劇場公開日 2021年11月12日

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「素人が作ったのか?」信虎 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0素人が作ったのか?

2025年5月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

いや~、これはひどい駄作だ。金子修介監督が歴史ものを?と思ったら、古美術鑑定家・茶道研究家・歴史研究家の宮下玄覇って人が企画・製作総指揮・プロデューサー・共同監督・脚本・美術・装飾・編集・時代考証・キャスティングというワンマン映画。その時点で怪しいなとは思ったんだが、宮下って人は映画などで美術考証や時代考証の仕事をよくしてるらしく、金子監督が頼まれ仕事で演出だけしたのかなと思って観てみたのだが……。

まず脚本がひどい。状況や経緯を登場人物にいちいち台詞で全部説明させていくため、まるで人物の会話で映画が進んでいくような有り様だ。しかも、どう考えても本筋には関係ない余計なエピソードが頻出する。登場人物も多すぎて、1・2シーンしか出番がないような人物がやたら多いし、個性を持って描かれてないんで後まで覚えていられない。細かい考証にはこだわってるようだが、そのため美術品などをじっくり見せたいと思いすぎたのか、これまた余計な絵面が多い。台詞回しも妙に間延びしていて、編集も下手だからいちいち変な“間”が出来ている。以上全部の理由でとにかく冗長かつテンポが悪い。おかげで135分という長さになってるが、無駄なシーンや長台詞や編集の間や余計な人物を省けば100分くらいになるはず。つまんないくせに長いんだよな。

歴史考証へのこだわりだけは異常なほど強いんだけど、女性陣が顔白塗りで眉毛無しのお歯黒なので、女性が複数出てくると誰が誰やらわからない。信虎が仏道修行の末に呪力を身に付け、他人の前に手をかざしウンバラナンタラオンソワカみたいなことを心で唱えるとその人物の心を操れちゃうってのもなんだかなあ。しかもその演出が死ぬほどチープ。途中で信虎の家臣が唐突に熊に殺されちゃうのもそんなシーンいるか? しかも熊が着ぐるみなの丸わかり。

とてもじゃないけど金子監督が演出してるとは思えない。実質的には宮下って人が共同監督ではなくメインの監督だったんじゃないの? プロローグとして武田氏の家臣の血を引く柳沢吉保が幼い息子に信虎の話を聞かせるという外枠があるんだが、息子くんが父親の話のあまりの長さにうたた寝しちゃうという描写があって、それ、観てる俺らの気持ちだぜ、と思ってしまった(笑)。

バラージ
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