永遠の831のレビュー・感想・評価
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共感できるかは別にして面白かった
アニメーションの出来は酷い。こんなのそうそうないぞというレベルで酷い。アニメーションの出来で酷評するのは分かるけれど、内容はなかなか面白かった。
政治的というか思想的な物語で、レビューを読む限り全く欠片も届いてないんだなと残念な気持ちになる。
止まってしまった時間の中で生き続けること、大きくは国、そして個人まで、広くあてはめて「動け」というのがメインテーマだ。
設定として存在する「止まっている」こと、そこから派生する様々なこと、これらに共感できるかどうかは別にしても興味深い話だ。
ラストで主人公浅野は、芹から高尚な死か低俗な(愚尚と言っていたかな?)生かを突きつけられる。それに対して浅野は第三の選択をする。
それはなずなとの遭遇のおかげともいえるが、なずながあの場所にいるということは、なずなもまた芹から開放されたわけだ。
芹はある程度の目的を達成した。それにはほとんど何も意味などないだろう。それでも芹の中では終わったのだから、妹であるなずなをいつまで苦しめ拘束することは本意ではないはずだ。なぜならなずなの時間を強制的に止めることになってしまうから。
時を止められる特殊能力持ちの浅野となずなが惹かれ合うのは自然だ。互いに唯一一緒にいられる相手といえる。止まってしまった時の中でも二人は止まらずにいられるのだから並ではない特別な相手。
浅野が選んだ第三の選択とは、乱暴にいえば「ポジティブに生きること」だ。浅野にとってはなずなと生きることは高尚な死でも愚尚な生でもない第三のポジティブな生ということになる。
浅野の配達先にいるおばあさんは最初からポジティブな人として作中に登場している。
未曾有の大災害により経済が崩壊し、誰もが新聞代を踏み倒そうとする中で、新聞代どころか羊羹をくれたりする。
新聞配達の兄ちゃんに会いたがるとはさみしい独居老人に見える。そうなのだろう。しかしおばあさんは悲観的ではなく明るく生きているように、つまりポジティブに生きているように見える。
あれはクソこれはクソ、自分は運がない、会社のせい社会のせい、恨みつらみ妬み、そんな愚尚な生をおくっている人への辛辣なメッセージ。
けれど、肝心のそういった人たちには残念ながら届いていないように思える。自分がそれに当てはまっていると気付けるくらいならそんなことにはなっていないので当然ではあるが。
あとは、夏で止まっているので、演出として、キラキラ輝くシーンや虹、セミの声、季節は春から初夏であるが常に夏を感じさせるように作っていたのは面白いと思った。
途中まで何か違和感あるなと思っていたけれど気付いてからは感心するしかなかった。
題材が良かったです
キャラクター設定やデザインは少しクオリティが甘いと感じました。
細かいですがキャラクターの服装がほぼ全キャラ変わらず真夏なのに長袖とか絶対暑いですよね(笑)
ただ内容は政治と日本経済についてがメインになっていてそこに着目したのは現代の日本においてとても良いと思いました。実際ストーリーの中にあるお話は現実の政治と合わせているようですが、ちょっと政治に興味がない人からすると難しいお話になってしまってるので政治に興味を持ってもらうという点でいけばもっとわかりやすい表現が良かったのかもしれません。 実際に私も投資をして現在の日本は資本家の為にあるようだとわかってはいます。それにより労働環境は正規雇用から派遣へシフトして企業はそこまで成長していなくても蓄えられてる事も事実。
結果ストーリーでもありましたが資本家や一部の人間に向けた政策はされても多くの国民に向けた政策はほとんどありません。更に困窮者や少子化は厳しくなり、ただ駒のようにサラリーマンだけしている人が可哀そうに思うほどです…実際『抜け出せない者がいけない』という風潮がありますが恐らくそれができるのはごく一部ということも現実。
そんな大変な問題を抱えた日本ですがこういう作品をみて皆さんの生活と政治というのは切っても切れない大切なものだと表現していると私は感じました。
資本家が何を言ってるんだと言われるかもしれませんが、私も運よくそうなれただけで
困窮している方や今の政府に不満を抱く人は大勢いるはずです。作中であったテロはあくまで過激派でしたが皆さんには選挙という有権者の特権があるわけですから是非調べて投票を多くの人に呼び掛けるのも良いのではないでしょうか?
そのように一歩を踏み出すということも踏まえてこちらの作品の評価とさせていただきます。
神山監督の若者いじりは両刃の剣
ジュブナイル向けの青春アニメにはそぐわない政治色の強い物語、制作会社クラフターのCEOでもあり脚本・監督の神山健治さんは若者たちには単なるエンタティンメントでは無く考えてもらえる、頭も使う映画づくりを信条としているとのことだから作家性と理解するものの、問題の投げかけ方がいささか乱暴過ぎる気もする。未曾有の大災厄とは3.11やコロナのことか、定かではないが世相に漂う閉塞感に便乗して一本作る気になったのでしょうかね。
神山さんはSNSに悲観的との声をよく耳にするが本作でもそれは感じますね。
主人公が生徒会費流用事件を告発したことが思わぬ波紋を起こして冤罪を着せられる。浴びせられる「個人的な正義感は迷惑だ、所詮自己満足の為だろう」というセリフはいかにもSNSで飛び交いそうで共感してしまう若者がいないか不安になる、神山監督の若者いじりは両刃の剣。
清白(スズシロー)と橋本なずなは時間停止能力を持っている超人だが謂われは語られない、むしろ自身でも持て余しており、いわば同病相哀れむ的に惹かれあうという関係性は単純。
その特殊能力を自らの悪企みに使うのがなずなの異母兄、橋本芹。
政府に批判的な犯行メッセージをだすものの劇場型犯罪を株価操作に利用して金儲けをしている悪党だが、ある種人たらしとしては凄腕、スズシローの過去のトラウマ事件に共感性を示したり、親の復讐めいた動機をちらつかせてスズシローをも利用する。
神山監督の庶民観は一見、単純素朴、新聞配達のスズシローに優しいお得意さんのお婆ちゃんがいる反面、新聞代を踏み倒す小悪党もいて両極端。ただ、芹のキャラクターの理解は難解、どんな口実、綺麗ごとを並べてもオレオレ詐欺の事務所のシーンをみれば一目瞭然なのですが、芹の弁が立つだけに若者世代がうわべだけの政治批判を真に受けないかとちょっと気がかり。
誰かのせいにするのは簡単ですがもっとよく考えてというのが神山監督のメッセージでしょう。
設定がもったいない作品
主人公が新聞奨学生、時間を止める能力、
追加の同能力者、主人公がテロに参加、
など、ポイントポイントは良かったです。
ただ脚本が生きていなくて
奨学生の尺が長い割に本筋には関係なく、
時間を止める能力も
一年間もある割に上手く使えていない。
ヒロイン登場時でも、
主人公は疑ってかかるほうが先では?
いきなり惹かれ合う等
脚本がご都合主義で引いてしまう。
テロ組織もヒロインの能力で事足りてしまい
主人公と一緒に行動する理由が無い。
主人公の能力じゃないといけない理由、
そういう流れが色々な所で欠けている。
テロに参加するのはとてもイイと思います。
若い主人公が思想に感化され犯罪組織に、
という設定は良いのですが、
感化される程の要素が足りないですね。
もったいない。
最後は時間切れみたいに唐突で
ここももっと主人公の心の描写が欲しい。
何も変わらない世界の不条理、
を描くなら尚更。
ちなみに私も新聞奨学生だったので
配達風景、販売所はよく描けてると思いましたが、
チラシ折込はどうした?雨カバーは?
主人公不在時は専業が代配でしょ?
契約は長くてもせいぜい6ヶ月だから
それ以上の未納は無いぞ?
とか本筋に無関係だけど気になった(笑
無駄に政治的な内容があるアニメ映画
本作は未曾有の大厄災によって
世の中が混迷を極めているなかで
辛い過去が理由で自分の意図せず時を止めることができるようになった
主人公が上京して、新聞配達員として働いているなかで
自分と同じように時を止めることができる少女と出会い
その兄がいる半グレ集団の「831戦線」の事件に巻き込まれていくことになるらしい
まず、この映画のキャラクターはCGで動かしているが
なんか常にグラグラしている感じがして
前半はそれが目立って退屈に感じてしまった
しかも前半は新聞の未納料金を回収するシーンとかは
ストレスが多いし退屈だった
新聞配達でこれが現実にあるのかはよくわからないが
主人公は「理不尽な怒り」が時間を止めるトリガーとなり
その能力を使って、未納料金を回収していく
そのなかで、自分と同じ時を止めることができる少女と出会い
その娘は「死の危険」が時を止めるトリガーとなるらしい
831戦線は少女の能力を使い
政治関係者などを拉致などをしていく
そのなかで主人公が協力をすることになり
総理大臣を拉致するときに
実は政治家と831戦線にはつながりがあったという発言もあって
拉致事件は茶番だったのかなと感じてしまった
ちなみに831戦線のメンバーが
親に虐待をされていてた過去を語るときに
児童相談所を批判していたから
社会派アニメ映画って、定期的に児童相談所を批判してるなと思った
その後、主人公は前と同じ生活に戻ったが
831戦線の首謀者から郵便物が届いたことがきっかけで
時をまた止めてしまい、その後少女と再会をして物語が終わる
そのシーンは個人的に先に進むという感じでよかったが
よく考えたら何も物語で解決していないで終わった
ちなみに大厄災はなんとなく新型コロナを意識しているように思ったけど
作中ではハッキリとどんなことか言及していない
そして、この作品は全体的に政治的発言が多く
貧困になった原因は政治という理由で
「831戦線」が実力行使をして政治を動かすということになっているが
政治的な内容もなんか抽象的で作中で生かせているとは思えない
少女の過去の内容も結局は
「アメリカが牛耳っている」という感じがして
微妙だよなと思った
ヘンに政治的な内容を取り入れているが
それを消化しきれてない感じがして
全体的にイマイチに感じた作品だったと思う
CG作画もあまりいいとは思えないし
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