劇場公開日 2022年9月16日

「☆☆☆★★ 原作読了済み。 実は人気のあるドラマの『ガリレオ』シリ...」沈黙のパレード 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0☆☆☆★★ 原作読了済み。 実は人気のあるドラマの『ガリレオ』シリ...

2024年3月15日
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☆☆☆★★

原作読了済み。

実は人気のあるドラマの『ガリレオ』シリーズは完全未見。
その辺りを踏まえ、(シリーズのファンの人達から)批判されるのを。ガッテン承知の助の上で、はっきりと言ってしまうと…

ザ・凡庸

原作も映画も、、、

じゃあつまらないのか?と言うと、「いや!そこそこ楽しめるんじゃないかなあ〜」…と、
楽しめるけれど、とても面白い…とも言えないとしか💧

原作を読み始めてすぐに、「あ?これアガサ・クリスティーじゃないの?」と感じた。
実際に原作の157ページ〜158ページに渡って

〜アガサ・クリスティーの小説で有名なオリエント急行の個室でさえ、もう少しましだったのではないかと思った。〜

と書き込まれている。

おそらくは、物語の発想の中にアガサ・クリスティーがあるのは《当たらずとは言え遠からず》なのだと思う。

その辺りを含めた登場人物達のキャラクター設定等は、とても分かりやすく描かれていた。
殺された男のキャラクターの憎らしさであり、全員に殺意を抱かせる演出等も併せて。

でも、アガサ・クリスティー以上に。原作の中には、或る昭和を代表する推理小説を参考にしているのだろう…と予想される本が有り。それが、松本清張の『砂の器』ではないか?と推理する。
原作は未読でしたが、映像化された『祈りの幕が下りる時』は、明らかに『砂の器』に対してのリスペクト感を強く感じられる映像化でした。
この原作の370ページ目には。妹想いの男が、絶対に過去を知られたくない。知られてはいけないのだ…と叫ぶセリフが書かれており。この場面こそは、野村芳太郎監督版『砂の器』に於ける名場面である。加藤嘉の叫びを意識しているのだろうと思える。
(明らかに似せてしまわない様に、演出・演じている風にも見えたのだけれど)

ドラマ版は福山&柴咲による【ある種の】バディ物と思われるのですが。原作を読んだ限りは、湯川教授と草薙の奇妙な友情物語の様に思える。2人は主に、落ち着いて話せるBARで会っては、次々と疑問点を炙り出し。事件の真相に迫って行く物語になっていた。
それをこの映像化では、何度も草薙と薫を入れ替えて描いていた。

ところで、これを書き込んで良いのかどうか、ちょっとだけ躊躇してしまうのですが。
原作では終盤に何度も(いわゆる)どんでん返し的な展開を見せる。
最後の最後に至って、さらなるどんでん返しになるのだけれど。(当事者の最終決断の言葉は)本編ではあえて描いてはいなかった。
映画を観た人が、〝 それを 〟摸倣してしまったとしたのならば、、、製作側にその思いを抱いてしまったからだろうか?
だからこその〝 沈黙 〟なのですが。

元々の復讐劇に無理筋感が強すぎるのを、原作ではかなりのページ数を使い説明し、何とか強引にストーリーを組み立てている。
「いやいや、幾ら何でも…」と思いつつ、筆力で読み切らせてしまうだけに。これを映像で説得力を持たせるのはなかなか難しそうだ、と思っていた。理解しながら観ていても、やはりそもそも感が…
まあ、そうしなけばアガサ・クリスティーにはならんのですけど💦
原作の持つその辺りのバリバリな違和感に対して、大いなる許容範囲を持って観れるならば、暇つぶしに見るにはまあまあか…とは思える作品でした。

最後にちょっと気になった事を、、、
本編が始まる前に、今後公開される予告編が何本か流れたのですが。その中に、以前フジテレビ系列で人気が有ったドラマの《その後》を描く作品が何本も。
この作品自体が、そんな流れの始まりと言っても良いのだろうか?
以前の隆盛はもはや昔。何かと良い話を聞かないフジテレビでも有り、四の五の言ってはいられない状況なのだろうか?

2022年9月18日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン2

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松井の天井直撃ホームラン