「ずっと未婚・既婚にこだわってるつもり?」ずっと独身でいるつもり? ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと未婚・既婚にこだわってるつもり?
結婚に囚われているのに恋愛相談のコメンテーターを務めるライター。独身を謳歌しているようにSNSでは見せて結婚願望を承認欲求でごまかすキャリアウーマン。広い家と子供に恵まれても育児に非協力な夫に悩む主婦。P活で若さを売って20代後半を迎えたギャル。夫に尽くし続けてきただけの母親。
全部、今を映し出したようなシーンの連続。
これだけで令和がはじまった頃の日本を振り返る時に貴重な参考資料になりそう。
ただ、描いているのは「結婚って何?」「幸せって何?」という普遍的なテーマ。
現代は昔と比べると女性の自由も大きくなって、選択肢が増えて生き方も様々になった。だからこそ迷うし悩むし間違える。
こういう映画を観て「結局は自分らしく生きろって事なんじゃないかな、いつの世もさ」みたいな安易な総括をしたくない。
そんな簡単じゃないからみんな不安の中サバンナをサバイブしてんだよと思う。
そう、ドラマや映画みたいなそんな簡単にはハッピーエンドに辿り着かない。
だからこそ、みんな今までの自分から一皮むけて新しい生活を見い出すラストがフィクション過ぎて、緻密に描かれたリアリスティックな世界から「あ、そっか。コレ映画だもんね」と現実に引き戻されて、興醒めしてしまう部分も…。
あと、登場する男が(叔父さんを除いて)全員どうしようもなくて、かなり露悪的に描かれている。
もちろん、意図的に悪い部分だけを強調しているのだけれど、独身も夫婦もすべてデメリットだけの片面提示なのが気になった。それぞれ良いところも絶対にあるからね。まあ、尺の問題もあるから仕方ないか。
最後に、田中みな実に「愛される事や人にどう見られるかばかり考えてた」と言わせた時点でこの作品は成功している。