劇場公開日 2022年9月16日

「このように心が動かされるのは予想してなかったよ」沈黙のパレード じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5このように心が動かされるのは予想してなかったよ

2022年9月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

ガリレオ最新作,柴崎コウとの共演もあって大変に心に残る作品となった。

いつものようにあらすじその他は置いといて。

最初に出てくる並木沙織役の川床明日香さん。祭りののど自慢(?)でジュピターを歌い上げる姿も可憐で美しいが,セピア調の画質からこれが過去のことであり,見つめる関係者の思いを一身に受け歌い上げる姿に観客も一瞬で虜にされたことだろうと思う。
このシーンがあっての亡くなった後の皆さんの慟哭に近い心情がわかろうというものだ。

犯人役の村上淳さんは,憎たらしさ満点でリアルをまとって演じている。本人がどのような方かはわからないが嫌いになりそう。(笑)

ずん飯尾をはじめとする演者の皆さんの適材適所がすばらしい。天音君は美形ではないが誠実さが表情から湧き出ていて好きな俳優だ。ベテランの椎名桔平,檀れいのおしどり夫婦,田口浩正のその辺のおっちゃん等々リアルに演じていて素晴らしい。特によかったのが北村一輝だった。熱血刑事か男気溢れるやくざをやらせれば今や右出るものがない。しかも,この映画では苦悩する姿を髭と顔油(笑)で表情で克明に演じて見せた。

柴崎コウは何度もアップになるがそれに耐えられる美しいお顔にほれぼれとしたね。

この映画では,湯川先生によって案外簡単に早い時点で,過去の並木沙織さん殺害の犯人と目される蓮沼寛一殺しのトリックは暴かれる。「え?そんなこと」という思いはぬぐえなかった。しかし,トリックは暴かれても,蓮沼死亡のもとでは真相は闇の中だ。しかし実はここからがこの映画の本題だった。

意外な犯人と,過去の犯人,さらには人間関係が暴かれる。
それでも失った思いをひきずりつつ前に進むしかない並木家と周辺の人たち,そこには湯川先生だって例外ではない。一度は幕引きをしようとした草薙刑事も,湯川先生の思いを受け止め刑事の本分に立ち返り真相究明を決意する。二人の友情がきわだつワンシーンでした。

大満足の一本でした。

じきょう
グレシャムの法則さんのコメント
2022年10月25日

北村一輝さん❗️
テルマエロマエのせいで、濃ゆーいオジサンというイメージが先行してましたが、本当に良かったです。

グレシャムの法則