「それぞれの真実とは?——14世紀の話でありながら現代にも通じるテーマ」最後の決闘裁判 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの真実とは?——14世紀の話でありながら現代にも通じるテーマ
百年戦争のさなか、だらだらと散発的な戦いが続いていた14世紀末のフランス。マルグリットは夫の短期出征中にたまたま一人になった日に、夫の旧友の男にレイプされてしまいます。
相手は伯爵の信頼も厚く人望がある男、一方夫は愚直で世渡りが下手、戦績は挙げるものの周りから疎んじられる存在です。
女性にも人権があるとは誰も思っていなかった時代です。マルグリットは勇気を出して夫に告白し、直情的な夫は相手を訴え、証拠が無いため決闘裁判で決着をつけることに。勝者には名誉が、敗者には罪人として残酷な死が待っているのです。
本作は3部構成になっていて、①夫カルージュ、②夫の旧友ル・グリ、③マルグリットの視点で描かれますが、それぞれの視点で事件の見え方が微妙に違い、それが戦友であった男たちの間に軋轢を生み、やがて夫婦を追い詰めていく緊迫した様子を丹念に描写しています。
男たちは双方の正当性を主張しますが、自分に都合のいい解釈をしていて、女性の気持ちを考えてはいません。
マルグリットは美しく聡明で、自分の考えをはっきり述べる女性です。夫の母や友人はそんなマルグリットを快く思いません。現代に比べるとこの時代の女性の方がはるかに尊厳を踏みにじられているのですが、現代の私達にも共感できる内容です。
明度を抑えた映像は重厚で美しく、戦闘シーンは甲冑や剣のぶつかる音や息遣いが迫力があってとても見ごたえがあります。
私は興味深く飽きずに観られましたが、内容が単調だと思う人は長く感じるかもしれません。
コメントありがとうございます(共感もありがとうございます)
800年以上も前の歴史物の映画でしたが、
ゆり。さんのおっしゃる通り現代に通じる映画でしたね。
(赤ちゃん髪の色は金髪でしたね。良かったですね。
最後の最後、盛り上がりがすごくて興奮しました。
さすがリドリー・スコット監督作でしたね。
ゆりさん、コメントありがとうございます。
マルグリットは本当にル・グリが大嫌いなら2階に逃げず、外ににげると思うのですが、、、なのでその辺りはル・グリを勘違いさせてしまったのかも、とも思いました。そして自分の火炙りの件がなければ、どちらが死んでも構わないとおもっていたのかも。
私の調べた資料では在位途中のどのへんからなのかは書いてなかったのですが、およそ40年も在位期間がありましたからこの裁判の決定時点では、初期のほうなのでまだまともな精神状態だったのではないかと思ってます。シャルルとかルイとか同じ名前の◯世が多いので、異名、あだ名が多いんですね。イングランドのリチャード獅子心王(ライオンハート)なんかもそのひとつです。神聖ローマ帝国にも赤ひげ王(バルバロッサ)とかいたような…
それぞれの都合のよい映像を見せられるかと思ったのですが、事実は全く同じで心象の違いが描かれていたので、2人目、3人目になるに従って目が離せなくなりました。
長尺なので、眠眠打破を用意していたのですが、全く必要なかったです😹
ゆり。さん、コメントありがとうございます。ちらっと浮かんだのは、家畜のお世話係のおじさんがいましたよね。あの人はガタイもいいし、マルグリットも信頼してたので、屋敷の中に呼べば良かったのにとか思いました。いけないのかな?レディ・マクベスのピューちゃんみたいになっちゃうから?
フリーガイは年に数本ある「意外な感動作品」でした。今年は「映画だいすきポンポさん」ですかね、自分的には。配信で何かをご覧になる際は、選択肢に入れてくださいましw
ああ、なるほど、そうですね。私は映画を観る時に監督が誰かまで意識するほどは映画に詳しくないので、あらためてリドリー・スコット監督を検索してみました。いくつかは鑑賞してました。アイディアや映像の素晴らしさはもちろん、人物の描写、感情面も手を抜かない監督ですよね。