劇場公開日 2021年12月10日

  • 予告編を見る

「ミステリーホラーだったの!? イヤァ参ったが、面白かった!」ラストナイト・イン・ソーホー abukumさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ミステリーホラーだったの!? イヤァ参ったが、面白かった!

2021年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

またやってしまった。「返校」のときと同じで、短いバージョンの予告編見て、勝手に60年代タイムスリップムービーと勘違い。サイコホラーっぽい場面に慄きながらも(中身はミステリーですが)、楽しく終わりまで見ました。面白かったし、懐かしかった。60年代のロンドンに行ったことがあるわけではないが、世代的にワクワクと懐かしく感じたのだから、監督の力量はなかなかのもので、「マルホランド・ドライブ」に匹敵する出来。

しかも、女優が二人とも非常によい。予告編の勘違いで、互いに入れ替わるのかと思い、それにしてはあまり似ていないなどと不審に感じていたが、次第に納得する。
少しナイーブだが現代娘のエロイーズは、巫女のようなシックスセンスの家系でもあり、サンディの喜び・悲しみと苦しみを追体験し、やがて霊寄せから真実に至る。
トーマシン・マッケンジーとアニヤ・テイラー=ジョイ、若いのになかなかのもんです。今が旬、映画ファンは是非とも見とくべきです。二人とも「目」がすごい。だから鏡の演出が効いてくる。アニヤ・テイラーは、クイーンズ・ギャンビットのチェス少女のときから只者ではないと思っていたが、歌も上手いことを見せつけたので、出世作になりそう。

デイブディーグループの「ソーホーの夜」がタイトルテーマで、ピーターとゴードンの「愛なき世界」がかかっている、キャバレー/カフェ・ド・パリで歌うのはシラ・ブラックですから、サイコやホラーが少しぐらい苦手でも、我らが世代は見なきゃ損です。予告編を勘違いするように作ってくれて「ありがとう」です。
しかも、どこかで見たと思っていたら、大家さんはダイアナ・リグ、謎のリンジー爺はテレンス・スタンプではないですか! エンド・クレジット見るまで気が付かなかったのは、無念。ダイアナ・リグは、撮影後に(公開前に)がんで亡くなってたらしい。合掌。
こんなところで大好きな二人に会えたとは…(涙)、なんか嬉しかった。そうだ彼らは60年代にブレークしたイギリスの性格俳優。
ファーストシーンといい、至るところに監督のオマージュを感じました。

abukum