流浪の月のレビュー・感想・評価
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ただただ心打たれた物語でした
始まりから終わりまで、静謐な空気感を纏った作品でした。
淡々と進むようで、でもいつの間にか引き込まれている。
家族に性的虐待を受けた更紗と、母親に外れ扱いされた文。
二人の関係は世間一般的には歪んで見えるのかもしれないけれど、彼らにとってはこれ以上ないほどの救いだったと思います。
身体で繋がれなくても、心で繋がることができるのだと。
結末はビターエンドに感じるかもしれませんが、これ以上の答えが思い浮かびませんでした。
総括して、近年まれにみる邦画の名作だったと感じました。
ぜひ鑑賞されることをお勧めします。
ネジの締めそこない。
なにしろ凄いスタッフが揃っています。カメラはホン・ギョンピョ(『パラサイト』『母なる証明』『バーニング』)。美術は種田陽平(『キル・ビル』『悪人』『空気人形』)。
カメラでいえば、執拗な「水」の反復(冒頭で少女が見下ろす濁流、澄んだ湖、何度か広瀬すずが雨の中で立ちつくすシーン、等々)、それから晴れた空を背景にカーテンが舞って散乱する光で、現在と過去を切り返すショット。往事の日本映画みたいに画面半分を思いきりよく開けた画角や、溝口健二にオマージュをささげた湖入水シーンなんかも、すばらしい。
美術では、あのカフェなんかすごいですね。広瀬すずと松坂桃李も、決してタレント俳優だよと馬鹿にすることのできない熱演です。
が、どこか重要なところでネジを締めそこなった映画という印象はどうしてもぬぐえない。それはいろいろ細かな理由があるにしても、決定的には、やはり脚本のリアリティのなさなんですね。とくに2人を追い詰める「世の中というもの」のイメージが、薄っぺらいのです。社会の圧力といえばネット掲示板とか週刊誌とかさ、黒沢清の『Cloud』もそうですが、なんか出てくるだけで辟易してしまいます。
そして細かな設定でいえば、後半の警察・週刊誌の振る舞いは完全にアウト。だって冒頭の事件は少年犯罪だったのになんでそんなことができるのか。本人が慎重に振るまっていれば、そんなに簡単に過去の犯罪が回りに知られるもんか。…というところがご都合主義だから、だんだん白けてくるのです。
主演2人の演技も、残念ながら感心するのは中盤までで、後半は演技・表情の引き出しの少なさがどうしても気になってくる。それは俳優だけの責任ともいえなくて、もともとありえない無理な設定を説得できるだけの十分な演出をしていないから、そう見えるんですよね。
そんなわけで、へえっと感心しながら見始めるものの途中から雲行きが怪しくなってきて、あーこれで終わらせちゃうのかよ…と溜息をついて見終わる。そういう映画でした。
諦めの後に見えるもの
考えさせられる作品!本音を話せる関係性を築きていくことが大事!
不幸の中の幸福
想像通りの暗い作品
川に映る月のようにどこまで行っても手に届かない
松坂桃李がすごい、いつも通りだけどすごい
35歳の松坂桃李が ちゃんと10代の少年に見える。
というかそれ以外の何者でもない 文(ふみ)。
白鳥玉季の女優魂は見事。広瀬すずと渡り合えている。
更紗は大人になっているけれど僕はハズレだからいつまでも大人になれない、と言う ふみ。
性線機能不全 なのだろう。
それって あの 宮崎勤も です。 たぶん。
この映画の文と彼をいっしょくたんに語るのは全く間違ってるし もちろん 人間は個々であって 同じなわけはない。
ロリコン
この言葉は生きる苦しみである と言う ふみ。
それが 幼女の裸体への興味では ない (とまで言い切ってないけれど)取り敢えず 少女たちに 何一つ無理強いもしないしもちろん性接触しない。
それが この映画の最大の良心。
誰が、「誰かを酷く傷つけている」のか。それは犯罪の名で判断出来ない。
内田也哉子の声とシルエットが怖い。
横浜流星の狂気が怖い。
ちょっと見のネット記事で判断して暴言をリツイートするのが怖い。
だが 一番の恐怖は本物の 性的暴行を行うロリコンの存在であるのは間違いない。
見なきゃいいのに見てしまう作品
辛さを乗り越える強さ
私もポーの詩のような子供だった
漫画やアニメを見たりはしていたけどどこかいつも冷めていた
好きだったものはいつも皆んなとズレていた
感情を表に出している時はいつも装っていたのだ
しかしそんな私でも強く思ったことがある
あの傲慢で横柄な兄にだけは我慢がならなかった
と言っても逆らえばコテンパンにされてしまうので我慢するしかなかったのだ
今それが心の傷になっているかというとたぶん何とも思ってない、今では仲良く兄と話せるし蟠りはない
だから心の病のキッカケは体験しているけど元来深く考えない忘れっぽい性格なので悩み苦しむといったことは全くないのだ
座右の銘を付けるなら「寝たら忘れる!」になる
この作品の人達は皆悩んでいる
まるで人は悩むものなのだと言わんばかりに悩み人が多い
そんな中でホッとできる場面がある
アンティークのオヤジさんとの会話だ
バカラのグラスの時のこと
ほんの少しのお父さんとの思い出がちらり
「物も人も一緒だよ、出会って別れてまた出会う」
とオヤジさんはいうのだ
まったくだ、リアルでもネットでも物でも人でも映画でも何でも出会いがある
もしかしたら毎日出会っているのに自分が気がついた時だけ特別な出会いだ〜などと思うのかもしれないけどそれはそれで良いと思う
この作品との出会いにも感謝します。
少女期の白鳥玉季ちゃんの代表作
今後も彼女がたくさんの素晴らしい作品に携わることを見据えて上記のタイトルです。
広瀬すず・松坂桃李・横浜流星・多部未華子という、
もはやダブルどころかカルテット主演ともいえる布陣の中にありながら、
ひと際輝いた魅力と存在感を放っていた玉季ちゃん。
「文くん」と「更紗」のままごとのような暮らしにおける安堵や喜び、
そして時折覗かせる不安や陰。
これらの複雑な感情を巧みに表現している。緩急がしっかりありつつも過剰にはならない。
この年齢にして抑制というものを心得ているのもが凄い。
それと並行して、「陽」の演技の時の彼女の可愛らしさよ!
お風呂ではしゃいだり、美味しそうにピザをほおばる姿は実にチャーミング。
普段の彼女の役柄を考えると貴重な姿ではないか。
「文くん」と「更紗」の暮らしがいかに尊いものであったかが
観る者にしっかり伝わるのは松坂桃李はもちろん、
彼女の演技があってこそであると思う。
その他のことに言及すれば、音楽と映像の融合が素晴らしい。
音楽担当の原摩利彦は「ロストケア」も担当していたが、
どちらも繊細なピアノの響きを基調とした音楽で、
静かに、しかししっかりと伝えたいものがある映画によく合っている。
ただちょっとメインテーマを使用するシーンが多すぎたかな。
多分、音楽が素晴らしすぎて監督もたくさん使いたくなっちゃたのだろう。
メイン4人の演技は皆予想通り素晴らしかったです。
他の感想にも多いですが、横浜流星のクソ男役が新境地。
あと、多部ちゃんのセクシャルなシーンがあるとなんかドキってしてしまう。
「もう彼女は大人なんだ」と知らしめられる感じ。
惜しいのはちょっと細かいところのリアリティ―や詰めが足りないかな。
マスコミ関連・アンティーク店についてなど。
あと、加害者と被害者の特異な関係性という点においては
「さよなら渓谷」を思い出しました。
描写の仕方も雰囲気が似てる。
原作は李相日監督と縁が深い吉田修一。映画にもなっています(大森立嗣監督)
あの感触をずっと頼りに生きてきた
やっと観た
原作を読んで感動し大好きな本になった。映画化されると知り喜んで公開日を待っていたが、映画館へ行くことはありませんでした。いざ行こうと思うと色々な事を思ってしまっていた。結局2年以上も過ぎてようやく観た。観終わって監督が原作を良く読んでいると思えて嬉しかった。とても難しいテーマを良く表せていたと思った。更紗が公園で1人ハンバーガーを頬張っている処を文に見つかるシーンで泣けてしまった。更紗が更紗に戻った時間だと思ったからだ。その他、文や亮の過去もちゃんと伝わる様に描かれていたと思う。この作品は当事者以外に真実は分からない現実を知らされる。そして当事者等も話しても理解されるはずもない、と何も語ろうとしない事が苦しい。世の中多数派の言動が正論な訳では事を突きつけられる。
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