流浪の月のレビュー・感想・評価
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不寛容な世界…誰かを知らず知らずに傷つけていないか
広瀬すずがすごい!!
二人だけの秘密
この物語の背景にあるのは、世の中に、
①家族からの性暴力に苦しむ人がいる。そしてそれは人に言いにくい。(言えない。)
②性犯罪の加害者、被害者、双方に向けられる世間の目。(実際、性犯罪は再犯率が高い。)
という現実です。
この暗く重い物語の中で主人公を支えているのは「二人だけの秘密」です。
・子供だったサラサ(広瀬すず)は、自分の秘密をフミ(松坂桃李)に話した。フミは黙って受け入れた。①に耐えられたのは、その存在ですね。
・一方フミが自分の秘密をサラサに話したのは、再会後の最後の最後でした。
そしてサラサもそれを受け入れた。ここで「二人だけの秘密を共有」できたのです。
そうして②にさらされても「二人で流浪する覚悟」ができた。
「月」は、暗い空の中に1点明かりを放つ「秘密を共有し理解し合える存在」の象徴ですね。
・・・・飽きないで見られましたが、難しい映画でした。レビューを書き終えるまで評価点さえ決められませんでした。
恋愛って幸せは人それぞれ
誰でも隠したいことはある・・・・(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
広瀬すずさん松坂桃李さんの演技にぐいぐい引き込まれた。
小説もなんも前知識入れないで鑑賞したが愛よりも切ない物語だった。
お互いの利害が一致しての恋愛?とか勝手に思いながら鑑賞していたが・・・・。
映像も暗い場面が多いのでぜひ映画館で見てほしいと思った。
松坂桃李さんってこの映画のために痩せたの??俳優さんってすごいなぁそこも見どころです。
ひとつの愛のカタチ
「かわいそうなんかじゃない」
物語の構成に難あり
冒頭、ブランコの軋む音、少女の顔のアップ、ゆっくりパンして公園内にいる男、静かに音楽が入り、少女の読む本に雨粒がかかる、という流れはとても映画的で風格もあり、これは面白そう、と期待をそそられる。
しかし、物語が段々と進んでいくにつれ、期待したほどのめり込めなくなっていく。
原作未読なのでわからないが、物語構成は、原作に忠実なのだろうか、映画オリジナルなのだろうか?
15年前の事件当時と現在を行ったり来たりするのは題材上当然だが、もう少し事件当時をじっくり描いてくれた方が、登場人物に感情移入しやすかったのではないか。後半になってくると、イメージショットの挿入も含めて、ちょっと支離滅裂な感じすらした。
一番弱いなと思ったのは、文が更紗を連れて帰り、世話をしたのはなぜか、という肝心な部分が描かれていないこと。後から、母親との葛藤や身体上の秘密が明かされるが、後付けの感じで、率直に「それじゃないだろ」と思ってしまった。
李相日監督の持ち味は、物語を多面的に語り、脇の登場人物も丁寧に扱うところだと思っているので、今回は全体として主人公に寄り過ぎていて、勝手が違ったようだ。
DV男役の横浜流星はすごく良かった。登場したところから、これは何かあるなと思わせる。少女時代の更紗役の白鳥玉季は、唇のあたりとか広瀬すずにそっくり。これからの活躍を大いに期待したい。多部未華子、三浦貴大、柄本明といったいい役者も使っていたが、あまり見せ場がなかったのは残念。
まさに心が流浪します。
結局どっち?
見応えのある作品だった。
横浜流星というイケメン俳優が気持ち悪く見える演技がすごい。枝豆の殻を机にそのまま置くとか帰ってきてすぐパンツを脱ぐところがリアル。
誘拐犯とその被害者と広告では言ってたけどこれは性をテーマにした話だったと思う。
文は結局ロリコンだったのか、それとも病気を隠すためにロリコンのふりをしていたのか議論が分かれると思うが私はロリコンであったと思う。最後の食事シーンで更紗の唇に触れる描写がそうなのかな、と。あと安西さんの娘にも入れ込んでたこと。安西さんの娘が連れていかれるシーンで必死に抵抗してたけどそこまで仲良かったか?って疑問に思ってしまった。毒親の元に返したくないということなのかもしれないがそこが違和感。あと、ロリコンって大人に拒絶されることで純粋無垢な子供を好きになる人もいるからそれで言うと納得がいく。
同居してた義母の息子から性暴力を受け、性嫌悪に陥ってた更紗という設定だったが、公園で見知らぬ男に声をかけられてついて行ったり、その後も彼氏作ってたり、結局男がいなきゃ生きていけないタイプか?と思ってしまったが、精神的に抱えてる女性はこういうタイプが多い。
最後の病気を告白するシーンがいまいち分からなかった。文が服を脱ぐ描写があったのだが、画面暗いしよく見えなくて「どういうこと?」ってモヤモヤが残る。あれは性器がない?のか極端に小さい?って認識で合ってるのだろうか。
キャストは、白鳥玉季さんが広瀬すずにそっくりで子供時代を演じるのは適役だったし、白鳥さんの子供らしさと大人びた達観さがある演技がすごい。可愛すぎて本物に狙われちゃったらどうしようって勝手に心配になりました。
なにこれ?(変な意味ではなく)
『愛の嵐』を彷彿させる
心に穴が開いた者同士が出会い、ジグソーパズルのように互いの穴を埋め合えた時、もはや人はどうしても離れようがなくなってしまうのでしょうか。
本作は、凪良ゆう氏の本屋大賞受賞作が原作で、女児誘拐事件の被害者・更紗と加害者・佐伯文の、時空を隔てても剝れない、心の奥深くに刻まれた桎梏で呪縛された男と女の物語です。
私には、シチュエーションは全く異なるものの、半世紀も前の1973年のイタリア映画『愛の嵐』を彷彿させました。
本編2時間30分の長編ですが、2時間経過する頃までは更紗の一人称による、ひたすら重く暗い心象風景をリリカルに描く、地面から50㎝宙に浮いたような浮揚感漂う映像詩が展開します。
登場人物は少なく、台詞も少なく、長いカットを多く使って、各人の心象を映像で描き尽くそうとしますので、やはり緩慢なテンポで尺だけが進みます。そのために手持ちカメラ、特にローアングルのカット、引いてパンやトラッキングするカットを多用し、手練手管を尽くして更紗から見える心象風景を描きます。
アクションや自然風景を見せる映画ではなく、専ら人と人とのやり取りが主体にも関わらず、一人の人物の顔アップは少なく、そのため観客は現実世界ではないような異様な感覚に覆われるでしょう。
しかし最後の30分から、カメラの視点は佐伯の一人称に移り、その深層心理描写を追っていきます。それまでのメルヘンタッチの靄がかかった非日常的感覚から、現実の世界を突き付けられていき、新たな再生を仄めかして物語は終局を迎えます。
前述の『愛の嵐』は退廃的耽美的な映像が続いた挙句の悲劇的結末でしたが、本作はアンニュイな空気感はやや共通しつつも、画調に透明感があり、ラストは挫折しつつも希望を持たせるエンディングでした。
広瀬すず、松坂桃李の、陰ある主役二人の抑制した熱演、そして彼らを引き立てた横浜流星、多部未華子の、各々の立場から湧き出る熱い息吹漂う好演は評価できます。ただ私には感情移入し難い作品でした。
重く暗く悲しい。でも観るべき映画。
余韻
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