ジョゼと虎と魚たち(2020・韓国版)のレビュー・感想・評価
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韓国のラブストーリー映画の系譜
少し寂れた趣の住宅街の片隅、足の不自由なジョゼのものと思われる低い視点からの庭の木や風の舞う路地の風景に小鳥や風の音が聞こえ、雑然とした家の中、本棚や台所の様子がやわらかな光と薄暗い影の中に映し出され、そこに美しい音楽とふたりのナレーションが被る。この冒頭シーンは、韓国映画の名作「八月のクリスマス」を想起させ、韓国のラブストーリー映画の系譜を感じさせる。
日常の中の偶然の出会い。それを劇的に映し出すのではなく、セリフは最小限に抑えられ、自然音の中で静かに、じっくりとふたりを捉えることによって、それが運命的な出会いとなることを予感させる演出は秀逸だ。脚本も手掛けたキム・ジョングァン監督は、オリジナル版のエッセンスを巧みに取り入れながら、四季が織りなす映像美を背景に、官能的でみずみずしい美しさにあふれた物語に仕上げていて、映像で語ろうとするその静かな切なさが全編に貫かれている。
演技派女優ハン・ジミンがジョゼを、人気沸騰中の若手俳優ナム・ジュヒョクが青年ヨンソクを演じている。四季を通して次第に変化していくふたりの心情が痛いほど切ない。ヨンソクを思いやって拒絶しながらも、ジョゼが外の世界に追いかけていく雪のシーンは、映画史に刻まれることだろう。
【”ポエティックな韓国版ジョゼ。”田辺聖子さんの短編小説から犬童一心監督の実写化映画が作成され、その後、同題の邦画アニメと韓国リメイクが出来た。映画の正の連鎖であると、私は思う。】
■卒業を控えた大学生・ヨンソク(ナム・ジュヒョク)は、道端に倒れていた車椅子の女性(ハン・ジミン)を家まで送り届け、お礼に夕飯を振る舞われる。
足が不自由な彼女はジョゼと名乗り、祖母と2人で暮らしていた。
自分だけの世界観を持つ魅力的なジョゼに、ヨンソクは興味を持っていく。
◆感想
・中盤までは、ストーリー的には犬童一心監督の実写化映画に寄り添って物語は進む。
・だが、後半は独自色を出してくる。
ー 二人が観覧車に乗るシーン。そして、5年後の二人が描かれるシーン。-
■これは、私の持論であるのだが、オリジナルとリメイクを比較する事には意味が無いと思っている。
何故ならば、リメイクする製作陣は、勿論商業的な成功を視野に入れつつも、オリジナル作品に魅了されていなければ、製作しない筈だからである。
更に言えば、漫画の実写化で”原作の世界観が出されていない”というレビューも散見するが、実写化する製作陣の想いが籠っている居るわけで、私はそういうレビューは余り好きではない。
□今作は、犬童一心監督の実写化映画を観たために、観賞を見送った(と思う。覚えていない。)が、手元には今作のフライヤーがある。
そこには、犬童一心監督の今作に対する素敵なコメントがあるので、敢えて書かせて頂く。
【ジョゼは永遠だ。韓国で生まれたジョゼにも溢れる魅力があって、心うたれる。彼女の強がりや、不器用さや、諦めや、欲望や、優しさや、何もかもが忘れられない。】
<犬童一心監督の自身のオリジナルを想いつつ、韓国のポエティックリメイク版に対し、敬意を表した素晴らしいコメントだと思います。
映画を愛する者としては、かくあるべきと思い、記載させていただきます。
この韓国版ジョゼは、ポエティックで静謐で品性高き恋愛映画だと私は思います。>
時間がかかる恋愛
静かに沁みる映画
思ってたよりかなり暗い仕上がり。
日本版は公開当時観に行きました。もうかなり前なのでめっちゃ断片的にしか覚えてないですけど、話題になったこともあるし何より内容が衝撃的だったのは確かです。
韓国版は随分暗い仕上がりになってました。国も時代も価値観も違うので同じ設定にする必要ないですけど、ジョゼのキャラクターは日本版の方が私は好きです。もっと高飛車でわがままな女の子でしたよね。何よりジョゼに振り回されるダメ男の恒夫とのコンビがかわいかった。なんか落ち着いたお姉さんとちょっと羽目をはずしてる有望な好青年ペアになっちゃてて、あまり作品のイメージではなかったかな。ジョゼを演じたハン・ジミンはめっちゃキレイでした。
そしてこの映画と言えばおんぶからの水族館みたいなホテルへ行くのが名シーンだったのにすごいマイルドになってしまってた。観覧車や水族館のシルエットのシーンもひと昔前感が強かったかな。ただ観覧車のスタッフは名演技でした。
(原題)조제
切符を間違って買って、見てしまった。
映像美でポエティック。
犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」の韓国リメイク。
オリジナル作品は当時DVDを購入したほどの大ファン。
しかし、リメイクはリメイク。同じ視線で観るのは違うので、あえてもう一度見返すことなく本作を鑑賞。
まずは、映像が美しい。カメラワークも巧く、ジョゼの貧しい家も美しく映している。紅葉や雪もきれい。
またセリフもどことなく詩的で、日常会話のようにはあまり聞こえなかった。
本編を通してストーリーに変化があるというより、季節の変化と男女の心情の変化を巧く掛け合わせたような描き方だった。
カフェのシーンやバーのシーンもどことなくお洒落で、ああ韓国のラブストーリーらしいなと思った。
数年前にあった「ビューティーインサイド」という映画も映像やセリフがとても綺麗だった。
全体として、強烈なインパクトや感情移入はないが、観ててふと落ち着くような出来になっていた。
さて、日本版ジョゼと比較すると、日本のジョゼはもっとがさつで口うるさいイメージ。もっとわがままだし、それに妻夫木聡演じる男が(名前忘れた)疲れてしまった感じだったが、ハン・ジミンは池脇千鶴と違ってまあ色んな意味で綺麗でした。日本版は妻夫木聡はもっと女の子大好きなイメージだったけど、韓国版のナム・ジュヒョクはさりげなくモててる感じ。
でもやはり日本版のラストシーンは凄く印象的だったので、どういうラストシーンにしたのかな、と思ったが、まあマイルドでしたね。
もちろん、韓国版の良さもあるのですが。
アニメ版の方が好み
「ジョゼと虎と魚たち」については、昨年公開されたアニメ版で知りました。ボンズの手がける圧倒的な絵力に、清原果耶さんと中川大志さんの存在感、とても素晴らしい作品でした。この作品を鑑賞後に実写版ジョゼと虎と魚たちを観たのですが、想像以上に生々しいものに仕上がっていて、こう考えるとアニメのリメイクはとても爽やかなものになっていたんだなと思いました。
ということで実写版よりの韓国版ジョゼと虎と魚たち。正直なんとも言えない出来でした。別に悪いところがあるというわけじゃないのですが、良いところも少ないなと思ってしまいました。
まず映像の豊かさ。ここはとても綺麗だなと思いました。なんてことない日常の風景を映画に仕立てている撮影に驚きです。主演お2人の演技もとても自然で良かったです。
ただ、物語のつながりが曖昧で、ジョゼとヨンソクが何故そこまでの恋仲になったのかが分からなかったです。アニメ版はそこまでの過程がズンズンと盛り上がっていったので、そこが感じられなかったのは惜しいなと思いました。
韓国映画としてリメイクしてくれるということで期待値が高かったのもあり、少々不満な所もありましたが、普通の作品として見ればちゃんとしっかりしたラブストーリーになっていました。うーん惜しい。
鑑賞日 11/4
鑑賞時間 14:25〜16:30
座席 E-6
ナムジュヒョクの声が好き
3日間毎日見ました
韓国版も涙
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