クライム・ゲームのレビュー・感想・評価
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ソダバのセンスが冴えわたる捻れたフィルムノワール。
HBO Maxとの契約のせいか、このところ劇場公開ではなくDVDレンタル後に配信リリーズが続いていたソダーバーグが、映画マニアとしての趣味性を存分に解放したフィルムノワール。
主演はベニチオ・デル・トロとドン・チードルというソダーバーグ組の手練れたちで、ワイドスクリーンにアナモルフィックレンズの歪み炸裂で、レトロなギスギスした犯罪劇が展開する……のだけれど、それだけでは終わらせないのがソダバ節。気がつけば経済界が世の中を動かすカラクリを皮肉った社会派目線が見え隠れする。
いや、見え隠れどころか、途中で番組が変わったくらいの大転換なんだが、ノワールのスタイルはビシッと守り切る。ジャンルで遊ぶ天才監督の面目躍如であり、結果ヘンな映画なのに、凡百のノワール系よりずっと本格派。ソダバファンを除いて誰得かよくわからないものの、センスが冴え渡った仕事っぷりに惚れ惚れする。
テーマは何? 娯楽映画じゃないの?
キャストは良いので期待しましたが、前半は、後々重要になる人物がセリフで名前が出てくるだけなので、どういう人物なのか、どう関わるのか、重要なのか否かすら分からず困惑しながら観てました。だんだんと分かってくるーそれぞれの思惑や心変わりによってだましだまされる展開になるーけれど、そこの面白さが半減したのではないかと思います。 最後に歴史的事実の説明が出ますが、ここでまた困惑。この物語を通してそれが言いたかったの? 娯楽映画だったらそんな事実の説明要らないんじゃない?という気がしました。この映画のテーマって一体何? 終わった後、ブレンダン・フレイザーってどこに出てた?ってなりました。見返すと3番目に登場!えっ!? 変わりすぎて全く分からんかった! それにしても、映画.comの解説で、ハムナプトラシリーズのブレンダン・フレイザー出演とあるのに、キャストの欄には載せてないとは失礼というか、ひどいというか...(笑)。
配役は何気に凄い!
2021年。監督:スティーブン・ソダーバーグ。 公開スルーの作品です。 1954年。舞台は車の街・デトロイト。 とても分かりにくかったです。 会計士から裏社会で生きるギャングのドン・チードルやベニチオ・デル・トロ。 彼らが依頼されたのは、なんと書類を盗むこと。 ある会社の会計士の家にドンとデル・トロ他の3人が押し入り、 家族を人質に会計士を会社に書類を取りに行かせます。 その書類。 結局は自動車会社(フォード)の、今で言うところの、 《リコール隠し》みたいなの内部文書です。 デトロイトといえばGMやフォード、クライスラーの車メーカーの本拠地。 時は既に排気ガスによる公害が問題になり始めた頃で、この文書も実は排気ガスのデータが 書いてあったらしい! そこん所をなぜハッキリ言わないの?とモヤモヤします。 キャストは豪華で、デル・トロ以外に ブレンダン・フレイザー、 ギャングのボスにレイ・リオッタ、 刑事にジョン・ハム、 最後に登場するマット・デイモン・・・と、何気に凄い。 痩せてたり(マット・デイモン) 老けてたり(レイ・リオッタ) 激太り(ブレンダン・フレーザー) と、興味深い。因みにデル・トロは変わってない。 報酬を釣り上げるドン・チードルがあちこちに声を掛けまくることで、話はこんがらがり 混乱する。 ソダーバーグ監督作品なので、カメラワークも凝ってて如何にも古い映画の作りにしてあって、どんよりしたクリアでない画面も手触りがレトロです。 しかし、何としても話が地味。 この内部文書を揉み消した事で、排気ガス規制が、遅れた・・・ って事ですかね!
スティーブン・ソダーバーグのクライムムービーと言ったらなんとなくど...
スティーブン・ソダーバーグのクライムムービーと言ったらなんとなくどんな感じか想像できる、そんな映画w。 しかし改めて映像、脚本、演出と、どれも一流であることは疑わない出来なのに、相性が合わないのはなぜだろう。 すぐ忘れてどんな話かも憶えてない哀しみ。
緊張感に引き込まれる
試写で拝見。 登場人物や組織が多すぎで、少々混乱気味にはなるものの、一斉に騙しあい、罠を仕掛け合う、緊張感のあるクライム・サスペンスでした。 黒人ギャング・ゴインズの視点で観たので、どうなっちゃうのかとハラハラする展開に引き込まれました。 場所がデトロイトで、黒人やホワイトトラッシュの多いスラム的エリアであることと、大手自動車メーカーが集中する「モーターシティ」となことだけ知っていれば、意味合いが分かるかと思います。 1967年の暴動事件が起きた地であり、治安の悪さは折り紙付き。 レンズの使い方が独特で、時折挿入される引きの画像が魚眼っぽく周辺をゆがませたり、収差でピンを合わせなくなったりという効果によって「客観視(第三者・神の視点)」であるときと、登場人物誰かの「主観」の視野であるときを分ける演出がされているように見えました。 公害問題の噴出した時代を反映しているのか、くすぶった美術や色彩いるのもまた特徴で、没入感を高めるのに一役買っているように思いました。 日本ではDVD & 配信のいわゆるビデオスルー状態になりそうですが、大きめの劇場でかけた方が真価が分かると思います。
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