「古典世界から突き抜けてくる女性の闘い」最後の決闘裁判 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
古典世界から突き抜けてくる女性の闘い
とても現代的な映画だった。と言っても描かれてるのは1800年代だし、描かれる手法は羅生門だし、至って古典的。だけど、描かれる事件は、まんま最近もあったよつな証拠の示しようのないレイプ事件。3人の視点から描かれるレイプに至る道筋。そして本人の視点があるのだからそれが真実になる。なら真実だけ描けばいいのにその亭主と亭主のライバルでありレイパーの視点が入る。亭主は見栄と建前の権化。レイパーは奔放の権化。その両方の犠牲になる女性。結果女性は義理の母もレイプにあったが黙ってた、という生き方を無視し、レイプを公表し、決闘へ亭主を促す。この決闘、亭主が負けたら自らもレイプどこではないリンチ以上の死が待っているというもの。決闘がはじまっても終わっても一言も語らない女。その視線のみ。盛り上がる群衆と名誉を得た亭主。しかし女のみ無言。勝者も敗者もない、ただ子供との未来があった。それがこの女性のレジスタンスだった、と感じた。考えてみれば、出てくる男出てくる男、みんな時代が産んだろくでなしである。その中でマルグリットだけが現代にも通じる女性に見えた。
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