余命10年のレビュー・感想・評価
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日々のかけがえのなさと生きていくことの大切さ
泣かせよう泣かせようとしないから、ずっと泣いてしまう。
逝く者と残される者と、どっちが悲しいんだろう。
最初に葬儀のシーンで妻に先立たれた夫の悲しむ姿を見せられたから、茉莉が人と深く関わることをためらうのがよく解る。
辛い、辛いからこそ、一日一日のかけがえのなさが伝わってくる。
最後に思い出(録画)を消して、脳裏に浮かべるのが
持つことのなかった未来の姿。
辛い、辛いからこそ、生きていくことの大切さが伝わってくる。
この作品を観た人がみんな、和人のように生きることに前向きになってほしい。
そういう思いを込めて作っているから、悲しいだけのメロドラマになっていない。だからこそ余計に泣けてしまった。
観ている間は面白くても映画館を出たらすぐに忘れてしまう作品が多いけど、「映画観た〜」て思える作品でした。
丁寧に作られている映画は、画面の奥行きが違う(「シラノ」と今作観て気づいた)から、いつまでも記憶に残る。
テレビドラマの劇場版はいくらスケールアップしてても、、、。
小松菜奈はこういった役が本当に合うというか、顔見てるだけで泣けてくる。
NHKのドラマで警察の庶務課の女の子を演じた時のコメディエンヌぶりが好きだったけど、共演が小出恵介だったからもう見ることはできないのかな。
いい映画だとは思う。
非常に良い映画であることは間違いない。
ただ、泣くほどではなかった。試写会でも泣いてる人はたくさんいたが題名からも予想できるし、所謂、恋愛と病気を題材にした映画通りの展開なのが途中で分かり、やや萎えた。
2人の演技は凄いし、周りのみんなの演技も良い。
この映画で一番萎えたのが2人の出会い。同窓会で再会して後日再開して呑んでそこから恋愛が始まるってのが無難すぎる。この点はもっと大事にして欲しかった。
来年のアカデミー賞のどこかには入ってくるレベルの話題作になってることは、間違いないので見たい人は是非見ることをお勧めします。映画の展開を考えないで見れば泣けるかも。
ベタながら、やっぱり泣かされる
小松菜奈、 上手い!
ふとした表情や仕草で想いが伝わります。
これぞ女優。
日本アカデミーとった有村架純よりもずっと上手いと思いますが。
この映画を観て、あらためて、今与えられてる命のありがたみを感じました。
最期まで生ききらんとあかん。
恋人役の坂口くんも、とても良いです。
大切な人ができたことで、どんどん前向きに、いい顔になっていく。
父役の松重さんも好き。
とにかく監督が「新聞記者」「ヤクザと家族」の藤井さんなので。わたし的には必見でした。
色んなことを思って泣いた
この病気のことはよくわかりません。
でも娘が「もっと生きたい」と言って泣いたりしたら、親としてはたまらない気持ちになる。
特に悲しかったのは自分の思い出のビデオを消去していくシーン。消す気持ちも消せない気持ちもよくわかる。無理に消さなくてもいいんだよと言ってあげたくなった。和君とは旅行以後、会わなくなったのだろうか。和君、別れなど納得せずに「最後まで一緒にいよう」と言ってほしかった。エンドロールのRADWIMPSの音楽も良かったけど、私の脳内には荒井由実の「ひこうき雲」が流れていました。坂口君も小松奈々さんもとても良かった。見れて良かったです。
切なくて重たい作品です
余命10年というタイトルであらすじの予想はつきましたが切なくて重たい作品でした。坂口健太郎くんが小松奈々ちゃんに想いを寄せ交際を申し込むのですが、自分が不治の病であることを言えずに交際を始めるくだりは奈々ちゃんに共感出来ませんでしたが自分の死がせまり健太郎くんとの想い出のビデオを消していく奈々ちゃんの切ない演技は涙が出そうになりました。ストーリーに納得出来ない部分があるものの出演者皆さんお芝居が上手くて感心いたしました。
うるうびと
原作者の方が実際に病気を患っている最中書かれた作品というのもあり、自伝に近い作品だと自分は考えています。そのため、「死」を扱う作品の中でもずば抜けて説得力のあるものに仕上がっていました。
・背景の撮り方が抜群にうまい
和人と茉莉が和解し笑い合うシーンで桜吹雪が起きるシーンを筆頭に、日本の四季の場面はどれも美しく、日本という国の色とりどりな景色を堪能できました。この描き込みは新海監督作品の様なアニメ的な美しさがそこにはありました。藤井監督は「DIVOC-12」内の作品でもMV的な美しさを体現していたので、そのシーンが節々に詰め込まれていてとても良かったです。
・役者陣の熱演
小松菜奈さんは病気を患う女性を演じる事が多いですが、それらや過去の作品含めて1番の演技だったと思います。背負っているものは多いけれど、それを感じさせない明るさとそこはかに潜む暗さの演技分けが素晴らしかったです。作中の食事シーン、「糸」でもカツ丼を食べていた時になんか凄いなと思いましたが、今作は短いながらもそのシーンが記憶に強く残っています。暴飲暴食なのですが、病気や人間関係に詰まった鬱憤を晴らす様に、忘れる様に食べる姿はとても生々しく人間らしいなと思い感動しました。病院でのシーンのために体重をしっかりと落とすなどの努力も並々ならぬ力の入れっぷりを感じました。坂口健太郎さんは序盤こそ痩せこけて自分に自信のない様に見えましたが、茉莉と出会ってから前を向き、徐々に自分に自信を見出してきて人を思いやれ、自分の店を持つという2時間の尺で成長をたっぷり感じる事ができました。優しさというものが滲み出しているというか具現化している様な柔らかな表情に惚れ惚れしてしまいました。他の役者の方々も隙のない優しい演技に魅せられ、人間関係のギスギスも少なめだったのも好印象です。
・劇伴で語る物語
RADWIMPSが今作の劇伴を担当している事もあり、耳馴染みがありとても落ち着ける音楽が物語を包み込んでくれています。挿入歌のポジションをピアノに置き換えてダイジェストで物語を進めるシーンもありますが、これがダイジェスト感をあまり出さずにしっとりと物語に引き込んでくれてとても良かったです。主題歌の「うるうびと」の歌詞も野田さんの哲学的な言葉がふんだんに散りばめられていて好きです。
この手の作品は邦画ではかなりある部類であり、差別化は難しいと思っていましたが、役者陣の演技×撮影技術の卓越っぷり×心地良い劇伴と隙のないクオリティの邦画が出来上がっていました。映画のために端折った部分はちょくちょく垣間見えましたが、それでも総合的には感動できる良い作品でした。製作陣、役者陣の皆様お疲れ様でした。
鑑賞日 3/12
鑑賞時間 12:15〜14:30
座席 J-12
余命宣告とは
本作は公開してから色々なレビューを読んで期待半分で望みました。結論から言うと泣けたなー
余命宣告ものって残り数ヶ月とかのスパンが多いけど、10年という歳月の中当人が何を思い葛藤して過ごしたのか追体験しつつ、その景色を共有しながら見れました。自分がもしその立場になったら、どう行動するのか考えさせられる内容でした。
まつりのセリフの「どっちが可哀想なんだろうね」胸に刺さる言葉でした。病気の本人か家族なのか…どちらにも刺さる。また観たいと思いました。
涙涙の2時間でした
初めから終わりまで、終始涙の2時間でした。
余命10年という、短いような長いような時間、その中で出会い思いを重ね合わせる大事さ大切さ切なさが、ぐっと感じることができる作品でした。
最後の「生きたい」から、和人とであったまつりが前と変わっていっていったことが感じられ、とっても涙。。。もっと、まつりに生きてほしい😭😭😭
和人が、居酒屋の名前をまつりにしたことに、涙
人の死について、考える機会でした
まつりの、気持ち、周りの人の気持ち
考えると涙涙涙
また見たい
メモ
・腰のまがりかたによってその人の状況、育ちが分かる
また、性格もあらわせる
・やっぱり、セリフをはきっり聞こえるようにかつ、感情
を乗せることの難しさを知った
・小松さんの演技すっっごかった
死ぬということが、リアルに感じられた
すごい
どんなふあにしたらあんな感情がだせるんだろう
ありがとうございました。
映画外の現実が侵食して不安になった
主人公を演じる小松菜奈と、その姉役の黒木華の演技が冴えまくって、そこらのひたすら泣いて叫んで、死ぬ寸前までやたら元気という難病ものとは一線を画してはいて、好感度は高い。
10年と言う時の流れを2時間に収めた監督・スタッフの手腕が光りました。
原作小説とは大きく変わっています。
小説では、「裁縫好きの主人公がアニメにはまってコスプレ衣装を作ったり、漫画家を目指す中で、同窓会で茶道を生業にする同級生・和人と3年間だけ付き合うが病気を理由に分かれる」流れだったが、映画では主人公を「原作者の小説家を目指した生き方」に寄せていて、彼氏の和人は家出した御曹司が鬱で会社をクビになり飲食店のバイトからやり直す、ってあたりで現実味が増すことでより共感しやすい形になっていたと思う。
ただ、主人公まつりと、彼氏の和人が別れてから亡くなるまでの間の、入院期間(時間経過)がわかりにくかったことと。
さらに、ラストの時期が作者の亡くなった2017年頃から、映画作中では2年の差、2019年に変わっているんですね。
そのせいで「この翌年にはコロナが来て、飲食店は経営的ダメージが」という現実を知ってる観客側にとって、少々「和人の生き方は大丈夫なのか?」と不安を想起させてしまい、ただでさえ暗い終わり方が、心配になって終わったのがマイナスだったかなと。
あとは、本編には直接関係ないのですが、普段は映画館に来ないような学生の客層が多く、上映中にスマホを立ち上げる人が多数いただけでなく、さらに友達同士のセルフィー自撮りをはじめた連中までいて、観ているこちらの気持ちを台無しにされたこともあって、いい印象を持たずに劇場を後にする羽目になったのも、ひょっとすると点数に反映しているかもしれません。
今なき作者がこの映画を見て納得するか監督?
原作もっと尊重しろよ!!改変するにしても、天才で家業を継ぐために必死に足掻く和人をメンヘラ野郎にする必要あったか?社会人を満喫してる友人達と会うことで辛くなるけど、周りを気にせず好きなことで生きていく事を教えてくれた沙苗に救われた茉莉の設定も時間がないからって雑にまとめて良かったのか?
焼却炉に思い出を置いていくシーンを見たかったよ。茉莉が和人のために別れる決意に涙が止まらなかったよ。なぁ監督、原作が知れ渡るなら良いとかほざいてんのか?世間からの評価が良ければいいのか?
期待しすぎてしまいました
初めて映画のレビューを書きます。
見終わった後モヤモヤしてしまい、書かずにいられませんでした。
まず初めに、原作者である小坂流加さんのご冥福をお祈りいたします。
上映前からキャストやCMをみてとても楽しみにしていた映画でした。
なので、私が期待しすぎていたのかもしれません。
見終わった後、いつもエンドロールを見ながら余韻を感じるのですが、終わってすぐ映画館を出てしまいました。
私の心にはこの映画は響きませんでした。
同窓会でたまたま再開した人たちと仲良くなって思い出作って…というキラキラしたシーンがざざーっと流れただけで驚きました。
茉莉が余命10年という長いような短い人生の中でどう考え、どのように家族や友人、そして和人と歩んでいったのかもっと細かく描いて欲しかったです。
側にいたであろう沙苗が友人の余命を知った時の感情も全く描かれておらず、薄っぺらい関係にしか見えませんでした。
結局、茉莉は病気がわかってから誰にも心を開かなかったということでしょうか。
そして和人のキャラクター。
草食系すぎて、理解できませんでした。
いっつも後悔して走り出すけど、どこに向かってるんだ君は?
和人がなぜ実家を継がずに東京に行ったのか、等の背景を描いてくれていたらもっと見方が変わったとおもいます
和人が別れのシーンでうずくまりながら『わかりました』と茉莉と離れたシーン。
茉莉の気持ちを尊重したのかもしれませんが、私には理解ができませんでした。
そんなあっさり別れるの?大好きな人が余命僅かなんだよ?いいの?と突っ込まずにはいられませんでした。
そして、店の名前を元カノの名前にするのって重すぎないか??
ただこの映画で素晴らしかったのは小松菜奈さんの演技です。お母さんの肩に頭を置いて泣きじゃくるシーンは胸を打たれました。
すごく重たい役柄を真摯に向き合って演じられたんだと思います。舞台挨拶のようすも見ましたが、涙を見せて話す姿をみて本当に大変だったんだろうなと思いました。
あと、桜の映像もとても美しかった。
あと最後にもう一つ残念だなとおもったところが、ラストのシーンの和人の髪型。なんだあれ。風にあおられてとんでもないマッシュルームヘアに…
大事なシーンなので、きちんと撮影する前に髪型を直して欲しかったです。
実話に気を使いすぎたのか、フィクションとしての限界は感じた。
なぜあの男に惹かれたのか?
情けない男だったのが、立派になった、という彼の10年間も描きたかったのはわかるが、情けないなら情けないなりのスペシャル感が欲しい。
祭りでも海でも誕生日でも、シーンを重ねるだけでなくひとつひとつのエピソードがラブストーリーの見どころのひとつだと思う。
二人の別れのシーン。
どっちの目線なのかどっちつかずで損してる。
次のシーンが実家なことを考えると、彼女の方からめいっぱい強がってもっと拒絶すべし。
そしたら実家のお母さんのシーンでもっと泣けるはず。
そして彼はなぜ追いかけない?うずくまって泣くだけ?アホ?としか思えなかった。
それと、あれだけ手術痕のことを振っといて、彼に初めて傷を見せるシーンがないのはなぜ?
見てよかった
まず、原作と映画の人物像が違った事に違和感を感じた
けれども、個人的な感想ですが、映画を見終わった後
納得出来た。
小説版は、作者がそうでありたかった自分と
言われたかった言葉が詰まっていたのだと感じた。
逆に映画版は、まつりにカズトが言った
【頑張った、頑張った】というセリフが
原作には無かったし、周りの人間が作者に伝えたい
一番の気持ちなんじゃないかと感じました。
それを聞いた時に
小説版は、長文の遺書
映画版は、関わってきた人間の遺書に対する返事も
含まれていたのかなと感じました
悲しいけど優しい物語だと思います。
演者の良さと映像の美しさ。
キャスト、スタッフが好きな方ばかりだったので鑑賞。
原作小説は、作者が自身と同じ病気を持った主人公を据えた恋愛小説とのこと。
ただ、ひねくれ者の私は「病気に侵されたパートナー(彼氏彼女)いずれかが死ぬ話」(+配給会社による「泣ける話」としての売り出し方)に食傷気味だった。
本作も病気で十年は生きられなくなると告げられた二十歳そこそこの女の子・まつり(演者・小松菜奈)が主人公。
おおまかなストーリーはこのまつりが死を自殺未遂を図った青年・カズ(演者・坂口健太郎)と出会い、時間を重ねることで諦めていたと思っていた「生きる喜び」を見出せるようになるけれど、病気は当初の通り進行していて…という感じ。
本作、まず映像がとても美しかったのがとても印象的だった。
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪山。四季(時間の流れを感じさせる)が意識的に画面に取り込まれてて、しかもこれらはそれぞれまつりとカズくんにとって重要なシーンにもなっている。
まつりは病院で亡くなった女性のビデオカメラを譲り受け、友人や家族や風景を撮るのだけど、そこに映る風景が本当に美しく、人々は喜びに満ちていて、だから観ながらどうしても涙が出た。終わりを意識すると普段何気なく見ている景色が美しく儚く見えるものだけど、それが本作の映像からも伝わってきて胸が苦しかった。
演者の皆さんもとても良くてやはり小松菜奈さんはすごい。印象的なのは登場人物とのやり取りの自然さ(本作、直接セリフに言葉で感情を載せるのではなく日常会話の中に悲しみややり切れなさとか、本音を隠してるのが滲むようになってたのが良かった)や、横顔で語る心情。自分の机でひとり、ピルケースに薬を入れる彼女の横顔、キーボードで文章を打ち込む横顔が脳裏に焼き付いている。
坂口健太郎さんもふわっと笑うところが本当に素敵で、カズくんの焦り、戸惑い、喜びが表情やセリフから放出されててとても良かった。
あと山田裕貴くんのノリが良く面倒見の良い同級生も「身近にいそう!」感が良かったし、奈緒ちゃんの程よい距離感でまつりを心から心配する親友感もすごく良かった。
妹の前でしっかりあろうとする黒木華さんのお姉ちゃんもリアルすぎて胸が苦しくなったし、あと松重豊さんの静かに娘を心配し続けるお父さんも良かった。
リリーフランキーさんの焼き鳥屋大将の静かでぶっきらぼうだけど温かい感じも良かった…。
まつりとカズくんの恋は本作のひとつの主軸ではあるけど、それだけではないと感じられるのも良かったな。
カズくんがちゃんと生きようと思い直す物語でもあり、病気になってなんでも諦めてようとしていたまつりが手を伸ばせるようになった物語でもあった。
あと私たちは未来が当たり前にあることを前提に話をしたり、人生の予定を立てたりするんだな、と本作を観て気付いた。
来年また来ようね、とか、数年後の東京オリンピックが、とか。
それが決して当たり前のことではない感覚は忘れないでいたいなと思う。
マスクの予備とハンカチ必須
まつりちゃんが思い出の彼とのビデオを泣きながら順番に消していくシーンが本当に涙が止まらなかった😭違う誰かの人生を覗いたみたいで不思議な感覚でした。こんなに泣いた映画は初めてです。最高でした。
健康なからだを持つ私たち
死にたくなくなるから、死ぬのが怖くなるからと恋をしないと決めたのに人を好きになる、そういう経験ができたのは良かったかもしれないが、悲しみを感じる度合いが強まったのはその通りだろう。スキー場に行き、夜シャワーを出しっぱなしで泣き声が彼に聞こえないように泣いている姿は印象に残るシーンだ。彼と過ごした楽しい時間の大きさいつもの日常を大きく超え、ふと自分の現実に戻った時の寂しさは、悲しみのどん底を感じさせられただろう。また、ヤケになってレストランでたくさん注文して食べるシーンなど、人生を諦めなければいけない悲しみと悔しさをどうぶつければいいか、日常を少しだけ踏み外す形でささやかな人生へ抵抗する姿も共感を呼ぶ。姉も優しいが、姉妹であればどうしても比較もし、時に苛立つのは無理もない。親も苦しい。家族みんなが苦しいのだ。これは映画であるが、このような苦しみを抱えていらっしゃる家庭もいくつもあるのも辛い現実だろう。
同窓会に行き、こないだ会った人が自殺未遂をした。病院に出向くことになり、彼の話を聞く。自分は生きたくても生きることを諦めなくてはいけないのに、自分に対する当て付けかと感じられただろう。何やってんの? あんたは、健康なカラダがあるでしょう。ちゃんと生きなさいよ! そんな思いだったと思う。
小松菜奈さんの熱演をはじめ、演者やスタッフの方々が作品の世界観を感情が揺さぶられるリアルな映像として、私たちに届けてくださり感謝します。そして、現実にこの病気も100万人に1人とはいえ、日本だけでも100人以上はいるでしょうし、他の病気で闘われている方々の苦しみ、悲しみ、悔しさ、そういう心情について、簡単に励ますことはなかなかできませんが、せめて健康で居させて頂ける我々は、その状況に感謝して、日々精一杯生きなくてはな、と改めて感じさせて頂きました。
ありきたりな難病恋愛映画かと思いきや…
何度か映画館で予告編を観て「小松菜奈さんが出るなら観よう」と思っていた本作。私個人的には人の死で涙を誘う系の映画は苦手なので楽しめるか不安だったんですけど、公開初日に鑑賞した映画ファンからの評価が軒並み高かったので結構期待しての鑑賞です。
結論ですが、非常に楽しめました。
てっきり「ヒロイン死んじゃう悲しい」っていうありがちな映画かと思いきや、タイトルの通り「死」よりも「余命」にフォーカスした作品でしたね。残りの時間を誰とどのように過ごすかということに重点を置いた描写が多く、尚且つ細かな演出や原作からの改変や脚本が上手で、しっかり深くて考えさせられて興味深い映画でした。
鑑賞後に調べて知ったのですが、原作者の小坂流加さんは2017年に本作の主人公である茉莉と同じ病気で亡くなっているんですね。『余命10年』という作品は治療法が確立されていない原因不明の難病になった小坂さんが「限られた命で、こういう風に生きたい」という願いがこもった半自伝的小説だそうです。さらに、本作を映画化するにあたって藤井道人監督は小坂さんのご両親などにインタビューされたそうで、本当にこだわりを持って作られた映画です。だからこそリアリティと強いメッセージ性。しっかりとした作りの映画でした。
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数万人に一人という原因不明の難病になり、「10年生きるのは難しい」と余命宣告を受けた20歳の高林茉莉(小松菜奈)。病院での療養を終えて日常に戻った彼女は「恋愛だけはしない」と心に決めていた。ある日地元の中学校の同窓会の案内が届き、自分の病気のことは隠して参加することにした彼女は、中学の同級生である真部和人(坂口健太郎)と再会する。
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本作の素晴らしいところは、原作からの大幅な改変です。
映画鑑賞後に調べて知ったのですが、本作は根幹となる設定以外の部分に改変が加えられています。原作ファンの中には怒る方が出てもおかしくないレベルの大幅な改変です。ただ、あくまでも原作未読の観客の意見ではありますが、この改変は映画の面白さを引き出しているように感じました。
原作の茉莉は残された時間を楽しむためにコスプレしたり同人誌を発売したりするなどのサブカル活動を行うのに対して、映画では小説やコラムの執筆活動を行います。また坂口健太郎さん演じる和人も、原作においては文武両道で家柄も良い完璧な男性像として描かれています。更に時代設定もそ現代に変更されています。
これらの改変は、よりこの物語に現実味を持たせるのに一役買っているように感じました。映画の主人公の茉莉は「高校時代に小説の新人賞を受賞した」「自身を題材とした小説を書いた」という設定になっています。これは原作者である小坂さんをモチーフにしてますね。
原作小説は、自身と同じ難病に悩む女性を主人公を据えた自伝小説的要素と、「こういう恋愛をしたかった」という妄想恋愛小説的な要素が混ざった作品ですので、多分そのまま映像化しちゃうとありきたりなティーン女子向け難病モノ恋愛映画になってしまったと思います。原作のフィクション部分を現実の小坂さんに寄せて大幅改変したことに関しては、(原作未読の立場からすれば)大成功だったと断言できます。
家族描写も素晴らしかった。
劇中で余命宣告を受けた茉莉とその家族との関係についても深く描かれていたんですが、実は原作はここまで家族の描写は多くないそうです。調べてみると監督の藤井道人さんは原作者の小坂流加さんの遺族へインタビューをしており、映画での家族描写を追加したとのこと。この描写が本当に良かった。家族の描写がしっかり描かれていることで、「先立つ方と残される方、どっちが可哀想なんだろうね」という劇中の台詞がグサリと心に突き刺さるわけです。
映像がとにかく美しかった。
桜咲く春のシーン、空と海のコントラストが美しい夏のシーン、木々が暖色系に色づく温かみのある秋のシーン、一面に白銀が広がる冬のシーン。どのシーンも映像が非常に素晴らしかった。
通常映画は決められた短い期間で撮影することが多いんですが、本作は一年を通して映画を撮影していったとのこと。映画の撮影期間が長くなるほど演者へのギャラや撮影に伴うスタッフへのギャラが嵩んでしまって製作費が増えてしまうので撮影期間が長いのはあまり好まれないんですけど、本作は四季の美しい風景を実際の映像に収められることや、小松菜奈さんが病気によって痩せてゆく茉莉の様子を実際に一年の時間を掛けて肉体作りをして見せることで、作品の質が間違いなく向上したと思います。
今、映画館でどの映画を観るか迷っているなら、間違いなく本作を観るべきだと思います。それくらい素晴らしかったです。オススメです!
春にピッタリの感動作
原作未読
予告編を見て面白そうだと思ったのと、
好きな役者さんたちが出演してる事が鑑賞の決め手です。
自分は難病モノがあまり好きではなく、
泣けるかな?と思ったけど見事に期待を裏切られた!
後半は涙腺崩壊するシーンが多く、台所で主人公の茉莉が母親に「死にたくない」と涙ながらに訴えるシーンや病気の進行により、どんどんやつれていく茉莉の姿は涙が出っぱなしでした。
鑑賞後、普通の日常がいかにありがたく幸せなのかを考えさせられました。
一日一日を大事に過ごしたいなと思います。
ハンカチとマスクの替えは必須です。
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