狼の血」白石和彌
【出演】
阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂、宮崎優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真
【公開】2022年5月6日
【上映時間】129分
◆ストーリー
24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は、犯行当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの、最後の事件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼する。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く。
◆
◆以下ネタバレ
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◆緊張感
何が真実なのか。次第に明かされる雅也の出自、榛村や母との関係性、長髪の男の正体。そして衝撃のラスト。目を覆ってしまう残虐なシーンも、面会室での心理戦も含めて、独特の緊張感に包まれる2時間。特に面会室での心理戦は、いわば鑑賞者目線の雅也と、それを操る榛村の巧みな言葉に、見ているこちらも飲み込まれるようだった。“ゆっくり時間をかけて信頼を得る”事で、ターゲットを手にかけてきた榛村。同級生の加納も洗脳していたラストは、まさに本作を通して視聴する側をも信頼させ、一気に手にかけられたような被害者感覚すら味わうものだった。
◆目
冒頭、証言台で自身の怠慢を語る榛村の、廃人のような目。後半、金山を凍り付かせ、根津かおるを襲うよう仕向けた榛村のあの目。阿部サダヲにしかできない、どハマりとしか言いようがない役柄でのあの目の演技が素晴らしい。さらに雅也を演じた岡田健史も、全体的に台詞感のない自然体な口回しで、鑑賞者目線により没入させてくれる好演ぶり。こと同級生を抱いた後の、まるで榛村が乗り移ったような、一度も瞬きをしないあの刺すような目の演技も素晴らしかった。
◆演出
面会室のガラスを超えて手を握ってくるのはまるで「リング」のあのシーン。ガラス越しに顔が重なり心理戦になるのはまるで「三度目の殺人」も彷彿とさせる。画変わりの限界がある面会室のシーンで、ありとあらゆる変化をつけたという白石監督。実の親子である事を印象付ける(結果違うのだけど)両者の顔が一致する画作りや、榛村の目を大きくガラスに映す恐怖のそれもとても効果的。爪剥がしや、むき出しになる足の骨も、「孤狼の血」シリーズ同様、露骨に描き切る白石流の形がしっかり見受けられた。胸糞が悪くなるほど徹底した作り込みは、見終えると逆にどこか清々しい。
新たなサイコパスが誕生
傑作ミステリー小説を白石監督が映画化したサイコサスペンス。白石監督らしい痛々しく惨忍なシーンも多々あり見応え充分。二転三転する予測不能な展開にも引き込まれた。ラストはあっけない幕切れではあるが強烈な印象で新たなサイコパスが誕生したようだ。
2022-82
頑張った感は伝わるが、、、
観た後も怖さが残ります
いやぁ、怖い。
観たあと劇場出てなお恐怖が残るのは久々ですね。
死刑囚が「罪の一部が冤罪だ」と告発する内容は以前白石監督が作った「凶悪」にも共通していますが、あちらは実話を元にした作品でこちらは小説原作のフィクション。
また、告発の調査をさせるのが記者ではなく何故か岡田健史演じる雅也という一般人に調査を頼ませるというのも特徴でした。
今作の魅力はサイコパスの心理や人物像が非常にリアルだったことです。
邦画に出てくるサイコパスは殺害の動機が「人を死ぬのを見てみたかった」等という安直な理由が多くて、どこか物足りない所が多かったのですが、今作ではシリアル・キラーの特徴や殺害の動機にサイコパスらしさが出ていて興味深かったです。
そのシリアル・キラーを演じた阿部サダヲが本当に素晴らしい!
人当たりの良い感じでどこか表情に色味が感じられなくて、なおかつ静かな狂気を感じる様を見事に表現してました!
また、岡田健史の演技は今回初めてしっかりと観たのですが、正直まだ彼が演技力があるのか解りません。しかしながら、この役には非常にマッチしていたと思います。社会に馴染めなさそうでどこか根暗な所が彼の少し未熟さの残る台詞回しとどことなく滲み出るスター性から見事に役を表現していました。
そして、一番驚いたのはキーパーソン金山一輝を演じた岩田剛典です!
彼の今までの演技は良くも悪くも「3代目 J soul brothersの岩田剛典」という感じが出ていたので、演技が上手くてもどこか物足りなさを感じてました。
しかし、今作は正直終盤になるまで彼がロン毛の金山を演じてる事に気が付かなかったです。彼の暗くてどこか陰鬱な演技が気持ち悪く、もはや「3代目の岩田剛典」は完全に消えてました!
変わって演出ですが、
劇中の阿部サダヲが被害者に行う拷問シーンは白石監督作品らしくエグく、目を背けたくもなりましたが、シリアルキラーの恐ろしさを体現していて良かったです。
また、面会室の場面ではガラス越しに二人の姿が重なって映してる場面が上手いと思いました。
この映画は自分は結構楽しめたのですが、「微妙だった」と評価する人も少なからずいて賛否分かれてる気がします。
確かに、相変わらずの説明過多な所や映像表現が大袈裟で臭く感じる邦画あるあるが目立つ部分も確かにあります。
ですが、今作は「この場面、この登場人物いる?」というような場面が実は最後まで観ると実は重要な場面だったというのも解り、そういったサプライズを含めて今作は結構怖かったです。
不必要な場面が少なく、2歩3歩先を読むかのように伏線を回収するミステリーとしても秀逸で、演出に怖さを感じたりと、観た後にも怖さが残る作品として評価したいです!
娯楽の境界線を越える生々しい痛み
日本版レクター
支配欲という病
史上最高ミステリーにつき‼️ネタバレ警報発令‼️❓
想像以上にグロく楽しめるのだけど、
バルト9の6番スクリーンはサイズも距離感も音もとても良いので好きなことがわかった。『RED』も確かここで観ていい気持ちになった。そしてこの映画も池田直矢のカメラがとても映画にあっていた気がする。狭い室内の切り返しが多い中、留置所も台所も美術などの奮闘もあるのだろうけど始終鳴ってる音楽も陶酔感があってよかった。
で、映画は想像以上にグロい。今どきこんなにグロくして何か得なことがあるのかという程グロい。そして割と目新しさはない。サイコパスの殺人鬼に誘われるように捜査をするFランク大学生。岡田健史と宮崎優の若手2人はよかった。割とすんなり情報を積み重ねて衝撃の事実に向かっていく、が、いかんせん冒頭からかなり怪しげな男がいるのと豪華過ぎるキャストがいるのでなんとなく展開の察しはつく。悪くはないのだけど白石監督は、どうしてもそつなく情報処理する大衆娯楽の域を出ない。そしてそつがないように見えて、掴みの部分が弱い。町の若者のたちが消える大量殺人とサイコパスである殺人鬼(阿部サダヲはよかった)の発見はたぶん日本中を揺るがす事件だと思うのだけど。白石監督は『止められるか俺たちを』もそうだったけど掴みの部分が弱い。メインの展開に入る前が特に、と思う共通点も発見した。
ヤバいの観た!
原作未読ですが、重そうなタイトルと阿部サダヲさん主演ということで、期待して鑑賞してきました。その期待を裏切らない、怪演が光る仕上がりでした。
ストーリーは、鬱屈とした大学生活を送る青年・筧井雅也が、24件の連続殺人を犯して拘置所にいる榛村大和から届いた手紙に誘われ面会に行くと、榛村から「最後の事件だけは自分の犯行ではないことを証明してほしい」と頼まれ、昔の榛村の優しい一面を知っていたこともあって、独自に事件を調べ始め、じわじわと真相に迫っていくというもの。
冒頭は、花びらのようなものを用水路に撒き散らす意味深なシーンから、あれよあれよという間に残虐な拷問シーンが描かれ、ここでやっとタイトル。グロ耐性のない自分は、ここですでに軽く疲れてしまいましたが、物語はもちろんここからが本番です。絵的には、手がかりを手繰る雅也の地道な聞き取りと現場調査、その後の面会室での榛村とのやり取りの繰り返しで、総じて地味でゆったりした雰囲気なのですが、淀みなく滑らかに展開するため、実にテンポよく感じ、ぐいぐい引き込まれていきます。今思えば、観客も早々に榛村に取り込まれていたような感じがします。
その後、次々と判明していく事実からしだいに真相に迫り、中盤あたりで観客は結末を予想するのですが、それは見事に裏切られます。そして、最後にもうひと押しのオチがつき、さらに裏切られる展開はなかなかおもしろかったです。巧みなミスリードにまんまと嵌められた感じです。ストーリー展開もさることながら、面会室で向き合う雅也と榛村の顔の重ね方、アクリル板を越えてくる榛村、同席する刑務官の態度の変化等、面会室での描写も見応えがありました。
ただ、真相に至る終盤が、面会室での二人の問答のみだったのはちょっと残念でした。しょせんはサイコパスのシリアルキラーの犯罪なので、常人には理解できない心理かもしれませんが、もう少し榛村なりの理屈や彼の生い立ちから、観客を納得させる動機や心境が見えるような描写があるとよかったです。これは、ラストのオチについても言えます。そのため、「そうきたか、やられた!」と思っても、直後に「でも、なんで?」となってしまいました。同様の観客が多かったらしく、終幕後にあちこちの客席から互いの疑問を確認し合うような声が聞こえてきました。
主演は阿部サダヲさんで、冒頭でも述べましたが、殺人鬼・榛村を見事に演じています。深淵の闇のような彼の瞳がとても印象的でした。対する、岡田健史くんも、闇に取り込まれそうになる雅也を好演しています。この二人に負けず劣らず存在感を発揮していたのが、宮﨑優さんです。知らない女優さんでしたが、今後注目したいと思います。
終盤への不満は多少ありますが、ストーリー、テンポ、役者、そこに残酷シーンを加えて、なかなか胸くそ悪いサイコサスペンスに仕上がっており、久しぶりにヤバいのを観たなという感じです。
精神的かつ猟奇的な恐怖の時間でした…
こちらの作品の原作読んでませんが、きっと相当怖いでしょうね。それを白石和彌監督が丁寧にお料理されまして、また酷たらしい描写がお得意ですから、目を背けたくなるような恐ろしさが最初から最後まで、途切れる事なく続きます。全くウトウトなんてありませんでした。
まるで観ている私達までがどこまで、榛村の仕組んだ巧妙な計画や根回しなのか、途中でここが伏線繋がったと思ってもあら、違ったんだと騙されたりでストーリー展開が見事ですね。
そして、何より怖いのは阿部サダヲの感情の映らない目。人に近づこうと距離を狭めてくる時の優しい話し方とそういう時の目とまるで違う。岡田くんも大人になったし、立派になりました。拘置所で榛村と対峙してたラストの方は、目に鋭さと絶対にコントロールされないという意志の強さを感じました。
あと、岩ちゃん、イケメンが汚れ役をやるのは大いに賛成です。役の振り幅どんどん広げてほしいです。それと、雅也の母役の中山美穂さん、あのお母さんの口癖が彼女の人生を表してますよね。不幸そうな雰囲気もよく出てました。
それでラストであっ、ここまで彼の手は来てたかと最後に震えました。ってなことで、大変恐怖を感じた興味深い作品でした。
白石和彌バージョン『チェインドッグ』
ラストは、ゾクっときた。原作自体がミスリードになっていて、まさしく「トリハダ」。既読の人の方が驚くかも。(見た時はそう思ったのですが、読み直してみると記憶違いでした。初見でも驚くこと間違いなし。)
のっけから拷問シーンの連続で、「白石流で行きますよ、心がやわな人は目を瞑ってくださいね。」と、言われている気がする。痛みに弱い自分は、足指をこわばらせながら必死で耐えた。
快楽のためではなく、生きる糧として、人を殺すと嘯く連続殺人鬼の榛村大和。榛村大和は、ターゲットに選んだ相手と時間をかけて良好な関係を築く。その関係性があるからこそ、躊躇なく拷問して殺すことができる。そんなシリアルキラーを阿部サダヲが演じるんだけど、阿部サダヲのために当て書きしたのではないかと思うくらいのハマり役。色白で整った顔は、悪意が全く感じられない。落ち着いた声色で、冤罪のことを滔々と語られると、この人がやるはずがないと思ってしまう。
原作通りであれば、主人公の筧井雅也は、神木隆之介がピッタリなんだけどなぁ。中学校までは成績優秀で、高校で成績が悪くなり、Fランの三流大学(劇中の言葉)で友達もできずにくすぶっているなんて、イケメンの岡田君じゃちょっと無理がある。うまく演じていたんだけどね。
白石和彌バージョンに仕上がった『死刑に至る病』でございました。
追記
原作を読み直してみたら、自分の勘違いだったので訂正します。
親切な殺人者
原作既読。
原作では美青年的に描かれていた大和を阿部サダヲさんが演じるということでどうなるんだ…!?と思いつつ、いやはやいやはや唯一無二の存在感、映画版ならではの世界観を作り上げていてよかったです。不思議な、妖しい魅力、色気がたっぷり。
親切な殺人者。
ぜひネタバレを見ずに見て欲しい。
演者の皆さんの空気感がとても良かった。
岩田さんはこれまでお見かけする機会がわりとあったのですが本作でいい意味で印象が変わりました。
メジャーな役者さん、マイナーな役者さんのバランスがよかった。
原作では心情が細かく描かれているけれども、映画ではどう見せるのか、と思いながら「あぁーなるほどな!」となりました。
強烈なグロはないのですが、精神的に打撃のくる描写があるので苦手な方はご注意を。
全416件中、361~380件目を表示