「凄い映画だけど、再視聴は出来ない。。。」死刑にいたる病 ヤナコさんの映画レビュー(感想・評価)
凄い映画だけど、再視聴は出来ない。。。
「面白い・つまらない」では表現が出来ない。
「好き・嫌い」では・・・嫌い。弱い者が理不尽に惨殺されるという展開、さらには映像描写までされているのは、不快感を感じる。
でも「心に刺さり、凄い映画作品」だと思う。
全く部外者の観客なのに、プロローグでいきなり足を引き摺り込まれるように心掻き乱されて、もう、榛村の思う壺に陥る。。。。
映画という時間制限があるので「何だ?何故?」と思う点もあるので、原作を読んでみたいという気持ちと、もう嫌な気分を味わいたくないという気持ちが3:7くらいの割合。
「よくわからない部分を、観客が考える余白がある」と捉えて・・・・
9件目の「根津かおる」は、個人的に雅也の推理「榛村が犯人」だと考える。
高校生・礼儀正しい・爪を剥ぎ取る・・・などの法則を破り、逮捕されたこと、死刑判決を受けたのに、何故雅也に「冤罪だから君に調べてほしい」と依頼をしたのか・・・・・
個人的な感想は「榛村は趣味である完全犯罪ルーティンに飽きて、自分の死(逮捕と死刑宣告)と引き換えに、新しい遊びを実行したくなったのでは?」と。
雅也を「こちらの世界に引き入れよう」としたり、金山をとことん追い詰めたり、灯里も同様に・・・更には看守すらも支配して、脱獄をもワンチャン画策して楽しんでいた・・・・
勝手にそう考えてます。
「むごたらしい資料映像を見ながらカップ焼きそばを食べる」「面会室までの徒歩ですっかり看守と楽しげに会話する榛村」「血まみれで強引なキスをされているのに、受け入れる」など・・・・数秒で異常さを的確に表現しているなぁと。
「金山はわかりやすいミスリードで、真犯人は母親、もしくは母親がラストに大きく絡んでくるかな」と予測していたのですが、灯里とは・・・
演じていた「宮崎優さん」、そして雅也役の「岡田ささん」も初めて知る役者さんでしたが、素晴らしかったです。
そして阿部サダヲの輝きのない大きな黒目が、本当に凄まじい・・・・つい最近「不適切にもほどがある」を見終えた直後だっただけに、ギャップショックがとても大きいです(笑
これはあくまで物語だけど、考えつき作品にする人間の怖さ。。。。その作品のモチーフとなると数々の現実や歴史がある。。。。特に物語の根幹にある「虐待の負の連鎖」。。。他人事のようで、自分が、家族がいつ巻き込まれてもおかしくないと痛感させられる。