劇場公開日 2021年10月15日

「ジョディカマーが圧巻、当時の女性を思うと胸が痛い」最後の決闘裁判 シネマラブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ジョディカマーが圧巻、当時の女性を思うと胸が痛い

2021年10月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

知的

ジョディカマーが圧巻です。
当時の女性を思うと胸が痛いです。
重い余韻を引きずっていますが、ビジュアルがここまでとは想定していず、衝撃でした。

待ちに待った公開、夫の友人に強姦されフランス最後の決闘裁判の中心に立たされた女性の実話を元にした作品ということ以外、一切前情報なしに見ました。正解でしたね。
未見の皆さん、是非前情報なしでみてください。

羅生門形式だったんですね。
強姦された女性は被害者なのに、同じ女性である義母にすら同情されず、夫は冷たく労りを感じられず、裁判でも非情な質問を受ける。
女性の権利は無きに等しかった当時、立ち上がった女性がいたこと、未だ謎の多い当事件にスポットライトを当てたリドリースコットが残した功績は大きい。

強姦のような事件は合意の有無が問題になりますが、男女でこうも捉え方が違うものか。
まさかここまで詳細に描かれるとは思っていなかったから驚きました。

問題のシーンは女性の私は正直見ていて辛かった。
戦闘シーンも執拗に繰り返される。
思わず目を背けたシーンがいくつかありました。

結局女性の尊厳のためではなく、男のプライドのために行われる決闘。
アダムドライバーが上手すぎて初めて嫌いになりかけました。
マット・デイモンも優しさや思いやりに欠ける粗野な夫を好演。

終始重々しく、決してただ楽しめる映画ではないですが、非常に真摯に女性の権利やアイデンティティに向き合った映画で意義深い作品でした。

最後は当時の女性を思い思わず涙が出ました。

シネマラブ