「大島てるもビックリ」ラストナイト・イン・ソーホー Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
大島てるもビックリ
ソーホー(Soho)
ロンドンのど真ん中にある繁華街
かつては貴族が再開発を試みたがうまくいかず
愛想をつかして出ていくにつれて庶民が移り住み
20世紀には風俗・映画産業のメッカとなった
酔っ払った作家や芸術家・ミュージシャンが
入り浸る事でカルチャーの発信地となった
世界中の繁華街にソーホーと名が付く
元ネタでもある
エドガー・ライト監督作品は
「ショーン・オブ・ザ・デッド」
「ホットファズ・俺たちスーパー・ポリスメン」
「ベイビー・ドライバー」
などなど観たことがあります
吟味したであろうBGMに乗せてテンポよく
場面が進んでいく感じは
初期のタランティーノや色んな映画のオマージュ
を感じさせますがうまくまとめる人だな
と言う印象の監督です
ちょっとベイビードライバーは
頭のカーアクションシーンがインパクト
ありすぎて尻切れトンボ感があって
あれはイマイチだった
「見える」力が昔からある
夢見がちな英国の田舎の少女エリー
このたびデザイン学校に合格し
憧れのロンドンはソーホーへ行きますが
まぁ刺激が強すぎて寮は荒れ
ルームメイトは嫌な奴でウンザリ
そこで近隣の雰囲気の良い
古いアパートを見つけ引っ越します
ところがクセの強い大家ミス・コリンズが
いるこの物件は夜な夜なレコードをかけると
あっという間に周囲は憧れの
60年代ロンドンに早変わりし
鏡の向こうでサンディという女性を
傍観する事になります
サンディはステージで歌う事を夢見る
少女なのですが自称マネージャーのジャック
にそれを叶えてもらおうとします
エリーは気が付くと夢から覚めたように
部屋で目覚めるのですが
そのサンディのファッションなどから
インスパイアされ自身の服飾デザインも
60年代テイストを受けて順調に行きます
この60年代の世界は架空ではなく
現実の昔のソーホーであることに
エリーは徐々に感じはじめます
その近辺には怪しげな白髪の男の
存在にも気が付くのでした
サンディは確かに才能あふれるのですが
ジャックは仕事をもらうために
皆やってると枕営業を要求
サンディは断固拒否しますが逃れる
事が出来ずどんどん飲み込まれて行きます
そんな憧れた60年代ロンドン・ソーホーの
闇を見てエリーはショックを受け
アパートに帰りたくなくなりますが
溶け込めないエリーを一人だけ
学内で気にかけてくれた黒人ジョンが
ハロウィンパーティーに誘うと
その会場でもサンディが枕営業してた
男たちがのっぺらぼうな顔で見え
エリーは錯乱しますがジョンが介抱し
二人が急接近
男連れ込むの禁止と言われたアパートに
連れ込みますがそこでジャックともみ合って
刺されるサンディの姿が見え再び発狂
ジョンも見つかって追い出されてしまいます
エリーは警察に駆け込みサンディが刺された事
等を訴えますが警察も突然昔の事件を
言われてもとまともに相手しようとしません
何か証拠があればと言われ
エリーはソーホーで起こった殺人事件を
図書館で調べますがなにせ治安の悪い町
なので新聞記事がいくらでも出てくる中で
きりがありません
そこへジョンもやって来て協力して
くれるのですが再び枕営業の男たちの
幻影に追われるエリーは立ち向かおうとして
ジョンが止めなければうっかりルームメイトを
刺しかけてしまいます
エリーはすっかり頭のおかしい人に
思われてしまいます
エリーに付きまとってくる白髪の男が
ジャックだと思い込んでいたら
その男は捜査官でしたが
ロンドンタクシーに撥ねられて
たぶん絶命してしまい真相は
わからなくなりました
エリーはもう田舎に帰ると決意
せめて保証金を返してもらおうと
ミス・コリンズに交渉にいくと
警察が来たことを知らせたコリンズは
事の真相を話し始めます
サンディはコリンズで枕営業をさせ
夢を奪った男たちをみんな殺害し
床下に埋めていたのでした
「見える」エリーはその怨念を
感じ取ってしまい
大島てるもびっくりの事故物件だった
わけです
コリンズは口封じしようとして
エリーは追い詰められますが
そもそもエリーはサンディに同情的
でありどうにかサンディを救おうとした
エリーに絆され一人燃え落ちる
アパートと運命を共にするのでした
ミスリード要素もあり最後まで
事の真相はハッキリしないまま見ていける
展開は良く出来ていたと思います
作風的に60年代のソーホーには
ペトゥラ・クラークの名曲「恋のダウンタウン」
やキャバレーの雰囲気などは
加藤茶のちょっとだけよの源流など
色々感じることが出来ました
それでいて枕営業の実態など
まあそうだったんだろうなぁという
昨今のフェミニズム的表現も入れ
美化しているわけではないという
クギまでぬかりありません
ぱっと見オシャレ感で中身はどうだと
思ってしまうところも最初は訝しんで
いましたがちゃんとしてたと思います
まああとはとにかく
アニヤ・テイラー・ジョイ
トーマシン・マッケンジー
この二人の美しさ
よかったわ~