「面白いけど補足が必要! 楽しくツッコミながらネタバレレビューします」嘘喰い あさっぷさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いけど補足が必要! 楽しくツッコミながらネタバレレビューします
あまりハードルを上げずに観たためか、おおむね楽しみながら見ることができました。
嘘喰いの雰囲気を実写で表現するのは難しいので、よく頑張ったのではないでしょうか?
役者さんは、横浜流星さんの表現力が素晴らしかったし、白石麻衣さんは役柄が難しかったと思いますが頑張っていましたね。
ただ、いろいろとツッコミや「そうじゃないでしょ!」という点もあったので、下記ネタバレレビューとして参考にしてください。原作の内容についてもたっぷり触れてますので注意。
●屋形越えの獏さんがしょぼすぎる
獏が500億円を持ち込んで挑んだ館越え。時間内に上空を飛行機が飛ぶかを賭けますが、獏の策はチンピラ二人にセスナを飛ばしてもらうという、なんともお粗末なものオンリー!えぇっ?しかも1000万円ぽっちで雇ったの?そりゃ失敗するわー。
原作では、ナレーションで「獏はありとあらゆる手段を用意していた」的な言葉があり、チンピラセスナ号には触れられていません。絶対もっとマンパワーとお金をかけて入念に執拗に準備したでしょうに。
さらに、原作で獏は負けた時にカリカリ梅を食べながらひっそり意味深な笑みを浮かべます。映画では泣いておしまい。
個人的には、映画の最後はハンカチ落としのくだりではなく、館越え敗北後に笑っている獏を映したほうが、次回作にも繋がりそうで良かったのでは、と思います(次回作期待しています)。
●鞍馬蘭子がしょぼい(白石麻衣さんじゃないよ)
蘭子がすごい小物設定でした。組長かつ裏カジノオーナーで5億円が全財産ってのも厳しいし、佐田国にポーカーでボコられるのもなんだか切なかったです。
コメディ要素を入れて話に抑揚をつけるのは、観客を飽きさせないために必要かもなのでコメントはしませんが、もともと完全な仲間キャラではないので、せめて、裏切るかもしれない不敵な美女設定としてなんとか脚本できなかったのでしょうか。
白石麻衣さんはそもそもキャストミスというか、蘭子イメージとの乖離がある中で、彼女なりに頑張ったと思います。
●佐田国がいい人やん
映画のラスボス立ち位置の佐田国は、狂気のマッドサイエンティストになっていました。善良な研究者だったが政財界の期待に背いたため、研究所ごと爆破されてしまう。その復讐?(詳しくは忘れました)として賭郎会員を襲って金を集めている・・・。という設定、要らないかもしれないですね。
劇場では、ハングマンで吊るされる残酷描写を映しにくいので、最後に獏に化けの皮を剝がされる演出ができずにこういうキャラにしたのかもしれませんので、そこは飲み込みました。
でもそれなら佐田国死ななくてもいいのでは?
獏が人主を募った結果、20億円ぴったりになっていましたが、原作では佐田国10億円に対し獏は25億円集めます。「今度はそっちのお金が足りなくなったんじゃない~?」みたいなセリフが好きなんですが飛ばされちゃいました。
なので、ちゃんと20億円持ってきてる佐田国は負けてもハングマンしなくていいじゃん、と思いました。
ちなみにハングマン決行直前に、獏が佐田国を呼び止めますが、懐かしき頃の写真を見せて終わり。なんだかサイコパスみを感じますね。
●ハングマンの獏が小物っぽい
命を懸けたバトルのハングマン。獏は敗北直前になって勝利の手がかりを見つけますが、原作ではもっと序盤からいろいろ検証を重ねています。わざと長考して1分の時間制限を設けさせ、さらにラスト10秒が暗闇タイムになるように調整し、50秒間を体でカードを隠したのちに暗闇タイムで佐田国がババを引くように「カードをずらす」といった描写が欲しかったなー。あとウィーンガシャンじゃんけんも見たかった。
映画では普通に見てれば佐田国の目が見えないことは推測できるので、カードを覗き見るシーンをさらっとやっていたのは良かったです(たっぷり尺を使って「何が起こっているんだ?!?!」としていたらクサかった気がします)。
しかしながら横浜流星さんの「見るまでもない!」は素晴らしかった。私はあそこが一番の盛り上がりでした。
●マルコがんばれ
マルコは途中で仲間になったけど、佐田国戦では全く関与しませんでした。原作通り佐田国が革命家だったら、裏でミサイル発射を画策している工作員と阻止するマルコを描けましたが、ここは尺の都合上しかたなし。次回作のマルコに期待します。
森の戦闘描写は、よく描いていたと思います。さすがに実写で音速みたいな動きするのは難しそうなのでこれで良いかと。
●ハンカチ落としは小学生の遊びではない!!
原作を読んでいたら、屋形越えのテーマとしてハンカチ落としがどれだけ相応しいのかが分かります。號奪戦が描かれていないのでそこは仕方ないですが、「小学生みたいでサイコー」とは言っちゃだめです。ゼッタイ。
●その他羅列
・序盤の島の描写は映画オリジナル。謎チンチロ勝負は要らなかったかなー・・・。ラーメン分け合ったおっちゃんは誰だろ??
・目蒲立会人はもっと悪役に寄ってほしかった。原作通りに佐田国のイカサマに加担する→バレて一緒にハングマン、ON!で。女性研究者はただただかわいそうでした。
・佐田国に闇の世界を教えた謎のコンサルタント(オリジナルキャラ)が怪しすぎる。昼間の病院にあんなのいちゃダメでしょー。
●良かったところもいろいろ
・横浜流星さんの演技が素晴らしかったです。ありがとうございます。
・カジちゃんもイメージ通りで良かったです。ありがとうございます。
・マルコと夜行さんが超かっこよかったです。夜行さんはもう少し線の細いイメージでしたが、こちらのがっちり夜行さんもアリです。
・なんだかんだ言って15年くらい前から好きだったコンテンツが映画化されて、動いてる場面を見るのは感動モノです。ハングマンのセットが重々しくて見てて心拍数上がりました。
次回作お願いします!ラビリンスかなー。