ラストナイト・イン・ソーホーのレビュー・感想・評価
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立場が弱い時代であっても女性は強いんだな、と。
いわゆる‘見える系‘ではあるもののこれが心霊系なのか他人の記憶読める系なのか分からないまま進んだため奇妙さがより際立っていた。主人公が単におかしい可能性もあったし。
これが、普段から様々な幽霊が見える描写があればありがちな‘幽霊お助け物語‘で陳腐な作品になっており途中で席を後にしていた。その場合はせいぜい、星3が良いところ。
(日本人が作るとそうなっていたかも?)
鼻の下を伸ばして近づいてくる男が気味悪くて見てる途中泣いてしまいました。
思わずギュッと抱きしめたくなりました(←気味悪い男)
これは妄想なのか誰かの記憶なのか夢なのか自分の将来を暗示しているのか、などなど考えてるうちに完全に世界に引き込まれた。
散りばめられた60年代の音楽や情景と現代がうまくシンクロしていた。
報復の仕方はあれだがサンディが強い女性でスッキリしました。
不憫な過去にもかかわらず元気なサンディにもお前だったのか!と思いつつ、安心もしたし元気そうでよかった!という謎の感情になった。
殺める位追い詰められていたから不幸には変わりはないが。
最後、霊として現れた清々しい表情をしたサンディとエロイーズの指タッチに最初の涙とは別の意味で泣いてしまいました。
予告は正直つまらなそうだったが見てよかった。直観は大体当たるが稀にこういう作品に当たるからフラッと映画館に行くのがやめられない。
セクハラおじさん亡霊コメディ
デザイナーを目指しロンドンの大学に通うことになったエロイーズがある古めかしい家の屋根裏を借りたことで60年代に同じ部屋に住んでいた少女の人生とリンクする話。
前半の60年代ミュージックとオシャレな雰囲気ですごく好きだったのでできればこれで最後まで行ってほしかった。特に60年代にエロイーズが入っていく最初のカットでショーン・コネリーの『007』の看板が出てくるカット胸踊ったし、鏡を介したエロイーズとサンディの描写も良かった。
でもセクハラおじさんの亡霊が出てき始めてからちょっとそれがポップになったり、最終的にゾンビっぽいのがちょっと残念。女性が男性に感じる恐怖をホラーとして描いてるのは良いんだけど、その恐怖が必ずホラー的な恐怖な訳でもないのでそれでひとまとまりにされちゃってるのがな。
暴力を振るわれたり、夜に知らない人に後をつけられてるような怖さは確かにホラーの怖さなんだけど、男性が下心のある目線を向けてくることに対する感情って体の内側からジワジワと恐怖が湧いてくるって感じ。それまで100点満点の1日をすごしてるのに急に話しかけられた瞬間に60点ぐらいになる感じ。無視すれば良いとかの問題じゃなくて話しかけられた瞬間に気分がマイナスになるんだよ。分かるかな?(笑)
劇場何度もエロイーズに「かわい子ちゃん」みたいな感じで話しかけてくる男が出てくる描写があるならその恐怖の感じ描き分けて欲しかったな。
でも、警官のじいちゃんに対するミスリードの仕方はとっても的を得ていたと思う。絶妙にまともな人にも見えるし絶妙にキモいんよね。普通に「この町の女の子は全て把握してる」とか言ってるじいちゃんキモイやん。「君の名前の曲だよ」とかめっちゃキモイやん(笑)(笑)
多分あのじいちゃん男性主人公の映画だったらちょっとおかしなお助けキャラみたいな感じなんだろうけど、若い女の子が主人公だったらお助けキャラにはならんよ(笑)昔偉い人だろうと今何をしてる人だろうと、急に話しかけてくる男性は女性からしたら"ストレンジャー"でしかない。
そしてサンディ側で出て来る時も警官だとしても他のおじさんとあんまり気持ち悪さ変わらないっていう。ほんとにちょっとまともかな?ぐらい。
ホラー描写はそんなに怖くないんだけど冒頭のキラキラ描写で心踊ってるから油断しててめっちゃビックリします。
なんてスリリングでゴージャスでスタイリッシュで今日的でLGBTで#M ee Too的なんだ。
年も押し詰まって、「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイの胸のすくようなビューテイショットが拝めれば、、、と軽い気持ちで鑑賞したところが、思いがけない大作っぷりで魅せられました。
美術、小道具、音楽、キャスティング、隅々まで丁寧に作られていたので、いっぱい見逃しがアリそうです。
前を歩く若いカップルが、
「面白かったね、でもあのおばちゃんがサンディだったとは、ショックだよね」
と話していました。
いろんなメタファ的な意味で自分を殺し、60年代を生きのびてきた女性たちの声に耳を傾けてみようか。
予想外
サイコホラーってことですが、サスペンス的要素もあって、楽しめました。
ホラー特有の急に出てきて驚かす的なのは控えめです。あまり得意ではないので、控えめでよかったです。
60年代と現代を行ったり来たりするのですが、60年代がきらびやかで良いですね。今は全然違う様子でしょうけど行って見たくなります。
ヒロイン二人も魅力的です。
犯人が意外な人で良い意味で裏切られ、最後まで楽しめました。
夢は叶った?
ファッションデザイナーの夢を叶えるためにロンドンへ。
寮生活になじめずって、そりゃ、あんな意地悪なルームメイトじゃ、エロイーズじゃなくてもご免でしょうよ。
無事に一人暮らしが出来て良かったけど、しつこいルームメイトのいじめからは逃れきれない、ね。
とはいえ、メインは学校の授業ではなく、夜の夢。
夜な夜なあんな夢を見てたら精神的にやられそう。
サンディとエロイーズ、似てなくもなかったが、別人だったね。
大量の死体があったわけだよね?
臭いとかしないのかな…ガーリックの匂いに消されるわけか。
クラスメイトが僕の伯母があっち系なんだよ、みたいに言ってたけど、だから…?だったね。(笑)
最後にずっと現れなかったお母さんが出てきてくれてホッとしたような表情。
お母さんが何かしてくれるとか、そういう力はなかったようだけど。おばあちゃんも。
学校は…おまけだったのか?もう少しこっちの話も欲しかったなぁ。
殺された男たち、華やかなショー、そんな夢のシーンが多くて、若干疲れた。
事故物件に住んだ若い娘の怪異譚
響き合うA面とB面
華やかな街で、たぶらかされて心ならずも身を売る羽目に陥った娘の悲しい怪異譚をA面に、サクセスを夢見てロンドンに上って来た若い娘の青春グラフィティーをB面にした映画。いや、どちらもA面にもB面にもなり得ます。
エロイーズは母譲りの霊感が仇になり、反対側の世界に紛れ込む。メインはホラーなのに、グラフィティーの部分も強烈に訴えてきました。「愛なき世界」は懐かし過ぎ!
怨念は決して消えない
街、路、居酒屋、ショーパブやアパートの部屋に満ち溢れた過ぎ去りし日の怨念が、トーマシイ・マッケンジーが演じるエロイーズと言う依り代を得て、歌い出す、踊り出す。いつまでも浴びていたい、派手でチープな光の洪水。
そうか。例えば我が青春の歓楽街である夜の池袋にも、あんな恐ろしい魔界ゾーンがあったかも知れないです。
エロイーズがやはり強烈
トーマシイ・マッケンジーは、この作品に限らず何かに囚われた役柄が似合いすぎですね。「オールド」でもそうでしたが、見開かれた青い瞳が正気と狂気の境を歩いているようで、真っ逆さまに落下しそうで怖い。それなのに、近づいてあの真っ白な肩回りに触れずにいられない…みたいな。
このシネマで諸悪の根源になった、女衒のジャックの手練手管にも、エロイーズだったら耐えられたかも知れない。しかしサンディはサイボーグのような女たらしに籠絡されて娼婦になってしまった。
もう世間の欲得も女もすっかり忘れたような大家の老婆がサンディの成れの果てだった。事故物件は、普通は亡き亡霊たちの仕業だが、今作は大家が犯人と言う設定。
エンディングで登場した人気の無いソーホーの街路は、如何にもまた怪異は繰り返されることを匂わせて、もしかしたらこのシーンが一番怖かった。
エモーショナルなホラーを堪能しました。
最後もトーマシイの話ですが、目の回りに隈を付けた顔が色気有りすぎで、ヤバい。
Perfect!
待ってましたこんな映画!!
予備知識ナシで行って大正解でした。
うん、しっかり作り込んだ内容に、伏線回収もラストの展開も言うことナシ!
素直にめちゃくちゃオモシロカッタと、満足と達成感を感じられる素晴らしい作品です。
実は、芸能を目指す方なら誰もが経験する、いわゆる例の”壁”に翻弄され人生が狂った切ないお話が根幹です。
エロイーズも彼女のママも、きっと純粋無垢でオバケが入り込む隙間や共感力が高すぎるんだろうな。。
弱いヒロインに共感出来ず。
●ヒロインも過去の女も共感できない。
特殊能力で過去の人物に共感するところから物語が進むが、あくまで夢想。なぜヒロインが過去の女の死の真相を探る行動するのか、いまいち動機がうすい。だって夢で観た過去の話なんだから。
ヒロインは過去の女をマネているだけで、大きな成功を得ているわけでもない。女の存在が今の自分を支えている…というような強い絆を感じない。
そもそもこのヒロインは都会っ子に邪険にされて、イジケただけの人物だ。物語を牽引するだけの劇的欲求に欠ける。しかも過去の女も言わば自業自得のサイコでしかない。何故なら例え男に利用された不幸であっても、彼女自身が選択した生き方だから。嫌ならば逃げ出さえばいいところを、男たちを殺すことで憂さを晴らすなんてまったく共感できない。例えば病気の母がいて生活苦のためにその道を選ばなければならなかった。加えるならそのような境地に男たちが画策して追い込んだ…というような背景があればまだ女が殺人鬼になったことに納得できる。いじめられっ子のヒロインも夢のために苦渋を耐える覚悟があったなら、いじめっ子(たいしたいじめやってないし)と折り合いをつけた人間関係も築けたはず。
ヒロインも過去の女も自分の弱さで落ちているのであって、共感というか同情がわかない。
●ヒロインの劇的欲求が薄いので、何で楽しませるかの要素が中途半端。
前半は過去の女に共感をうけながら進む夢追い物語。後半は女の死の真相にせまるサスペンス。だが1本の映画としては何がやりたかった映画なのか印象がぼやけてしまう。
青春、ファンタジー、サスペンスといろいろ盛り込んだ上で作品として成立するには、ヒロインの彼女が何を目指すのかが強く筋を通してないと、ただ巻き込まれた女の子のフラフラに観客は付き合うことになる。
●途中で女の正体がわかってしまう。意外性を狙うならよほどうまく伏線しないとバレてしまう。
観る前は、ミステリーのような雰囲気だけれど、紹介記事では「繰り返さ...
観る前は、ミステリーのような雰囲気だけれど、紹介記事では「繰り返されるタイムリープ」というような文言もあるので、SFかしらんとも思いました。前知識なしで鑑賞。
英国の田舎町で祖母(リタ・トゥシンハム)と暮らすエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)。
60年代ロンドンのファッションに憧れ、念願叶ってロンドンのデザイン学校に入学。
寮生活を始めたが、周囲の学生たちとは溶け込めず、ひとり暮らしを決意する。
新居は古い建物のロフト部屋。
「深夜の洗濯、喫煙は禁止。夜8時以降、男性の同伴は厳禁」という老主人ミス・コリンズ(ダイアナ・リグ)は少々怖そうだが、いいひとのようだ。
新生活を始めたエロイーズだったが、その夜、60年代のロンドンで暮らすサンディという女性(アニャ・テイラー=ジョイ)に夢で遭遇する。
いや、遭遇するというものではなく、自身がサンディに変身しているのだ。
そのリアル感は夢といえるものではない。
そう、エロイーズは、幼い頃から、幻視の兆候があり、それは現実に起こったことだったのだ・・・
といったところからはじまる物語で、サスペンス、ミステリー、SF、ホラーの要素が詰まった序盤で、面白いのは、エロイーズが、夜、サンディに変身してから、昼間でも活き活きとしてくること。
変身願望とでもいうのだろうか、いまの自分とはちがった別の何者かなることの喜びは、デイヴィッド・クローネンバーグ監督『ザ・フライ』やサム・ライミ監督『スパイダーマン』でも描かれていました。
ショウビジネスの世界に飛び込むサンディは成功のきっかけをつかんだようだったが、それはきっかけに過ぎず、男性客にとっての消耗品でしかなく、ヒモ男ジャック(マット・スミス)に骨までしゃぶりつくされる羽目になる。
そして、ある夜、ベッドの上で、ジャックに馬乗りにされたサンディは、血まみれになってしまう・・・
「殺された!」と悲鳴を上げて覚醒するエロイーズ。
この部屋で殺人事件が!
殺人事件を幻視する女性・・・
あれ、つい最近、観たような・・・
『マリグナント 狂暴な悪夢』では驚天動地の原因でしたが、さて、本作は、銀髪の怪しい老人(テレンス・スタンプ)も登場しますが・・・
ほほぉ、そう来ましたか。
まぁ、どちらかと言えば常識的な線。
死体は続々登場し、ゾンビ映画のようなシーンもあるので、ジャンルミックス映画なんですが、基本的にはミステリーサスペンスに部類することにいたします。
なかなか、面白かったです。
ワクワクが止まらない
オープニングからワクワクが止まらない。
映像がお洒落、音楽がお洒落、演出がお洒落。
主人公と一緒に不思議な世界に引き込まれてしまっていたら、幽霊が。怪談て知らずに観ていた。
のっぺらぼうの男たちの幽霊がなぜ迫ってくるのか、縋ってくるのか、などすべて最後に腑に落ちる。
怪談だけれども、後味の良い終わり方。
こういった脚本が良く考え込まれている作品がいいな、
満足して映画館を出ることができる。
エンディングクレジットにインサートされる映像も、
作者のソーホーへの愛が溢れているんだろうな。
観終わって直ぐにまた観たくなった。
バリバリのホラーやん。
少し6センスのある田舎娘がロンドンでファッションの勉強をする。彼女は60年代のファッション、音楽が大好き!とにかくお洒落アイテム満載!
しかし後半夢と現実がごっちゃになり、お!これはブラックスワン的なやつか!?
と、思ったらバリバリのサイコホラー、シリアルキラー物でビックリ仰天。
アーニャとトマシンの切り替えの巧みさやスピード感は流石の監督の技量の高さ。
母親は・・・
事件と関係なかったんですね。
何処かで絡んでくるのかと思ってたんですが。
主人公の幻視の設定は、要らなかったのでは?と思いますね。
とは言え、とても楽しく?観れました。
ストーリーは、よくあるサスペンスものですが、二人の女性の交錯する演出や、事件の顛末まで、中弛みせず観れました。
テレンス・スタンプをミスリードで、ジョンと思わせようしてましたが、「顔の輪郭違うじゃん!このオヤジは違う」と、最初から気付いてしまいました。
とは言え、一番疑わしい奴が実は良い奴ってサスペンスの常套手段ですからね。
サンディに救いは無いけど、大量殺人ですからね、ラストは妥当なオチかと。
ジョンが一番クソで、殺されて然るべきですが、客のオヤジ達はねえ・・・サンディの事情知らない訳だし。
ロンドンのソーホーって知らないんですが、日本の歌舞伎町みたいなもんですかね?
幻影の正体
何かが「見えて」しまう少女の物語でした。
見えるのが亡くなってもまた会いたい肉親とかなら逆にほのぼのするんですが、
その場所に留まってしまった怨念のようなものだと下手に自分しか見えない分、警察に訴えても頭のおかしい人と思われるだけで。怖かっただけでなく陰でバカにされるという、、見える力があると2重苦になってしまうところは切なかったです。
でも主人公の女の子には、例え自分には直接見えなくても、他人には不可解に見える行動をしてしまう彼女を理解しようとして、見捨てずに側にいてくれた彼がいてくれて救われました。。人生に必要なのは「自分の理解者」だと改めて実感。
今ちょうど公開されているビョルン・アンドレセンの映画「世界で一番美しい少年」でも芸能界での問題点に関するテーマがありましたが、とりあえず芸能界は怖いところだと思いました。
そういえば途中で亡くなった元警察官が、犯人の名前までは辿り着いていました。あとは行方を追っていたんですね。でもその名前で郵便物が届いていたのに警察はどうしてあの犯人を捕まえられなかったんだろうか?と思いました。まさか、生きのびたあの犯人の姿も幻影?それはないか、物理的な行動をしていたし。
後半に、犯人の名前を聞いてからその宛名の郵便物を見た時が一番衝撃でした。そうかそういうことか、と。。
なかなか見応えのある作品でした!
エドガー・ライト監督らしい音楽と映像の絶妙なマッチング
事前知識はない状態での鑑賞。多くの映画レビュアーさんが絶賛していたし、私は以前エドガー・ライト監督の『ベイビー・ドライバー』を鑑賞して感動した人間ですので、「あのエドガー・ライトの新作」というだけで非常に期待値は高かったです。
結論としては、ストーリーに若干不満点はありますが本当に素晴らしい映画でした。特に、役者陣と音楽と演出が素晴らしい。前作『ベイビー・ドライバー』の特徴でもあった「音楽の気持ちよさ」は本作でも健在です。「ホラー映画」と言われていますがあんまり怖くないです。「スリラー映画」「サスペンス映画」の方がジャンル分けとしては正しい気がします。ホラー演出がジャンプスケアばっかりなのは個人的には不満ですね。ジャンプスケアは心臓に悪くて嫌いです。
・・・・・・・
ファッションデザイナーになるため、ロンドンにある服飾専門学校に入学したエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)。憧れのロンドンでの生活に胸を膨らませる彼女だったが、田舎から出てきたばかりで流行が分からずに同級生たちに馴染めず、寮のルームメイトからはマウントを取られて居心地の悪さを感じていた。寮から出てソーホーという地区の古いアパートで一人暮らしを始めたエロイーズだったが、引っ越してからというものベットで眠る度に自分が1960年代ロンドンで歌手を目指す美しい女性のサンディー(アニヤ・テイラー=ジョイ)になる夢を見るようになる。サンディーに憧れ、彼女の影響で髪型や服装を変え、見違えるような変貌を遂げたエロイーズだったが、夢の中で観る光景が実際に起こったことなのではないかと考えるようになる……。
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このレビューを書く前に、パンフレットと映画評論家の方たちの評論を一通り確認してきました。私は本作に登場する60年代ロンドンの文化にはとことん疎く、映画好きを語っている癖に冒頭のエロイーズの部屋にポスターが飾ってあった『ローマの休日』も観たことがありません。エドガー・ライト監督の作品は音楽や舞台設定を理解することでより楽しめると思っておりますので、映画鑑賞後に色々調べました。
一通り調べた上で感じたのは、監督の憧れとこだわり、そして「古き良き」を懐かしむ裏に潜む「臭いものには蓋を」という流れ。過去の美化へのアンチテーゼ。表向きは煌びやかだが、醜い裏側を持つショービジネスの世界への批判。
映画評論家の町山智浩さんの評論がかなり参考になりました。
本作の舞台となるソーホーと言う地域は、(現在ではかなり良くなりましたが)60年代当時は低所得者向けの集合住宅が立ち並ぶ非常に治安が悪いところでした。そしてこのソーホーという地区は、リージェントストリート(髪型「リーゼント」の語源となった通り)やカーナビーストリートなどの高級ブティック店や煌びやかな劇場が立ち並ぶ地区とほとんど隣接するように存在します。これが本作で描かれる「ショービジネスの光と闇」を端的に表した見事な舞台設定になっていると町山さんは指摘します。一見煌びやかな世界でも、少し裏側には人間の欲望渦巻く暗い影がある。これはイギリスの歴史や地理などを把握していないと分からない部分でしたので、こういう新たな発見があるから映画レビュー漁りはやめられませんね。
映画オタクのエドガー・ライト監督らしく、随所に過去の映画(特に本作の舞台になった60年代映画)へのオマージュが捧げられているそうです。私は全く気が付きませんでしたが。隠れミッキーを探すようなオマージュ探しや考察がレビューサイトや動画レビューなどあちこちで繰り広げられているため、「観終わってからも楽しい、コスパの良い映画」だったと思います。
ただし、多くのレビュアーさんが語っている通り、ストーリーは正直そこまで優れているわけでもなく、後半はのっぺらぼうおばけにエロイーズが苛まれるシーンが延々と続いて飽きますし、ジャンルとして「ホラー」と名乗っている割にはジャンプスケアが多用された安っぽい演出が目立つなどの弱点も目立ちます。素晴らしい映画であったとは思いますが、「手放しに大絶賛」とはならないのが残念なところです。
考察が好きか嫌いか・古い映画への知識はあるかなどによって評価が変わりますので、多分賛否両論あるとは思います。まずは観てほしい。とりあえず観てほしい。観たら一緒に語り合って欲しい。そんな映画でした。
オススメです!!!
R15+英国タイムリープスリラー、ホラー?
映画にインスパイアされた画家や漫画家さんの作品、ポスターが掲示されていた。
二階席にあがる階段の壁にもあるので
お見逃しなく(一階席の人も多分階段は上がってみていいと思う、確認してないけど)
男が観て
トーマシンマッケンジーがかわいかったとか
アニャテイラージョイが色っぽかったとか
エロイーズって名前がイイ♪とかいうたり
この映画を面白かったとかいうと、
またお前らは性搾取をエンタメにしてサイテーって言われそうで怖い、評価しにくい。
ドンデン返しというかまんまと引っかかったけど。
まだ生まれてないはずやのに
60年代ミュージックは聞き覚えのあるものばかり
ベイビー・ドライバーの監督ということで期待しすぎたかも
屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカをみたばっかりなので、匂い問題が気になった。
フリッツホンカもニンニクで誤魔化せば良かったのか?
死体置き場を他人に貸す意味も分からんし
(賃借人の回転上げて保証金目当て?)
カーテンも付けずにネオンチカチカする部屋で寝たらそら悪夢も見るって!
カフェ・ド・パリ入口は撮影出来ず
ヘイマーケットにある映画館を使って再現
007サンダーボール作戦のポスター
「トーカン(The Toucan)」はソーホーに実在するアイリッシュパブ
スィンギン・ロンドン・ナイトメアー
新鮮なスリラー映画だった。60年代のロンドンの裏町風景が臭いまで伝わりそうな雰囲気の演出には思わず唸ってしまった。サントラに使われている音楽も素晴らしく、音楽好きも納得出来る内容だ。残念なのがエンディングだ。強引な伏線の回収と取ってつけた無理矢理なハッピーエンドへの持って行き方は必要がなかったと思う。その前で終わらせた方が流れとしては良かったと思う。まぁ、それでも、相対的には面白い映画ではあった。
ソーホーって何だ
という疑問から興味を持った映画。
過去からの執拗なハラスメントに悶える女学生の大人向けディズニーなドラマティックホラー。
[ストーリー]
元々幽霊が見える性質の子で、
同じ性質を持つために自殺した母親がときどき視界に映る。
ロンドンのデザイン学校に合格してウキウキ生活を夢見る。
そしてさっそくクラスメイトから「田舎者」としていじめられる。
ここまではまあ普通(いや普通でない)で、
いじめがエスカレートしそうなところで寮を抜け、ソーホーという地区にある屋根裏部屋を間借りすることに。
しかしその部屋で眠る度に過去の他人の追体験をするようになる。
スターを夢見てカフェ・ド・パリに乗り込む美女サンディ。
絵に描いたように支配人たちを虜にする。
主人公が大好きなファッションをしているものだから、
夢から覚めてさっそくデザインに起こしてみると大好評。
これはしめたと続きを見ていく。
自分もオールドファッションを真似てイメチェンしたりする。
お金が必要になったのでアルバイトを始める。
そのアルバイト先にときどき現れる不気味な老人は、やたらと過去のことに詳しい。
気をつけろと主人公に告げる。
追体験の様子が変わり、サンディは主役どころか脇役ダンサーとして娼婦に近しい格好になっていた。
男に可愛がられなければ這い上がれない。どうしようもなく闇に落ちていく。
すると現実でも男の幽霊がコダマみたいに出没して存在をアピールしてくる。
主人公は慄き、幽霊だと勘違いして現実の人をハサミで刺しそうになり異常者扱いされ、
ボーイフレンドができてもベッドで幽霊を見て「離れろ!」と絶叫してめちゃくちゃ心配される。
否応なしにやってくる追体験でいよいよサンディはベッドで支配人に殺されてしまう。
主人公はこの老人が犯人だと思って問い詰めたところで事故死。風俗取締の元警察官だったことが発覚。
いったい犯人は誰なのか。幽霊も鬱陶しい。主人公のメンタル限界。
田舎に家に電話する。「もう帰りたい」
屋根裏部屋の大家に相談したらまんまと毒薬を飲まされる。
ボーイフレンドが助けに来て刺される。
実は大家の若い頃が例のサンディだった。彼女は部屋に招いた男を殺しまくっており、
主人公が見た光景も、真実は彼女が殺されたのではなく「殺した側」で、
幽霊たちはすべて彼女が殺した男たちの亡霊だった。
「とりあえず死んでおくれ」とドタバタするうちにボヤが起き、幽霊は「助けて助けて」と訴えてくる。
大家はその怯える幽霊たちを見て「もういいか」と諦めて炎の中に身を投じる。
後日、主人公もボーイフレンドも復活。ファンションコンテストも大成功。
母親の霊も何やら嬉しそう。サンディの霊も「やるじゃん」とタッチしてハッピーエンド。
長い。ちょっと盛り込みすぎだがテンポが良かったので苦にならない。
トーマシン・マッケンジー演じる主人公の弱々しさも、良い意味で観る人に注意を向けるのではないだろうか。
間接的な描写や言い回しが多いものの、ある程度は説明しているので意味不明でもどかしく終わることは無いかと。びっくり要素はそれなりにある。
ところで、レイトショーから颯爽と退館して受付も静まり返った空間を切り、梅田の街に出ると、
「まだ映画の世界だったのか」と言わんばかりのヘッドライトと通行人の雑踏感。
おかげでいつもより多めに余韻に浸れたので、ここはぜひ映画館で。
今年の映画おさめはまだ決まらない。
全100件中、41~60件目を表示