「この傑作、大作ラッシュに埋もれてはいけない」最後の決闘裁判 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
この傑作、大作ラッシュに埋もれてはいけない
これホントに実話ベースなの? あまりの面白さにグイグイ引き込まれてしまった。リドリー・スコット健在というか、凄すぎない。もったいないよね。大作ラッシュに埋もれてしまって。
寝取られた夫「ジャン・ド・カルージュ」、訴えられた男「ジャック・ル・グリ」、暴行を受けた妻「マルグリット・ド・カルージュ」それぞれの視点から物語を描く手法がとられている。当人たちが持っていた心情の差であるとか、認識の違いとか、思い込みとかが3つの視点ともなると、より鮮明に浮き上がってくる。この構成にリドリー・スコットの映像美が加わるからお目々パッチリで最後まで堪能しましたよ。
決闘裁判というだけで興味深々になるんだけど、中世ヨーロッパで女性がレイプされた事を公にすること自体がが信じられない。劇中でも危惧されていたように名誉殺人で葬られる危険性が十分あったと思う。
中世において、現代と異なるセカンドレイプがあることに驚いた。傍聴人がいる前で、オーガズムの有無を答えなきゃいけない。しかも尋問するのは、カトリックの聖職者。それに加えて、暴行罪で訴える根拠というのが、夫の所有物である妻が傷つけられたことへの損害だというんだから、これまたひどい。
決闘する当事者にとっては、生きるか死ぬか、名誉か汚名かの究極の闘いであるのに、フランス王シャルル6世は、はしゃぐほど楽しんでしまっているし、周囲を取り囲んでいる民衆は、貴重な娯楽として見物している。このコントラストがすごいよね。
この映画をエンタメとして楽しんでいる自分に批判する資格はないんだけどね。
コメントどうもありがとうございます😊
Le Gris信奉者は、Margueriteが嘘の告発を悔いて余生を修道院で過ごしたと書いているのですが、多分これは創作っぽいです。と言っても私もただ色々と読んだだけですので、間違いがありましたらごめんなさい。
こんにちは。
この映画は、自分の性によって 鑑賞度が違う様な気もします。
どうしても、マルグリット度同性のワタシは彼女寄りになるし、そうでない性の人は、ちょっと違う感想だったりするのが、ほーと思ってます。
三者三様の微妙な違いが興味深かったですよね。