「長いのに気にならなかった」最後の決闘裁判 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
長いのに気にならなかった
男性と女性では見えている世界が違うというのはよく言われていること。その違いを活かした物語は今までたくさん生まれている。1つの話が人によって見え方が異なるという作品が好きなので楽しみにしていた本作。
レイプされたと訴えた女性の夫、レイプしたと訴えられた男、そして最後に訴えた女性。3人の立場から見た「真実」を描いていく手法は、若干ありがちではあるが面白かった。同じシーンでも立場を変えると違って見える。実際に目線を変えたら撮影はし直さないとダメなんだろうな。しかも、微妙に行動に違いが出る。自宅で襲われるマルグリットの靴が脱げるシーンは、ル・グリの視点だとマルグリットが自分から脱いでいるように見えた。
全編通して感じるのが、当時の女性の扱われ方の酷さ。後継ぎを生むための道具として見られていたり、男の所有物を汚した罪としての裁判だったり。決闘裁判も夫が負ければ、その妻は炎で焼かれることになる。なんという扱い。
途中、暴れた牡馬が大事な牝馬に襲いかかるシーンも当時の女性の扱われ方を象徴するようでうまい不快さの演出だった。
中世のフランスが舞台なのに、現代にも通じるテーマが根底に流れている感じがして考えさせられてしまった。やはりリドリー・スコットは素晴らしい監督だ。
コメントする