「事故物件に住んだ若い娘の怪異譚」ラストナイト・イン・ソーホー Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
事故物件に住んだ若い娘の怪異譚
響き合うA面とB面
華やかな街で、たぶらかされて心ならずも身を売る羽目に陥った娘の悲しい怪異譚をA面に、サクセスを夢見てロンドンに上って来た若い娘の青春グラフィティーをB面にした映画。いや、どちらもA面にもB面にもなり得ます。
エロイーズは母譲りの霊感が仇になり、反対側の世界に紛れ込む。メインはホラーなのに、グラフィティーの部分も強烈に訴えてきました。「愛なき世界」は懐かし過ぎ!
怨念は決して消えない
街、路、居酒屋、ショーパブやアパートの部屋に満ち溢れた過ぎ去りし日の怨念が、トーマシイ・マッケンジーが演じるエロイーズと言う依り代を得て、歌い出す、踊り出す。いつまでも浴びていたい、派手でチープな光の洪水。
そうか。例えば我が青春の歓楽街である夜の池袋にも、あんな恐ろしい魔界ゾーンがあったかも知れないです。
エロイーズがやはり強烈
トーマシイ・マッケンジーは、この作品に限らず何かに囚われた役柄が似合いすぎですね。「オールド」でもそうでしたが、見開かれた青い瞳が正気と狂気の境を歩いているようで、真っ逆さまに落下しそうで怖い。それなのに、近づいてあの真っ白な肩回りに触れずにいられない…みたいな。
このシネマで諸悪の根源になった、女衒のジャックの手練手管にも、エロイーズだったら耐えられたかも知れない。しかしサンディはサイボーグのような女たらしに籠絡されて娼婦になってしまった。
もう世間の欲得も女もすっかり忘れたような大家の老婆がサンディの成れの果てだった。事故物件は、普通は亡き亡霊たちの仕業だが、今作は大家が犯人と言う設定。
エンディングで登場した人気の無いソーホーの街路は、如何にもまた怪異は繰り返されることを匂わせて、もしかしたらこのシーンが一番怖かった。
エモーショナルなホラーを堪能しました。
最後もトーマシイの話ですが、目の回りに隈を付けた顔が色気有りすぎで、ヤバい。
コメントそして共感ありがとうございます。
大好きな映画なので、コメントもとても嬉しいです。
夜の世界にまるっきりご縁がなくて、薄野のバーなんかすっかり
ご無沙汰してます。
トーマス・マッケンジー、美しかったですね。清純で。
アニャ・ティラー・ジョイは魔性を秘めて・・・
2人のダンス、魅惑的でしたね。
(裏と表・・・)
ミラー越しの映像、妖しさ、悪いボーイ、
何もかも美しかったです。