劇場公開日 2022年5月13日

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「【本屋大賞原作×李相日監督×「パラサイト 半地下の家族」撮影監督×演技派俳優たち】の化学反応の結果は?」流浪の月 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【本屋大賞原作×李相日監督×「パラサイト 半地下の家族」撮影監督×演技派俳優たち】の化学反応の結果は?

2022年5月13日
PCから投稿

本作は見る前の段階では期待感が非常に高かったです。
それは、【本屋大賞原作×李相日監督×「パラサイト 半地下の家族」撮影監督×演技派俳優たち】と、傑作になる要素が十分すぎるほどあったからです。
実際それぞれのシーンでは「画」になっていて、名作としての十分な雰囲気を醸し出しています。
広瀬すず、松坂桃李の演技も良く、これまでの印象から大きく変わった横浜流星の演技も良かったと思います。

ただ、改めて考えながら見ると、李相日監督作品にしては珍しく、監督自身が書く脚本にリアリティーの物足りなさを感じてしまいました。

・10歳の少女の更紗(さらさ)が、家に帰りたくなかった理由を警察に話せなかったのはどうしてなのか。これは映画では少女時代の比率が少ないからか、少なくとも映画だけでは伝わりにくいです。
(これは私見ですが、たとえ最初の方は言い出せなくても、あれだけ離れたくなかった文を助ける発想が生まれなかったのかは不自然な印象でした)
・週刊誌の件は、本人への裏トリ取材が無いと「訴訟リスク」が高いため今は記事にできません。
そのため週刊誌サイドは本人コメントを形式的にでも記事に反映させるのが必須で、少なくとも記事掲載後に勤務先から知らされる状況は起こり得ないのでリアリティーに欠ける展開に見えました。
・柄本明が良い味を出していた1階のアンティークショップのオーナーはどうなったのか。
落書きの被害はアンティークショップが大きく、彼の位置付けが不明瞭すぎて勿体無く感じました。

以上の点などが、もう少し深く練り込まれ整理され構築された脚本であれば、150分という上映時間に値する名作になったと思うと少し残念でしたが、役者の最大限の演技を引き出させる能力は健在だったので次回作に期待したいです。

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細野真宏