ブルー・バイユーのレビュー・感想・評価
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アメリカ人という意識ながら疎外感を感じる辛さの極限を描く!!
難民や不法移民にも歴史があり、その2世、3世ともなると、生まれたころから移住地で育っていることもあって、アメリカならアメリカ人、カナダならカナダ人という自覚の強く、他者から移民だと言われたところで実感があまりない。特に戦争孤児などであれば、里親を転々としている間に、自分のルーツさえもわからなくなってしまう。実はルーツは不法移民ということもありえるのだ。
その中でも、不自由ながらも、家族をつくり、幸せな生活をしている者もいるが、何か問題が発生してしまうと、不法移民扱いされてしまう。周りからは、よそ者扱いされ、麻薬カルテルや人身売買など、犯罪がらみの不法移民と同等に扱われしまう。
警察沙汰になった場合、行政の世話になった場合、表に出したくない情報があぶり出され、そこにある歴史や理由は考慮されない。 住まいがあって、家族もいるのに、強制的に国民ではないとされて、行ったこともない母国に強制送還されてしまうこともあるのだ。
ドナルド・トランプの行った政策によって、そういった意味では、家族から大切な人を引き離す結果になった。しかし、その一方で、実際に犯罪を抑止することもできたことを考えると、これはアメリカや他の国に限ったことではないが、政策の穴というのは、戦争を繰り返してきた国、もともと移民が集まってできた様な国では、簡単に白黒付けられないから難しい。
今作は実話がベースとなっているが、こういった経験をしている人達は、数多く存在しており、決して異例なことではない。
実話ベースといっても、非日常的事実だからこそ映画化されることが多いが、今作は日常的に起きすぎているからこそ、映画化する必要があるということなのだ。
監督・脚本・主演を務めたジャスティン・チョンは、生まれはアメリカで、アメリカで活躍している俳優だが、ルーツは韓国にあることもあって、どこかで道が違っていたら、決して他人事ではなかったかもしれなかった。アメリカ育ちのアメリカ人と思っていても、外見はアジア人。周りはそうは思っていなかったかもしれないが、どうしても感じてしまう疎外感というものがあったのだろう……それが映画の中に、にじみ出ている。
法の隙間に見える、親、子、家族とは。
3歳で韓国から養子として米国へ来た男性。30年以上も経ってから当時の書類不備ということで強制送還が決まってしまう。覆そうと闘う男性とその妻だが…
映像や展開がやや映画っぽすぎる(ご都合主義?)感はありつつも、親子3人の演技が素晴らしく痛いほどその心情が伝わってきて最後は泣かされた。
不法移民ではなくきちんと養子縁組をして入国し長年住んでいるのに、今頃になって不備が見つかり実際に強制送還される人がいるというのは事実らしい。30年前くらいまで法に不備があったらしく。当時まだ子どもだった彼らに非はなく、ほんと理不尽な話としか言いようがない。
他人事ではないと感じてしまった
予告を観たときから気になってた作品。
養子縁組とそれに伴う法手続きの漏れ、という本作のテーマとは違うけれど、自分にシンクロさせて観てしまった💦💦💦
日本で生まれて日本で育ったあたしがもし明日突然『出生時の手続きの不備からあなたはお父さんの祖国であるインドに強制送還されます』なんて言われたら人生終わったとしか思えないんだろうなー。言葉の問題、目先の生活の問題、文化の問題、家族と離れ離れになる恐れ、などなど。どの側面を切り取ってみても恐怖しか感じない😱😱😱
メインテーマである養子の問題以外にもracistな警官とかlower classの貧困問題とか観ていて苦しくなってくるテーマが盛り沢山。それでもジェシーの透明感のおかげですごく良い作品に仕上がっていた印象✨✨✨
based on a true storyとは言ってないけど、養子が市民権を持たないケースは遠い昔の話ではなくon goingな問題と知り、またしても苦しい。
ラスト
序盤から主人公の家族と周辺の人達の生活を淡々と描いているが、全く飽きさせない
奥さん役の女優が「エクス・マキナ」のエヴァだった
警察官の元旦那の相方が本当にバカでクズ(アイ,トーニャ の実行犯並のバカ)
義理の娘とのラストシーンで涙腺崩壊!!
それまで淡々と進んでいただけに、あれは泣く!!(思い出しても泣けてくる)
遥かなる山の呼び声。
韓国な高湿度駄目押しベタが米国に展開するのが新味。
相似形「遥かなる山の呼び声」が天才天然子役吉岡でギリ成立したと同様、本作も子役の貢献大。
社会問題の表出を白人悪徳警官一人に負わせる無理が惜しい。
泣かせと説教の配合度合いは正しいが、それ以上には至れず及第点。
私の好みではない映画だった。
冒頭の川で花が咲き誇る中を小舟が揺れるシーンは、美しく期待を持たせた。だが、就職の面接で入れ墨がどアップされて映し出された主人公を見て、嫌悪感が先に立ってしまった。私とは肌が合わないので、仕方がない。最後まで付き合ったが、鑑賞したのを後悔している。高評価を取る映画とは私は思わない。冒頭のシーンは主人公の実母が子供を養子に出す理由を表している。しかし、彼が母国である韓国へ強制送還されることとは、直接関係はない。
養子縁組み手続きに、不備があったためだからだ。30年もアメリカに住んでいながら、不法移民として強制送還されることには、同情する。だが、前科もあり白人の妻に養母は死んだと嘘をついている。そこに養父の虐待が絡んでいて、複雑な過去があることは理解できる。白人の家庭にアジア系の子供が養子に出される。白人の女性と結婚したり、オートバイ窃盗犯とすぐに疑われたりなど物語をこね回していないか。それに顔のアップシーンが多すぎで、この監督は構図を考えていないかなと思ってしまう。
好ましいと思ったのは、主人公に同情するベトナム難民の女性だ。末期癌を患い、死も覚悟している。
以前から崩壊した南ベトナムからアメリカに移民した人達はどうしているのだろうかと興味があった。その一旦に触れることができた。
本当は0,5点減点したいところだか、趣味の違いでマイナスしては可哀想だ。
どうにもならない駄作
冒頭から嫌な予感がした。タトゥーについては趣味の問題だからとやかく言うつもりはないが、就職面接で正直に答えない態度は不誠実である。まるで商品の欠陥を隠していいところだけを宣伝する悪徳商人みたいだ。バイクを盗んだ前科のことを傷害罪じゃないと主張する。そんな言い訳が通じると思っている頭の悪さ。だったら傷害罪の前科者は殺人じゃないと主張するのか。殺人の前科者は、ひとりしか殺していないと主張するのか。バカが全開である。貧しいことを強調するにも別の方法があったと思う。
いくらバイクを盗んだ前科が後のシーンに繋がるとはいっても、こんなに主人公の印象を悪くする理由が理解できない。もしかするとジャスティン・チョンは、このシーンで主人公の印象が悪くなると思っていないのかもしれない。だとすれば、驚異の倫理観の持ち主だ。
主人公アントニオ・ル・ブランは最初の印象のとおり、ろくでもない行動を繰り返す。子供がいるのに煙草を吸ったり、勝手に学校を休ませてどうでもいい時間を過ごさせたりする。見苦しいし、カッコ悪い。観ていて胸が悪くなる。
確かにアメリカ政府の外国人に対する国外退去の強制は、人権侵害そのものだ。長期にわたって築き上げた財産や人間関係を取り上げて、謂わば異国の地に放り出す。無実の人に死刑宣告をするような悪行であり、悪政である。そこを描きたいのであれば、主人公を善人にして観客に感情移入させるのが王道である。そうすれば観客は、なんて酷い制度なんだと、怒りを共有するだろう。
しかしアントニオの素行の悪さを考えれば、自業自得なのではないかと思ってしまうし、処分を告げられてからの行動は、日本人の当方から見ると、諦めが悪いとしか言いようがない。弁護士費用が捻出できないなら、SNSで訴えることもできた。通行人を触りながらタトゥーの売り込みをするのは場合によっては訴えられるだろうし、おぞましい振る舞いである。頭が悪いのか。その後の行動には呆れ返った。
どうしてイリーガルな行動で家族を苦しめるのか。幼い頃の虐待の思い出があったとしても、それは一生胸のうちにしまっておくべきで、虐待の記憶を家族に共有させて家族までも苦しめるのは野暮だ。粋じゃない。妻に問い詰められると、お前は何もわかっていないと言う。この独善的な価値観は、はっきり言って気持ちが悪い。観客はアリシア・ヴィカンダーが演じた常識的な妻には感情移入できても、アントニオにはまったく共感できないだろう。自分のことしか考えない幼稚な精神性である。
水溜りにオートバイで突っ込んだら引き上げるのは難しい。なのに翌日にはオートバイを売っている。そもそもオートバイを売ると言って妻の反応を見るのが鬱陶しい。子供が駄々をこねているみたいだ。先に売ってから報告すればいい。
思い切りが悪く諦めが悪く素行が悪く頭が悪くて独善的という、どうしようもないアントニオが、美しいアメリカ人女性に愛されているのが一番の謎である。きわめて不愉快な主人公を見せられたあとで、テロップで退去強制の事実を羅列されても、白けるばかりだ。どうにもならない駄作である。
強いメッセージ
ただただ理不尽な現在のアメリカが抱える問題を、克明に描写していました。
たしかに養子縁組による移民は人身売買の温床となりやすく、臓器密売や強制労働とも関わり、闇のオークション市場まであるのが実情らしく、移民法の必要性はあったのだろう。
だが、トランプ政権以降の移民排斥や分断・ヘイトも後押しし、「何十年もアメリカで市民と信じて生きて普通に家庭を持った人が、突然産まれた国とはいえ見知らぬ場所へ連れて行かれる悪夢のような状況がある」と本作は指摘している。
そんあ「アメリカ法整備の不備被害者」の実例を、山盛りてんこ盛りでドラマに組み込んでいる内容なので、観てる間のつらさたるや。
社会性に富んだこういった作品は、人権派が多いカンヌなどの映画祭とかでは受けそうだが、日常描写が多くてエンタメ性は少ないので、日本での興行的には厳しいと思います。
ただ私は、こういうメッセージ性の強い作品は割と好きなんですよね。
悪くはないのだが…
悪くはない、全然悪くはないのだが、脚本の練り込み不足を感じてしまう…。
バイク窃盗のエピソード、特にそれが後々絡んで来る訳でもないし必要?(ていうか、それを見逃す警官て)。奥さんの元旦那も悪い奴にしたいのか、良い奴にしたいのかどっちなんだよという感じ。また、元旦那を中途半端にしちゃった代わりに作ったんであろう明確な悪役(元旦那の同僚)を用意してしまったので、システムの矛盾・不条理さみたいな話が中途半端になってない?強制送還の措置を取られたのも聴問会が失敗したのも全部あいつのせいになっちゃってるし。しかも後半の襲撃シーンは聴問会に行けなくする為だけに用意されている感が有って唐突過ぎる。最初誰がなんで襲ってるのかよく分からなかった。
テーマ的には語るべき内容だと感じるだけに、そういう部分がすごく惜しく感じた。
最後もちょっとエモーション(泣かせ)に振りすぎでやり過ぎ感が有ったな。
アリシア・ヴィキャンデルが結構歌が上手かったのには驚いた。
追記:あ、そうか、バイク窃盗は奥さんが家を出て行く理由になってたか。
見応えあり?
こんな状況でいきなり強制的に国外退去決まってもどこにも居場所がなくなるな…法制度は必要だけど優しくない面をまざまざと見せられた気がする。犯罪に走るのはアメリカらしいと言うか同調出来ないけど退去させる事で誰の得になるのか。法制度の隙間があって見捨てられる人達は必ずいるんだなー、と痛感。厳しい…。
血の繋がりと親子
前夫との間の娘にパパと慕われている、養子縁組によって3歳から米国にいる韓国生まれの男性(遠藤章造似)。妻の出産を控えてタトゥーアーチスト以外の仕事を得ようと就活しても窃盗の前科があり難しい。親子3人仲良く旅行を夢見てスーパーで買い物中、巡回中の警官の前夫と同僚に出くわす。実父が嫌いな娘と揉めてる同僚を見て、韓国人の主人公に嫌悪感を丸出しにする警官。無視をする主人公にカッとなり捩じ伏せ、連行してしまう。去年のアジアンヘイトを思い出す。動画でも撮ってあれば…
そのまま、主人公は義理の両親の手続き不備により不法滞在と判定され、国外強制退去か控訴(負けたら最後)の二者択一、2000年に法改正があったが、1980年代の養子縁組には不適切な例が多いとのことで遡って適用はなし。控訴にも弁護士費用5000ドルが必要となる。
この2点を大きなテーマに、生まれてくる妹にパパの愛情が行ってしまうのではないかと思う、パパと同じ黒髪になりたい娘、同じアジア系でも主人公とは対照的なベトナム難民で癌を患って余命少ない女性と父親、その一族、生みの親である若い女性が池で赤ん坊(主人公)を沈める風景、養子先の義理の父親の虐待から主人公を守ってくれなかった義理の母親との関係などが描かれる。
今の暮らしを続ける最後の望みであった聴聞会に、義理の母親も来てくれていたのに、立ち寄ったカフェの駐車場で前夫の同僚達に暴行を受けて本人が出席せず、そのまま強制退去に。
バイク仲間が暴行の原因を知り主人公の国外退去を手助けする。空港で出国の列にいると、妻と娘が追い付く。そこに更に前夫が追っかけてくる。ヒヤリとするが妻の前夫は警官なのでもしかしたら「セイフ・ヘイブン」並の悪人かとも思ったが、同僚ほどのバカではなく、娘を抱きしめて許しを乞い、愛していると伝えるのだった。黙ってそれを受けとめる娘と実の父親の様子を見て、主人公は一人で出国する決意をする。着いて行くという妻を振り切り、1人で歩き出すとしばらく後、娘が「置いて行かないで!」と叫び、堪らず走って引き返し、娘を抱き締める。しかし別れを惜しむ時間はなく、握った手を無理矢理引き離して去らなければならなかった。くー、こんなことが空港では日常的に起こっているとしたら堪らんなー…
最後、主人公のように養子縁組から数十年後に強制退去になった実在の人達が映し出される。
アリシアちゃんも美しさを封印し、生活に追われている普通の女性を演じている。
深い映画だった。
ラストはやられます
恐らく大抵今回の話だと、奥さんの立場での感覚に近い方が多数と思う。
なかなか殻を破らない主人公にそっかダメかなと思いつつの畳み掛けるラストは涙堪えられるかっからの駄目押しで涙w
その後のファミリーがどうなったか気になります。
必見の傑作…
米国の移民政策とアジア系差別、更には貧困に翻弄される主人公の家族…
貧しいのだから何をしても良いのだ、と云うわけでは無いが、いくらなんでも理不尽すぎる。ましてこれがフィクションの世界だけでなく現実に起こって(起こされて) いるのだと知らされれば尚更…
記憶も無い頃から30年も住んでいるのに「不法滞在」として追い返されても、家もなければ知り合いもおらず、言葉すら話せないのをどうしろというのか…
監督・脚本・主演を務めたジャスティン・チョンはそうした理不尽さを伝えたかったのだろう。
キャシーやジェシーの愛、そして養母やエースの意外な行動は救いではあるが、それでも事態がなんら改善してはいないことは明らか。
問題を多々かかえるアメリカ社会で、今このコロナ渦においてアジア系差別の事実を訴えることには一定の意味があるだろう…
映画としても、特に主人公の母親との妄想ともつかない記憶のシーンやベトナム系女性との交流のシーンなど、芸術的な見所も多い。
必見の傑作…
フラ・ダ・リ
3歳の頃から30年アメリカで暮らす韓国出身の男が、家族を持ち新たに子供が産まれようとする中で、市民権を持っていないことが発覚し巻き起こっていく話。
嫁と連れ子の娘と暮らす主人公が、嫁の元旦那とその相棒の警察官とのトラブルに巻き込まれ、逮捕された際に市民権がないことが発覚し、強制送還の危機に陥っていく。
アメリカの法律に詳しくはないけれど、この問題は何度かTV等でみたこともあって、そんな状況で主人公の抱える過去や、貧しさや、元旦那との親権問題等を絡めながらみせていく流れは、自由の国なのに非常に閉塞感を感じる。
気付いたらエースは良いやつっぽくなってたり、デニーは何の借りだよ?とかもあったけど、そんな中での痛みを抱えた人との交流や、優先順位づけと選択が及ぼすタイミングのズレから生じるすれ違いやその結末とか、なかなか哀しくやり切れず、そしてとても面白かった。
養子縁組の国外追放の現実を知る
何とも言えないドラマ。結婚して我が子もいても引き離されてしまう残酷さ。
最後の娘とのシーンは涙涙涙
グッときました。
映画の中の刑事が最低だった。
腹が立った。
ラストら辺は話が次々飛んでやや分かりづらかった。
子役だけかな
子役の演技は見る価値あり。
後は泥沼にハマっていく一家を見続ける苦痛しかない。
救いようが無く、ある意味、二人の出会いから祝福される要素が全く無い。
ラストも予想通り。
辛い映画を見たい方向き。
アメリカの養子縁組制度の闇をつついた作品
養子縁組し3歳からアメリカに住んでいる主人公が結果的に強制送還されてしまうまでの過程を描いたドラマ。内容はとても残酷でつらいものがあるが、移民問題までもを真正面から描き、合間に入るエモーショナルな映像が監督の強いメッセージを際立たせる。
アリシア ・ヴィキャンデルと子役の演技も素晴らしく、ラストは涙なしには観られない…
青い入り江
終始重たくシリアスなストーリー。本作で描かれるのはアメリカの移民や養子縁組の問題。アメリカで養子縁組された者の殆どが市民権を持たず実際に国外追放されている。エンドロールではその当事者たちが映し出され、この現実に驚きと怒りが込み上げてくる。
また本作のもう一つのテーマである“移民”。
ベトナム移民女性とアントニオの邂逅が印象的。とくに、水辺に揺られながら二人が向き合い会話するシーンは美しかった。
「バイク」「水」がよく出現する。
ラストシーンは見ているこっちが辛く、思わずもらい泣き。はぁ、やるせない。てか、アメリカの警察ってあんなんなの?あれで問題にならないの?胸糞悪いわ!
他の人が書いているように警察官二人の行動の描き方には粗さが目立つ。
ハッピーエンドではないからこそ、後に引く作品だ。
映像は美しく(ざらざらした質感も悪くはない)、スロージャズとの組み合わせもセンスの良さを感じさせた。
個人的な話だけど、監督兼アントニオ役のジャスティン・チョンがわたしの担当の美容師さんにそっくりで集中できなかった😅
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