「センス抜群お話なんやこれ」ラストナイト・イン・ソーホー ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
センス抜群お話なんやこれ
という第一印象。
田舎からデザイナーを目指して服飾の専門学校に入学したエロイーズは、学校の寮生活になじめず、ある家の屋根裏部屋を間借りして一人暮らしを始める。もともと自殺をした母親の幻影を見るとか見えないものが見えてしまっていたエロイーズが、その部屋で眠ると歌手を目指すサンディという女性に憑依する形で追体験をしていくが、というお話。
まず序盤の専門学校の寮生活のくだりで田舎者のエロイーズちゃんが都会育ちのクソビッチどもにバカにされ、半ば追い立てられるように一人暮らしをしなきゃいけなくなってしまい、なんかひでぇなロンドン、と勝手にロンドンヘイトが集まってしまう。
まあ、この映画全編通してロンドンに良い印象は持てなくなります。都会怖いわーってなすこと間違いないし。
そこから、ショービジネスに飛び込もうとする、容姿端麗サンディちゃんとのシンクロストーリーが始まるんだけど、ここはもう最初はキラキラしている…ようだけどやっぱりどこか危うさを感じるのはどこのショービズもどうせこんなことになっちゃうんでしょ、というお約束通りの展開。なかなか心が浮上するような展開になってくれない。
もう、出てくる人全般クソ野郎。アイツもコイツもクソ野郎。ちょっとええ人かなと思っていてもすぐひっくり返される。
この、ショービジネスにかかわるとみんなこんなになっちゃいますよ感はきっと世界共通なんやな、嫌な世界よね。
中盤以降はややホラー展開が強くなって、エロイーズちゃん気の休まるところなしになる。
こんなに追い詰めんでも良くない?この出てきとるやつら一体何が目的なん?とちょっと分からんくなる。その癖にエロイーズちゃん追い詰めすぎなんよね、ここがちょっと謎ポイント。
終盤に種明かしパートがあって、あーそうなのかとはなる。でも、だからといって救いのあるストーリーだったかと言われると、ちょっと悩む。
結局過去のストーリーに一つの救いもなかったなと。
主人公を演じたトーマシン・マッケンジーちゃん垢抜けない女子がよく似合うなと思ったけど、サンディに合わせて金髪に、その後のお化粧の仕方も相まってどんどん洗練されていくさまが自然で、最後はすっかり都会の女性デザイナー然とした佇まいになっていた。
対するサンディ役のアニャ・テイラー・ジョイは鼻っ柱が強そうな金髪美人で、野心家のサンディ役にピッタリ、この二人の最初のビジュアルのコントラストから、どんどんエロイーズをサンディに寄せていくアプローチはとてもうまく出来ていた。
結論としては、金と権力持つと男はすぐエロに走るな、そんなクソ野郎どもに搾取されない世の中になればいいのにな、と強く思った次第です、ジャ〇ーさん…。