「勝てば官軍」最後の決闘裁判 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
勝てば官軍
重厚な時代背景に負けず劣らずの内容だった。
「真実」って言葉はあるのだろうけど、その意味には異議を唱えずにはおられない。
おそらくレイプはあったのだろう。
そこまでの認識に多少の誤差があったにせよ、そこまでは共有してるように思う。
そこから後の絵図を描いたのは誰だろう。
やはり夫なのだろうか?
それとも妻なのか。
…結局のところ明かされない「真実」
今も昔も「真実」の扱われようったら大差ない。
物語は三者三様の「真実」が語られる。
同じ事実を共有するも、その受け止め方は様々で、誰も真実を語ってないような構成だ。
人の数だけ真実がある。
決闘裁判にまで至るそれぞれの言い訳を観る事になる。真実よりも、自分の正当性だ。
知り合いがこんな言葉を残してた。
「自伝なんか信じるな。そいつに都合のいい事しか書いてない。」
まさに、そんな感じだ。
なのだが…3章に入り、少し趣きが変わる。
「真実」を利用し計略を企てるヤツがいる。
…勝者は誰だ?
勝敗はつくものの、モヤモヤ感は晴れない。
そして、執拗に映される敗者の成れの果て。
「死人に口なし」まるでそれこそが「真実」の成れの果てのようだ。
ラストは我が子を見つめる母の顔。
ぶっちゃけ、どちらの子かは分からない。
疑念を抱くもそれを証明する術はなく…ただ一つ分かっているとすれば、この子は愛し合った末に産まれた子ではないと言う事だ。
誰を騙せても自分だけは騙し通せない。
時代劇でもあるのでセットや街並みなんかも見応えある。勿論、現存してるロケ地ではないのだろうけど、めちゃくちゃ存在感があった。
当時の常識なんかも面白くて…女性が絶頂しないと受胎しないなんてホントに信じられていたのだろうか?科学的に証明されてるとまで言っちゃってる。
おそらくなら、現代を席巻する様々な常識も後の世では、同じような待遇を受けるのであろう。そう思うと馬鹿みたいに正論や常識に殉じる連中が可哀想にもなってくるし、それらの信憑性すら怪しいもんだ。
誰にとって都合のいいルールなんだろうか?
騎馬での一騎打ちって、お互いの右側を通るもんだと思ってたんだけど、左側を通るのだな。
力が交錯して逃げちゃうのだけど、ああいうものなのだらうか?
そして、剣の扱われ方が乱暴で驚く。
刀身は握る部署なんだな、アチラでは。
鎧も盾もあるから「斬る」よりは「叩く」って感じで、鉄の棒の方が殺傷力がありそうだった。
色々と見所の多い作品だった。