劇場公開日 2022年2月11日

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ブルー・バイユーのレビュー・感想・評価

全64件中、21~40件目を表示

4.0辛いお話・・泣かされる・・・。 アメリカ社会のDV、モラハラ、差別...

2022年10月29日
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鑑賞方法:VOD

辛いお話・・泣かされる・・・。
アメリカ社会のDV、モラハラ、差別、格差の深刻さ・・か・・。
アジア系で貧しいと、アメリカではこんな感じなのかしらん・・。
子役の演技力が凄い・・。演技にみえない恐るべし才能・・。
あの方が実は根は悪い人じゃなかったので救われた・・・。
話は違うが、アリシア・ビガンダーのちょっとハスキーな声の質が好きなんですが。
あの声質って日本人の女性にはいない・。言語の発音の違いなのか・・。
白人種の女性にはよくあるのですが・・体の作りの違いなのかなにゃ・・。

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J417

3.5I’m so tired.

2022年10月1日
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鑑賞方法:映画館

力のある、ひじょうに見応えのある作品です。
でも、とても疲れた。観ていて、しんどかった。
主人公のアントニオたちが直面する過酷な現実の数々に、ため息を吐きたくなりました。目の荒いサンドペーパーでこころと体をこすられているような感じがしました。

最初はアントニオにまったく共感できなかった。
派手なタトゥーを入れていることや窃盗犯ということもあって。
自分とはだいぶかけ離れた価値観の持ち主だなと。

けれど、物語の半ばに至らないぐらいから、彼と、その家族にも自然と感情移入することができました。
終盤にはエースにまでも。

今回その名をはじめて知りましたが、見事な演技を見せてくれた主演のジャスティン・チョンは、本作の監督と脚本も務めているということで、かなり才能のある人ですね。今後の活躍に期待したいです。

それにしても、いい作品なんだけど、重い……。

なんか最近、映画を観ながら「アメリカに生まれなくてよかったな」と、思うことがよくあります。アメリカの人には悪いけど。

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peke

4.0強制送還に怯えて

2022年8月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

とても考えさせられ辛かった。
(そしてラストは子役ちゃんの迫真の演技に泣かされました)

ルイジアナ州ニューオリンズ。
3歳で韓国からアメリカに養子に出されたアントニオ。
アントニオ(ジャスティン・チョン=主演兼監督)は、妻のキャシー
(アリシア・ヴィキャンドル)と義理の娘ジェシーの3人で、
貧しいながら幸せな日々を送っていた。

ところが、ふとしたキッカケで不法滞在者扱いをされ、
元の国(韓国)へ強制送還措置が命じられる。
アメリカでは2000年頃まで、養子に市民権を与える制度がなかった。
そのため2000年以前に養子としてアメリカに渡った子供たちには
市民権が与えられておらず、
2000年以降に適切な手続きをする必要があった。
しかし多くの養父母はその手続きを行わなかったため
市民権のないまま成長。
裁判で、居住実態があると主張したくとも5000ドル以上の
裁判費用がかかる。
法律のはざまに落とされ、アメリカ国籍のない人は、
今日もどこかで強制送還されている。

国に帰ったところで住む家もない。
言葉も喋れない。
自分にはなんの落ち度もないその悲劇を、
アントニオという男の場合を例に、
問題視した作品です。
義理の娘のジェシーは実父の影に怯えているが、
アントニオとはとっても仲がいい。
ルイジアナのブルー・バイユー(湿地になっている青い入江)で、ジェシーに、
「絶対に置いてきぼりにしない」
と約束する姿はその後を知っているだけに辛い。
ブルー・バイユーとはアントニオに微かに記憶のある韓国の河
でもある。
アントニオが覚えているのは、母親が自分を落とそうとしたか、
誤って落ちたか、必死でもがいている記憶があるのだ。
美しい映像の中に「痛み」のある作品だった。

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琥珀糖

4.02本立て1本目。天下の悪法。 何十年もその地で暮らしてきた人を国外...

2022年8月18日
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2本立て1本目。天下の悪法。
何十年もその地で暮らしてきた人を国外退去にしてしまう。そんなバカな…

・主人公 家族愛はあるが昔は小悪党
・妻 家族が全ての超良妻。歌まで上手い(笑)
・娘 おしゃま。なんとも愛らしい。いい子役。
・警官1 妻の元旦那。悪いやつかと思いきや。
・警官2 これぞアメリカの警官。悪い奴。

そんな法、すぐ改良すればいいのに。政治家なんてどこの国でも同じ。自分の利益にならないことには関心なし。未だ道は見えないらしい。エンディングの多くの被害者に胸が痛い。社会なんて、理不尽なことだらけ。自分にも何が起こるか分からない。怖い。

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はむひろみ

4.5家族映画の秀作

2022年6月27日
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しろくま

4.5どこに行きたい?ここにいたい

2022年6月22日
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これぞドラマ。例えばヤン・イクチュンが『息もできない』を作ったように生まれるべくして生まれた必然の傑作。光の射す方へと背中を向けて、手前はピントが合わないみたいに曇って、時にカメラのレンズにはゴミが付いた黒い線が入っていてもそのまま押し通して ---
例えばスパイク・リーの『25時』を思い出して、また例えばウォン・カーウァイが社会派映画を撮ったようなスタイリッシュでスリリングな瞬間もある。ジャスティン・チョンの描く市民権を持たない養子問題。ここアメリカで物心ついたときからずっと20年、30年と生きてきたのに、突然縁もゆかりもないとまでは言わないまでも勝手の異なるよく分からない、記憶は遠く家もない"祖国"へと国外追放される人々が直面する現実の問題を、思わず感情移入・同情せずにはいられないドラマに昇華して、見事な映画として描き切る。

行かないと…主演2人がとにかくいいから夢中になってしまう。青い入江の象徴する記憶の影響と行方に、胸引き裂かれる思いだった ---
もしかしたらプロとか見る人が見たら多少クサいところなんかもあるのかもしれないけど、これがすごくすごく大切に作られた作品だなというのがひしひしと伝わってきて否定できない熱量をまとっていた。長回しでの動きのある画作りと、まるで写真や絵画のような静的画作りのバランス感覚。そして絶対的感性がタイトル通りの世界・空気感や雰囲気を嘘偽りなく、真摯に演出していた。粒子感のある映像の質感や少し横の詰まった画角に、音楽もよく合ったムーディーな現地的空気と異国情緒っぽさが絶妙に混在し溶け合っていた(ex. ジャズ←移民・奴隷)。

度々映る、《橋》という象徴的存在。笑って泣いて鳥肌の立つような愛しい瞬間が、また胸掴まれ苦しくなる時間が、丁寧な描写でしっかりとあった ---
今尚後をたたない最低な暴力イカれ警官どもの意味不明な短絡的キレ・ポイント(スイッチ)や逆恨み原理も、"まったく分からない"という意味で、よく分かる。嫌味なしで本当に"いい顔"した主人公の、光が指して輝くつぶらな瞳。人種のるつぼとしての多様性や難民。世界の中心として進歩的な国であるはずの好きなところで暮らす権利も、今や揺らいでいて窮地に陥っている。だが強い、ここで生きてる。"『トワイライト』(出演)の"という前置詞には違和感を覚えるけど致し方ない。むしろ振り幅があっていいくらいだと思うことにしよう。映画館での公開前から気になりつつ何故か見に行かなかった本作、やっぱり公開当時に見に行けばよかったなとしみじみ思う。

ICE
Jessie stays here.
ここはセラピーじゃないぞ
HONEST MONEY

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とぽとぽ

4.5【"青い入り江で観た儚き夢と、厳しい現実。”アメリカ養子縁組制度の瑕疵に対応していない、アメリカ司法、移民制度への怒りと、保守的なホワイトアメリカで生きるアジア系移民の怒りと哀しみを描いた作品。】

2022年4月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

ー 今作で、監督・脚本・主演を務めた韓国系米国人のジャスティン・チョンの哀しき過去を背負って、米国に養子縁組で来たアントニオを演じる姿が、素晴らしい。
 今作は、彼がエンドロールでも流れたアメリカ養子縁組制度の瑕疵をほったらかしにして、多くの家族を引き裂いたアメリカ司法制度、移民制度への怒りと、保守的な、ホワイトアメリカで生きるアジア系移民の遣る瀬無さと哀しみを描いた作品である。

◆感想 <Caution!内容に触れています。>

 ・全身タトゥのアントニオの哀しき過去を想起させる、劇中、屡描かれる、若き韓国女性の哀しき表情。

 ・アントニオの子を身籠ったシングルマザーキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と娘ジェニーとアントニオは貧しいながらも、楽しき生活を送っている。生意気ジェニーはアントニオに良く懐き、アントニオも実の子の様に可愛がっている。
 - 元夫、白人警官のエースが頻繁に”娘に合わせろ”と迫って来るが、ジェニーは影に隠れてしまう。エースの相棒の太った白人警官デニーは明らかにレイシストである。-

 ・その幸せに突然降って湧いたアントニオにエースの相棒の太った白人警官デニーに絡まれた事で、明らかになった30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。国外追放命令を受け、二度とアメリカに戻れない危機が訪れる。

 ・金策に走り回るアントニオの前に現れたベトナム移民の女性パーカー。睡蓮のタトゥを手首に入れて貰う。
 - ”睡蓮は、根が無いようだけれど、逞しいの。”
   余命僅かなパーカーとアントニオ一家の交流。
   アリシア・ヴィキャンデルが歌う”ブルー・バイユー”は沁みたなあ。-

 ・幼き日、養父母に盥回しにされたアントニオはバイクを盗んで裁判費用を作るも、生きていた養母を法廷に呼ぶ事を激しく拒否する。(養父から、虐待されていたのに、養母から守られなかった・・。)

 ・そして、劇中屡描かれる、若き韓国女性が幼きアントニオに行おうとしたことと、彼が自暴自棄になりバイクで、水中に飛び込むシーンの哀しきながらも美しきシンクロニシティである。

<ラストのアントニオの強制出国のシーンは切なすぎる。涙が出た。
 そして、エースが実は、心優しき、良い男であったことも、嬉しき驚きであった。
 再び書くが、今作は、彼がエンドロールでも流れたアメリカ養子縁組制度の瑕疵をほったらかしにして、多くの家族を引き裂いたアメリカ司法制度、移民制度への怒りと、保守的なホワイトアメリカで生きるアジア系移民の、遣る瀬無さと哀しみを描いた作品である。>

<2022年4月10日 刈谷日劇にて鑑賞>

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NOBU

4.5深くて、切なくて…とても愛しくて

2022年4月8日
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泣ける

悲しい

難しい

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ねもちゃん

3.5全てが捨てたものでもないが楽観的になるのはなかなか厳しい

2022年3月31日
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素晴らしい養父母もいるが、養子への家庭内暴力の話もよく聞く。法的手続レベルでも起きることがあるとは知らなかった。海外から子供を養子として迎えた時に、親がきちんと養子縁組の手続きをしないと子供は不法滞在者になる。物心ついた時から合衆国で育ったのに、ある日自分や結婚相手が不法滞在者と言われて退去を求められる。

観てる最中ずっと、これどうにかならないの?!と頭をグルグルした。どうにもならないし、転がってほしくない方向にも行く。その間主人公は今まで考えないようにしていた自分の出身地について思いを馳せるようになるし、また制御不能な運命について考えるようになる。

システムは彼を苦しめるけど、彼を愛する人たちが強いし希望をもらえる。多少は。

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mikyo

4.0切ない

2022年3月11日
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泣ける

とても良い作品、最後は涙腺崩壊しました。
知らなかったアメリカの真実に驚きます。もっと多くの人に見て欲しい映画なんだけど、上映期間が短すぎるよなあ。
まだ見られる地域の方は、是非見て欲しい。

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HAZU

4.0Blue Bayou

2022年3月11日
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泣ける

悲しい

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カールⅢ世

3.5制度の落とし穴で苦しむ人たち

2022年3月8日
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日本で養子縁組の制度はあまり浸透していない。周りに養子縁組をした人がいてもわかりづらいからそう感じているだけの可能性もある。アメリカでは国際養子縁組も盛んで、それがまたドラマを生んだりする。出身をいじられたり、母国の生みの親との関係性とか。
ところが本作では韓国出身のアントニオがアジア人として虐待されるシーンがない。当たり前に生活し、家族を養おうとがんばってる姿が描かれる。そして訪れる理不尽な扱い。アメリカの警察の暗部を見せられた感じで嫌な気分になる。
養子縁組していても市民権が与えられていない人がいるという事実に驚いてしまった。制度の落とし穴的なものだが、30年以上暮らしてきてそれはない。納得いかないよな。
でも、アントニオがとった行動も納得いかない。同情の余地はあるが、そんなことしちゃダメだ。でも、彼の苦しみや悲しみは十分に伝わった。彼らの今後を想像するとゾッとする。そして、こんな仕打ちを受けた人たちが他にもたくさんいることにも驚いた。

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kenshuchu

4.0もう泣くしかなかった

2022年2月27日
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これはアメリカ🇺🇸の移民政策に物申す逸品。
何より感情を揺さぶる秀作だ。

3歳の時に養子としてアメリカにやってきた韓国🇰🇷生まれの主人公。里親による虐待、貧困、それがもとで行った窃盗など、いいことなかったみたい。

シングルマザーと結婚し、娘と三人、ようやく幸せになれたのに。

ラストのスライディング&ハグ。
凄まじい激情。
もう泣くしかなかった。
肩を震わせ激しく嗚咽を漏らした。

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エロくそチキン

4.0ハンカチ携帯必須案件

2022年2月23日
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Oyster Boy

3.5それは報いか?

2022年2月23日
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カロロ恥子

4.5愛するからこそ別々の船に乗る。

2022年2月22日
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アメリカの養子縁組、移民問題を描いた力作。韓国で生まれ3才で養子に出されてから30年以上「アメリカ人」として生きてきたアントニオ。ある騒動をきっかけに国外追放を命じられ強制送還の危機に立たされてしまう。アメリカの国際養子縁組に隠された制度の落とし穴とは。自分は一体何者なのか。

脚本、監督、そして主演も務めたジャスティン・チョンは敢えていばらの道を選んだ。確かな家族への愛を見せる一方で、まるでそれに相反するかのような行動をとるアントニオ。とても同情などできない。不可抗力による強制送還という不条理を描くならもっと共感できる主人公の方がアプローチとしては説得力がある。でもそうしなかった。この闇こそがアメリカだと言わんばかりに。

はびこる人種差別に抗う時、正しさだけでは解決しないこともきっと多い。「家もない」「知り合いもいない」そんな国に追放される恐怖は誰が受け止めてくれるのだろう。確かに言えることは、それはアメリカではないということ。

ラスト5分は涙で息が止まりそうでした。2人の娘が成長してゆく過程で頼るべき父親は傍にいるだろうか。エンドロールで知る現実の一端。これが今現在進行で起きている事だと思い知らされる。

ジェシーがパーカーを見て「パパと似ている」と言った。その言葉がなんだか忘れられない。

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はるたろう

5.0アメリカ映画なのにヒーローもハッピーエンドもなし

2022年2月19日
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いい映画。一人で観て色々考えた作品でした。数々の映画祭に出てるから、なんでかな?と思いつつ勉強不足のまま観ましたが、良かったです。

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ゾイ

2.5不整合な社会の犠牲者

2022年2月18日
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あー、そーいう社会的背景があったんですね。本作で初めて知りました。相変わらず僕は不勉強です。昨今、日本の難民認定について問題として取り上げられることが増えてきましたから別の意味でも興味深いテーマです。ですから、事実を知ることができたのは有意義でした。

ただ、それだけだったなーって感じです。なんやかんやと色々アリアリで、面白いように裏目が続きすぎて、それらが「んな馬鹿な」って思っちゃう展開の結果で・・・。まぁドラマティックにしないと・・・だから仕方ないんだけど、それはわかるけど。。。ラスト「それだすなよ!?」って感じで引いてしまいました。僕は明快なお涙ちょーだい展開アレルギーなんですよねー?てか、このお涙頂戴展開って、この重要なテーマを安易な感動ポルノの材料にされているだけに見えなくなっちゃうんですよね。

安易な心変わりとか、明快な悪者とか、家族のことを大事にしている割に短絡的すぎる行動とか・・・なんだろなー、そんな単純なことなん?って思ってしまった。作り手が難民、移民の方々を色眼鏡で見てないか?って思ってしまいました。 残念。

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バリカタ

4.02022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2022年2月17日
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stoneage

3.0アメリカ人という意識ながら疎外感を感じる辛さの極限を描く!!

2022年2月17日
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鑑賞方法:試写会

難民や不法移民にも歴史があり、その2世、3世ともなると、生まれたころから移住地で育っていることもあって、アメリカならアメリカ人、カナダならカナダ人という自覚の強く、他者から移民だと言われたところで実感があまりない。特に戦争孤児などであれば、里親を転々としている間に、自分のルーツさえもわからなくなってしまう。実はルーツは不法移民ということもありえるのだ。

その中でも、不自由ながらも、家族をつくり、幸せな生活をしている者もいるが、何か問題が発生してしまうと、不法移民扱いされてしまう。周りからは、よそ者扱いされ、麻薬カルテルや人身売買など、犯罪がらみの不法移民と同等に扱われしまう。

警察沙汰になった場合、行政の世話になった場合、表に出したくない情報があぶり出され、そこにある歴史や理由は考慮されない。 住まいがあって、家族もいるのに、強制的に国民ではないとされて、行ったこともない母国に強制送還されてしまうこともあるのだ。

ドナルド・トランプの行った政策によって、そういった意味では、家族から大切な人を引き離す結果になった。しかし、その一方で、実際に犯罪を抑止することもできたことを考えると、これはアメリカや他の国に限ったことではないが、政策の穴というのは、戦争を繰り返してきた国、もともと移民が集まってできた様な国では、簡単に白黒付けられないから難しい。

今作は実話がベースとなっているが、こういった経験をしている人達は、数多く存在しており、決して異例なことではない。

実話ベースといっても、非日常的事実だからこそ映画化されることが多いが、今作は日常的に起きすぎているからこそ、映画化する必要があるということなのだ。

監督・脚本・主演を務めたジャスティン・チョンは、生まれはアメリカで、アメリカで活躍している俳優だが、ルーツは韓国にあることもあって、どこかで道が違っていたら、決して他人事ではなかったかもしれなかった。アメリカ育ちのアメリカ人と思っていても、外見はアジア人。周りはそうは思っていなかったかもしれないが、どうしても感じてしまう疎外感というものがあったのだろう……それが映画の中に、にじみ出ている。

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バフィー吉川(Buffys Movie)