劇場公開日 2022年2月11日

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「嘘見せてねぇで、もっと本気出せよ!」嘘喰い 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5嘘見せてねぇで、もっと本気出せよ!

2022年8月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

寝られる

邦画のジャンルの一つである、人気コミックを基にした“コスプレ学芸会”。
また一本、駄作が加わった。
最近駄作続く中田秀夫監督にとっても、また一本駄作が加わった。

原作コミックは熱狂的なファンがいるほど人気らしいが、毎度の事ながら…。タイトルすら知らなかった。
いつもならあらすじ紹介から入るのだが、書く気が起きないくらいつまんねー。
絶対原作通りじゃないのは明らかだが、多少原作をなぞっていたとしても、アホみたいな設定にポカ~ン…。
致命的なのは、ギャンブルものでありながら、劇中幾多のデス・ギャンブルにハラハラドキドキもスリルも緊迫感も緊張感も無い。
もっと真面目なギャンブルものかと思ったら、サバイバル・ゲームごっことか、人間離れした刺客とか、これって漫画…? 漫画が基なんだけど。
ヘアメイクや衣装と呼ぶのも甚だしい。本当にただのコスプレ。真面目にやる気あんの…?
演出が酷い。話もつまらない。台詞も陳腐。設定もキャラ描写も何もかも。
せっかく邦画もファン納得のコミック実写化増えてきた昨今、こういうのがあるから…。
だって本作には、丸っきり本気度を感じられない。テキトーにやっつけ仕事をやったような。
かつて『リング』で世界をあっと言わせた中田秀夫。もっと本気出せよ!

それを窺わせるエピソード。ネット上などで物議を呼んでいた原作改変。
主人公・貘はよくカリカリ梅を食べる。原作通りの性格付けであり、相手の真っ赤な嘘を食べるとも読み取れる。
ところが、中田秀夫はこれをハーモニカを吹くに改変。原作を知らない私でも、えっ何で…??
でも、それは原作通りに戻された。
主演・横浜流星が断固拒否。彼も原作ファンらしい。
この性格付けを巡って激論となったらしいが、一若手俳優が、ハリウッド・デビューを果たし一応キャリアある監督に真っ向から意見したのは漢気感じる。
一見かつらに見えるシルバーヘアも、一本一本髪を染めたというこだわりよう。
台本上には無かった原作の決め台詞「あんた、嘘付きだね」もアドリブで取り入れ。
最初はステレオタイプなナルシストキャラかと思ったが、ユーモラスさや内面の優しさも滲ませる。
『流浪の月』でイメチェン熱演を魅せ、横浜流星にとって今年は大きく飛躍した年と言えよう。

その横浜流星を始め、佐野勇斗、三浦翔平、本郷奏多らは、中田秀夫の劣悪演出の中、それなりに奮闘。にしても、本郷奏多ってコミック実写化何処にでもいるね。
そんな中、一際大根演技晒しているのが、白石麻衣。
はっきり言って、役に全く見合わない力不足。一生懸命熱演してますな姉御演技は失笑もの。ジャパニーズ・ラジー賞があったら、助演女優はもはや手に入れた。
容姿は完璧なのに…、何か残念。天は二物を与えず、か。
貘と白石演じる蘭子のこれまた原作には無い恋愛描写匂わせも、えっ何これ…?

横浜流星だけはこのギャンブルに一人勝ちしたけど、中田秀夫は大負け。
もう一度言うが、もっと本気出せよ!
絶対無いだろうけど、もし続編なんか作られたら、この寝惚けた監督よりいっその事横浜流星に監督させた方がいいんじゃない?
今回の嘘(ダメダメな点)、喰ってくれるよ。

近大