信虎のレビュー・感想・評価
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初めて観た寺田農の主演映画。無駄に長い。
大昔の映画かと思って観ていたら最近の作品だと知って驚いた。話の造りも画質も何故か古めかしい。寺田農の主演映画を観たのは初めてではないか?無駄に長いし、甲陽軍鑑に拠っているので相当歴史の見方に偏りがある。
新たな発見
恥ずかしながら、武田信虎について、追放後の消息はまったく調べていなかった。
最終的に信濃に下り、死後甲斐で供養されたとは知らなかった。
少し神通力っぽいのがあったので減点。
実の息子武田信玄に国を追放されながら、信玄の死後甲斐の国に戻り国を護らんとする男の、波瀾万丈な人生の物語です。
ノーマークだった作品なのですが
主役の人物の描かれ方が次第に気になってきて
やはり観てみない事には と言う事で鑑賞です。
主人公の信虎さん とは
NHKの大河ドラマにも出演した事のある(「風林火山」など)
ある意味とても名前の通った方です。
戦国最強の大名にして
織田信長が上洛を恐れ
徳川家康を三方ケ原で蹴散らし
上杉謙信と川中島で死闘を繰り広げた
風林火山が旗印の
「武田信玄」 … の父。 (おぅ)
過去のドラマ等での描かれ方としては
好戦的 で 野心的
権謀術数に長けて 老獪
逆らうものは容赦なく武力で制圧
…で、結局
息子(信玄)によって国主の座を追われ
駿河の今川さんの所に追放された。
というのが 「記録に残る事実」 らしいです。
そんな 「負のイメージ」のある「信虎」を
この作品ではどう描くのか。
興味はその一点につきます。
さて鑑賞開始。
…
(…135分経過)
鑑賞終了。
どこまでが史実に基づいていて
どこからが創作なのか。
最初はその辺を気にして観ていたのですが
そのうち
「まあ、どっちでもいいか」
になってました。 うん
まずまず納得できる話の展開で
「まあ、そうなるよなぁ」
とおおむね共感できました。
何よりも
47歳で甲斐国を追放された男が、
80歳近くにもなってから
・京都から甲斐国に戻り (←移動途中の国に敵がいます)
・武田家での復権を目指し (←跡目を継いだ勝頼さんがいます)
・叶わぬと悟ると
・願うのは武田家の存続
というストーリー展開に
「信虎さん 頑張って」
と応援せずにはいられなくなりました。
思いの外(といったら失礼ですが…)、楽しめました。
満足です。
※ある意味で 「想いは叶った」 ことになるのでしょうね
◇あれこれ
■悟りを開いて得た力
1点 「なんだこりゃ 」 と思わせる
トンデモ(?)な設定もあったのですが
まあ許容範囲ということで。
■お猿さん。 うきゃ
信虎の脇で、一緒に修行に励む (…ように見える)お猿さんでしたが
「お前には悟りは無理じゃ」 が~ん
…残念
ダメかぁ
■お直さん
信虎さんの娘。
追放されて転々とした先の、京生まれ京育ち。
なもので 「甲斐になど行きとうない」
とブツブツ言いながら、
結局は父に従う良い子。
不遇のまま終わるのか、と
終始心配しましたけれど、予想外の展開に ほっ。
この方、
登場時点やラストの場面で
いったい何歳だったのか…。 年齢不詳。。
誰か教えて下さい。
◇最後に
武田信虎という人物に対するイメージが
この作品を観てから変わった気がします。 (史実は置いといて …汗)
その意味で
私にとっては尾を引く作品となりました。
◇おまけ
この作品に
何か良いサブタイトルがつけられないかなぁ と
ず~っと考えております。
何かないですかね。
「信虎 -後期高齢者から始めよう-」 とか
「信虎 -信玄より長生きしたもんね-」 とか
「信虎 -見ろ 人がゴミのようだ-」 (※悪ノリです …汗)
などと考えているうちに、今日は大晦日 (…汗)
年内にUPして区切りにします。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
戦国時代を肌で感じられる作品
「戦国時代を体感する」のコピー通り、役者の衣装や振る舞い、細かな所作に至るまで、450年前の息吹きが全編を通じて匂い立つ。ドラマとしては、谷村美月さん演じる信虎の末娘、 お直の率直さに心が和みます。信虎が帰国を決意し、 息を引き取るまで一貫して 「京に戻りたい」 と父に訴えるお直。武田家滅亡の際に「私は死にたくない」 と嘆くシーンには、合戦以上に、戦国のリアルが感じられました。主人公の死後の物語が続くなかで、信虎と苦楽を共にしたお直が最後に家臣と結ばれ、 京に戻れたことがこの映画の最大のハッピーエンドだったと思います。
それなりに面白い
歴史的な背景とか言葉遣いとかメイクとか見どころはそれなりにある。
しかし、霊光とかそういうのが出てきた頃から散臭くなり宗教じみてくる。
この頃から何人か帰って行ったw
我慢して最後まで見たけど辛かった。
偽書になってるってはじめに説明されてて納得した。
戦国時代のゴッドファーザー
一言で言えば見ごたえが有った。 これに尽きる。
低予算の作品ながら大手に引けを取らない作品と成っており、演じる俳優陣も実力派が並んでいて満足でした。
戦国時代を扱っていながら合戦の場面は少なかったが、それを補って剣劇がふんだんと有ります。
それでも敢えてマイナスポイントを挙げるとするなら、他の人も語っていたが武田家の滅亡の原因を従来通りの二人の寵臣にした事。
信虎が悟りを得た後に自分の近辺にいる人間に暗示を掛け後を託そうとしたのは物語的には無理があったような気も。
ロードムービー有り、陰謀劇有り、剣劇有りと飽きる事の無い映画でした。
歴史好きでも、エンタメ好きでも楽しめる
武田信玄の父、信虎を主人公とした武田氏の滅亡と再興のお話。
歴史好きとしてはかなり面白いです。通常、信玄が主役の話は、父の信虎は悪者扱いですね。暴君で民衆や家臣の反発を招き、息子の信玄に国を追い出され放浪します。信長の父信秀もだいたい悪い感じで書かれますが、武田にせよ織田にせよ、家の基礎を築いたのは親父さんの功績なのは疑う余地もない。
織田信秀は42歳で亡くなりましたが、信虎の方は81歳まで生きました。息子の信玄よりも長生きで、最後は高遠というと信濃の国に戻って亡くなっている。
この事実や、甲陽軍鑑という書物の記述などの断片的な「事実」を繋ぎ合わせて、大きな歴史フィクションを描いたのが、本作。
物語は門構が映ったあと、室内に映像が切り替わり、パッと床の間の飾り棚がアップで映されます。これが素人目ですが、むっちゃ本物っぽいんですね。そこから、5代将軍徳川綱吉と側用人、柳沢吉保のシーンにうつり、一時途絶えてた武田家が再興される場面になります。と、ここまでで「この作品は事実、本物に拘りますよ」と、伝えているですね。
実は本作は低予算映画なので、時代劇の見せ場である合戦シーンとかは、すごくショボいんです。でも冒頭のシーンで、観客に本物をやりたいんです、って言い訳がちゃんと効いているんですな。
物語はちゃんと冒頭の伏線にラストで繋がって、こんな歴史もあって良いね、って話。武田滅亡を描きつつ、ちゃんとハッピーエンドになるような救いがあってエンタメとしても楽しめる。一方で、かなり歴史考証がしっかりしている作品のようで、高遠城で孫から信玄の死を聞くシーンなぞ、ちゃんと孫の年齢を正しく設定していますね。
これは良作です。
老いて軒昂な元戦国大名を描く
ある程度の戦国ファンの私だが、『信虎』が信玄没後も生きていたことは知っていたが、信州高遠で亡くなったとは知らなかった。そもそも前情報無しで観たので、『信虎』というタイトルだから、信玄に追い出される前を描くのかと思ったが、信虎公の最晩年を描いている。
主役の信虎に扮するのは大ベテランの寺田農。物語の信虎が意気軒昂なのとシンクロするように、往年とほぼ劣らない演技やセリフ回しに驚かされた。また信玄の肖像画に激似の永島敏行(ホントは長谷川等伯が描いた恰幅の良い肖像画は畠山義続の像らしいが)が、信玄と、信玄にそっくりで影武者(そんなタイトルの映画もありましたな。。。)を務めたともいわれる弟の逍遙軒信廉の二役を演じていたが、その画家としても有名な逍遙軒が描いた信虎像に寺田農がまた生き写しでキャスティングが光る。ちなみに信虎がある“特殊能力”を発揮するのは、ガメラの監督だからか?
『真田丸』でおなじみの平山優先生らが考証を手掛けており、ある程度、史実に忠実なようだ。ただ、かつては偽書とまでいわれた『甲陽軍鑑』重視となっており、近年は同書の見直しが進んでいるとはいえ、武田滅亡の原因の大半を武田勝頼の寵臣だった跡部勝資と長坂釣閑斎のせいにするのは無理があると思う。『甲陽軍鑑』は信玄の代からの家臣、高坂弾正昌信の口述が起源と考えられており、そもそも勝頼寵臣2人を批判するために成立したといわれています。
信虎が信濃の境を越える処以外は、戦(いくさ)のドンパチは無いのかと思いきや、天目山の武田滅亡はリアルに再現、見どころの一つとなっている。
ラストには京の名物にかかわるエピソードが添えられており、たぶん俗説だろうが真偽はともかく微笑ましいオチとなっていた。
まあまあだった
会話の場面が多くて眠くなる。人間関係や勢力図はマンガの『センゴク』を読んでいたお陰でなんとなく理解できるのだけど、なんとなくしか分からない。国境を超える場面が一番熱い。全く鮮やかでなく、むしろモタモタした殺陣がリアルでスリリングだ。
戦で引きの絵が皆無でつらい。景色が映らないように見上げる構図と音でがんばる。リアルに戦国時代を再現しようという志は非常に感じられ、膨大な予算でこの美意識で合戦シーンが見たい。
【”真に武田家の行く末を案じていたのは誰であったか・・”武田家存亡を歴史的に”暴君”と言われてきた信玄の父、信虎視点で描き出した戦国時代歴史映画。有り得ない話ではないなと思った作品でもある。】
ー この作品は、信虎(寺田農)が武田家存続を望むがゆえに、妖力”妙見の秘儀”を使ったり、歴史の通説を幾つか改編している。
一番は、”暴君”として名高い信虎が
ーそれ故に、息子信玄(永島敏行)から追放されたのだが・・。ー
実は、武田家の存亡を深く願っていたという視点で、物語が進められるところである。
そして、この作品では、進行が早く、粗い。
登場人物が、大変に多く(特に、NOBU〇〇とか、〇〇NOBUとか、沢山出演している・・。スイマセン。)
又、予算の都合上だと思うが、大きな合戦は出て来ず、小さな規模での切り合いのみ描かれる。(重ねてスイマセン。)
突っ込みどころは、多数あるのだが、作品構成と信虎の人間性の解釈は面白い。
何しろ、500年以上前の時代の出来事である。
十分、有り得るのではないかと、思った作品である。ー
<武田家の礎を築いた武田信虎。
歴史的には、残虐で冷酷非道な暴君のイメージが強いが今作は、その過去を認めつつ、老いた信虎が武田家の行く末を案じ、様々な武田家が生き残る術を探る姿が描かれている。
後に、武田家が再興を許された事を考えると、あながちあり得ない話ではないな・・、と思った作品。>
<追記>
・隆大介さんを偲んで・・。
・歴史大作を作り続ける、原田眞監督の偉大さを思い出した作品。
エンターテインメント性と時代考証の「せめぎ合い」
80歳の老将が、隠居先の京から甲斐の国主に返り咲こうと家臣郎党を引き連れ一世一代の旅に出る。映画『信虎』のメインストーリーは、戦国時代の余り知られていないこの史実を基にしている。製作陣は『甲陽軍鑑』を読み解き、武田信玄に追放された非道な父・信虎という一般的なイメージから、甲斐の国主としての誇りを忘れず、老境にあっても果敢に復権をめざす新たな信虎像の確立を目指そうとしている。
2022年は武田信玄生誕500年の節目の年である。なぜ今、信虎と勝頼なのか。その答えは、物語のクライマックスといえる、両者の一世一代の対峙に端的に表れているといっても過言ではない。北条氏、そしてかつて信玄と敵対した上杉氏と手を組み、国主として織田信長包囲網を画策する信虎。それに対し、信玄から陣代としてのバトンを受け取り、戦へとはやる若武者勝頼。三年の喪を守ろうとする家臣たちを巻き込み、強烈な不協和音を響かせるこの軍議のシーンが、強大なリーダーシップを失い、時代の潮流に呑まれ崩壊していく武田家、ひいては信玄の偉大さを逆説的に表現しているのだ。「市民ケーン」や「ゴッドファーザー」を彷彿とさせる構図である。
物語を通底する「武田信玄のレガシー」というテーマは、従来の大河ドラマや時代劇映画では描かれにくいこの映画のユニークな視点にも表れている。たとえばこの映画は元禄時代、武田家の幕府高家としての再興を果たした側用人柳沢吉保が、息子に語り伝える物語という体で始まる。徳川家康は武田家の遺臣を庇護し、天下泰平の江戸時代をつくった。ほかでもない柳沢吉保こそが武川衆の出なのである。徳川家がいかに甲斐の地、そして人脈、血脈を重視していたかを、この映画は教えてくれる。
このような徹底的に考証や新視点を取り込んだ「硬派」な時代映画としての側面もありながら、時代劇のエンターテインメント性を損なわないアイデア性も見どころの一つだ。黒沢映画をはじめとした往年の名画をリスペクトしたキャスティング、流血伴う戦闘シーンや時代の変遷が見える城内の調度品など、戦国のリアリティを追求した演出は圧巻といえるだろう。そして物語は妙見信仰や諏方大明神の伝説など「伝奇性」を取り込む一方で、お直御寮人と信虎、父娘のすれ違いを描いたロード・ムービーといった繊細な性格も持ち合わせており、信虎の物語を魅力的に見せる製作陣の苦心と奮闘の跡が垣間見える。
それぞれの「御家存続」がぶつかり合う重厚な戦国ロマンに、荒削りな演出が息をつく間もなく連続するスピード感は好みが分かれるところであろうが、却ってこの映画の持つ特異性を引き立てることだろう。
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