劇場公開日 2021年10月15日

「それぞれの真実とは?——14世紀の話でありながら現代にも通じるテーマ」最後の決闘裁判 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5それぞれの真実とは?——14世紀の話でありながら現代にも通じるテーマ

2021年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

百年戦争のさなか、だらだらと散発的な戦いが続いていた14世紀末のフランス。マルグリットは夫の短期出征中にたまたま一人になった日に、夫の旧友の男にレイプされてしまいます。
相手は伯爵の信頼も厚く人望がある男、一方夫は愚直で世渡りが下手、戦績は挙げるものの周りから疎んじられる存在です。
女性にも人権があるとは誰も思っていなかった時代です。マルグリットは勇気を出して夫に告白し、直情的な夫は相手を訴え、証拠が無いため決闘裁判で決着をつけることに。勝者には名誉が、敗者には罪人として残酷な死が待っているのです。

本作は3部構成になっていて、①夫カルージュ、②夫の旧友ル・グリ、③マルグリットの視点で描かれますが、それぞれの視点で事件の見え方が微妙に違い、それが戦友であった男たちの間に軋轢を生み、やがて夫婦を追い詰めていく緊迫した様子を丹念に描写しています。

男たちは双方の正当性を主張しますが、自分に都合のいい解釈をしていて、女性の気持ちを考えてはいません。
マルグリットは美しく聡明で、自分の考えをはっきり述べる女性です。夫の母や友人はそんなマルグリットを快く思いません。現代に比べるとこの時代の女性の方がはるかに尊厳を踏みにじられているのですが、現代の私達にも共感できる内容です。

明度を抑えた映像は重厚で美しく、戦闘シーンは甲冑や剣のぶつかる音や息遣いが迫力があってとても見ごたえがあります。
私は興味深く飽きずに観られましたが、内容が単調だと思う人は長く感じるかもしれません。

ゆり。
琥珀糖さんのコメント
2023年1月12日

コメントありがとうございます(共感もありがとうございます)
800年以上も前の歴史物の映画でしたが、
ゆり。さんのおっしゃる通り現代に通じる映画でしたね。
(赤ちゃん髪の色は金髪でしたね。良かったですね。
最後の最後、盛り上がりがすごくて興奮しました。
さすがリドリー・スコット監督作でしたね。

琥珀糖
アンディぴっとさんのコメント
2021年10月26日

ゆりさん、コメントありがとうございます。
マルグリットは本当にル・グリが大嫌いなら2階に逃げず、外ににげると思うのですが、、、なのでその辺りはル・グリを勘違いさせてしまったのかも、とも思いました。そして自分の火炙りの件がなければ、どちらが死んでも構わないとおもっていたのかも。

アンディぴっと
グレシャムの法則さんのコメント
2021年10月22日

私の調べた資料では在位途中のどのへんからなのかは書いてなかったのですが、およそ40年も在位期間がありましたからこの裁判の決定時点では、初期のほうなのでまだまともな精神状態だったのではないかと思ってます。シャルルとかルイとか同じ名前の◯世が多いので、異名、あだ名が多いんですね。イングランドのリチャード獅子心王(ライオンハート)なんかもそのひとつです。神聖ローマ帝国にも赤ひげ王(バルバロッサ)とかいたような…

グレシャムの法則
三輪さんのコメント
2021年10月20日

本当に隙間なく緊張感があって力作です。判りやすいところも魅力のひとつでは?

三輪
bionさんのコメント
2021年10月20日

それぞれの都合のよい映像を見せられるかと思ったのですが、事実は全く同じで心象の違いが描かれていたので、2人目、3人目になるに従って目が離せなくなりました。
長尺なので、眠眠打破を用意していたのですが、全く必要なかったです😹

bion
カールⅢ世さんのコメント
2021年10月19日

ゆり。さん、コメントありがとうございます。ちらっと浮かんだのは、家畜のお世話係のおじさんがいましたよね。あの人はガタイもいいし、マルグリットも信頼してたので、屋敷の中に呼べば良かったのにとか思いました。いけないのかな?レディ・マクベスのピューちゃんみたいになっちゃうから?

カールⅢ世
bloodtrailさんのコメント
2021年10月19日

フリーガイは年に数本ある「意外な感動作品」でした。今年は「映画だいすきポンポさん」ですかね、自分的には。配信で何かをご覧になる際は、選択肢に入れてくださいましw

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年10月18日

フリー・ガイのジョディ・カマー、カッコ良かったですよ。と言うか、あの映画、意外なムネアツ感動作でしたよ!

bloodtrail
ゆり。さんのコメント
2021年10月18日

ああ、なるほど、そうですね。私は映画を観る時に監督が誰かまで意識するほどは映画に詳しくないので、あらためてリドリー・スコット監督を検索してみました。いくつかは鑑賞してました。アイディアや映像の素晴らしさはもちろん、人物の描写、感情面も手を抜かない監督ですよね。

ゆり。
bloodtrailさんのコメント
2021年10月17日

そこはリドリー・スコットですから、現代に通じるテーマを与えて映像化した、って事かと思いました!

bloodtrail