「自然とまかり通ってるあれこれに風穴、フッと心が軽くなる」ずっと独身でいるつもり? たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
自然とまかり通ってるあれこれに風穴、フッと心が軽くなる
舞台挨拶付きの先行上映会にて鑑賞。その辺のレポートも含めて。
田中みな実さん始め4人の女性陣は華やかな装い。唯一の男性登壇である稲葉友さんは控えめに一歩下がってた。ふくだももこ監督はベリーショートでピンク髪が強烈。『君せか』の舞台挨拶はでリモートで対面ではなかったこともあり、感極まる場面も。
女性の生き方がカテゴライズされている事への疑問と痛みに寄り添う。この手の作品はどうしても男性の醜悪を炙り出されがちなのだが、今作は違う。
知らぬ間に犯している言葉が多数転がっているので、ちょっとドキッとする。しかも男性だけでなく、世代や立場によって言われがちな言葉尻を上手く繕っている。だから男性はハッとさせられるだろうし、女性でも自分とは違う彼女たちに理解と共感をするのではないかと思う。
4者4様の女性たちの生き方から見つめていくのだが、そのストーリーの中心は田中みな実。10年前の著書でチヤホヤされるタレント。彼女とリンクするように見えるが、そんな痛みを知っている彼女だからこその演技が印象的。市川実和子はかつてその本に陶酔していた独身を。松村沙友理はパパ活で食いつなぐ女の子を。徳永えりは育児のインスタのインフルエンサーながら悩むママをそれぞれ体現。
男性的な視点になるが、「女性だから」というジェンダーバイアスに縛られる当事者はホントに息苦しそう。多少嫌な感じをドリップしているが、意外と同棲から見ても気持ち悪い。優越に浸る感じももう古臭くて、再生産されることに違和感すら感じる。
そんな自分でも、孤独ではない"1人"を生きるために開いていく彼女たちに心がフッと軽くなる感覚はあった。意外と過剰な程にルールや風潮はまだこびり付いているから、そういう意味では男性も共感できる気がする。
ふくだももこ監督の寄り添い方と人間味を感じさせるリアリティはやっぱり心地良い。映画では少ししか社会は変わらないかもしれないけど、双方理解が深まるといいなと思う。もっとカテゴライズの不要な部分を取っ払える様になるといいな。