劇場公開日 2021年10月15日

「今と何も変わらない」最後の決闘裁判 nakajiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今と何も変わらない

2021年11月4日
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テーマを絞る事は時間制限のある映画と相性がいい
よく出来た作品は観客を飽きさせないし時間が短く感じるものだ

ちょうどテーマを絞ったという点では同じ”CUBE 一度入ったら、最後”という駄作を観たばかりなので監督の上手い演出に心を奪われた
CUBEの監督が誰か知らないが、まさに月とスッポン
リドリー・スコットなんだから当たり前ですけどね

CUBEは人物の背景なんか入れながら、回収もせず中途半端に終わらせといて、テーマを絞っているからいらないとでもいうのかな
背景の無かった人物がいわくありってすぐわかるしね
インディーズ作品を大手がリメイクしてあれでは失態としかいえない

この作品は、決闘というテーマに絞りながら、とても広がりのある物語になっている

中世ヨーロッパの騎士の戦いを観せられるだけで昂る
日本の時代劇とはまた違ってワクワクしますね
切れ味の日本刀とは違う、骨まで砕く剣や斧
隙間無く身体を覆うチェーンメイル
馬とランスを使った決闘は子供の頃の憧れでした
一撃で弱い方が落馬するシーンをマンガでもよく見たけど、実際はグダグダの突きあいになるんですね
リアリティがありました

かと思えば
今も変わらぬ処世術
媚びへつらうのが苦手な人間が出世できないのは社会人なら身をもって知っているはず
まあ、これも才能の一つ
実力です

そして
男性主導社会での女性の憤りと反逆
ラストシーンの高揚と安堵と疎外感
女性が権利を主張する闘いを始めるのはまだまだ先の異世界は観客をゾワゾワさせるのに十分です

レイプ裁判は被害者が貶(おとし)められる典型
弁護する側はどんな小さな事もほじくり返して有利に事を運ぼうとする
デートレイプも含め被害者が訴えやすい制度が必要なのに、未だに進歩が無いのは怒りしか無い
今回だって良く訴えが受け入れられたものだ
家に入れた時点で合意とみなされる場合は今だってよくあるんだから
男の思い込みも相手の気持ちを考えないのは今も変わらない

そして主題である決闘
勝者が正義なんてショッキングなようですが
これは強者が正義って事です
ある意味、競争社会では当たり前
原点なだけじゃないでしょうか
妻を殺害した疑いをかけられた有名スポーツ選手は契約料の高額な弁護士をたくさん雇って無罪になった
金という力がものを言ったんですね
最近では権力という力があれば
法も警察も手出しできない事を証明した人が日本にもいましたね

今も何も変わっていない
実際の殺し合いが残酷に見えるだけ
牛や鶏を殺すのは残酷だけれど、肉にしてしまえばなんともないんですよ

俳優も豪華だ
エミリー・ブラントン似のジョディ・カマーは初見ですが、意志の強そうな美人です
華があります
これから注目ですね

言わずもがなのマット・デイモンとベン・アフレックにスターウォーズのアダム・ドライバー
でも対決する二人に身長差がありすぎる
マット・デイモンってこんな小男だったっけ?と調べたら178cmもある
アダム・ドライバーが大きいんだ
189cm
ちなみにハリーポッター君は165cmだから
上半身だけのショットなら画面から消えてしまうだろうね
と、つまらん話題も含め刺激的な映画でした

ネタバレ

ちなみに、子供は白髪とみせかけて下に黒髪がはやしてどんでん返しを狙っていますマダラだからわからないというのは生物学てきにはありえない。黒髪があるんだから・・・

nakaji