「原作未読なら楽しめるのかも、、、全体的な違和感に勝てませんでした。」嘘喰い 77Oさんの映画レビュー(感想・評価)
原作未読なら楽しめるのかも、、、全体的な違和感に勝てませんでした。
私は原作既読です。
公開前から怪しい情報(ハーモニカ、「嘘つくと、死ぬよ。」 etc.)が出回っていたのでハードルはかなり下げたつもりでしたが、それでもかなり厳しかったです。
原作はアクションの「暴」と頭脳戦の「知」の二本柱が魅力ですが、映画ではどちらも楽しめませんでした。
「暴」はそもそも場面数が少なく、ロデム戦と夜行vs目蒲の2場面のみです(Q大郎の兵士との戦闘はダイジェスト気味でアクションはほぼないです)。
ロデム戦は、ロデムの動きが凄く緩慢で...あれを人間兵器だの奥の手だの言われても説得力がなかったです。割とあっさり倒せてしまいますし。
夜行vs目蒲の殺陣は悪くなかったですが、場面自体がすごく短いです。また目蒲が一方的にやられておしまいです。
「知」は原作通りの箇所は当然問題ないのですが、オリジナル/改変部分が...(しかも結構多い)
獏1回目の屋形越えから始まりますが、用意した策がセスナ1台というのはちょっと...原作では意図的に負けたような節があったと思いますが、映画では先述の策で本気で勝つつもりだったように見えます。
オリジナルのチンチロ(擬き)もそのイカサマ対策はさすがに物理的にどうかと...そもそもどういうルールのギャンブル(劇中描写だと親がサイコロ3つのゾロ目を出さないと負け)?
ルーレットの件も勝ち方は同じでもそこに至るまでのプロセスが変わっていたと思います。36マスに対して37枚とか36枚とか賭けるのは必要あったのかな?原作通り、35枚賭けを続ける方が理に適っていると感じました。
森(原作では廃ビル)脱出では、兵士の倒し方がワンパターンで、それも特別頭脳的な手段とは言い難く...そもそも爆弾解除が勝利条件だったと思ったのですが、爆弾解除後にロデムと戦うことになったのは「?」でした。
佐田国戦のハングマンは(ギャンブルの部分は)原作通りです。この部分は良かったです。
では、「暴」と「知」以外に何があったのか。それは「人間ドラマ」でした。(恐らく)その為に多くのキャラ設定が変更されています。
梶は賭郎会員になることを拒否して、(一度)獏の元から離れます。
佐田国はテロリストではなく、悲しい過去を持つ悲劇の科学者になります。過去の復讐のために賭郎に入会し、世界平和の為に屋形越えを目指しています。
そして、鞍馬蘭子は獏に恋愛感情を持っていることになり、獏のお願いを割となんでも聞いてしまいます。
このような原作にはない、原作とは異なる設定に基づくドラマが本映画の大部分を占めます。
これに起因する違和感、そもそも嘘喰いにそういった場面を多くは求めていない点(、そしてその人間ドラマが正直安っぽい点)が私が低評価をつけた理由になります。
台本の出来としては星0.5なのですが、星1つ足している理由は横浜流星さんです。
セリフ回しなどの演者側ではどうしようもない部分で違和感を感じる部分はあったとはいえ、それでも全編を通して獏を感じさせる立ち居振る舞いはこの映画の数少ない見どころです。
俳優さんに疎いため演技を見たのは本作が初めてですが、少しファンになりました。
あとは設定は大きく変わっていたとはいえ、三浦さんの佐田国は、原作(初期)の強者感は出ていて好印象でした。
(それ以外のメインキャラは...ビジュアルはしっくり来ていた方が多かっただけに残念です。)
こうして纏めてみると、私が細かいところを気にしすぎな気がしますね...
そういった意味では原作未読の方は、違和感なく楽しめるのではないでしょうか。
原作既読の方は、二次創作だと思って大らかな気持ちで観れば、狭量な私が見つけられなかったいい部分が見つかるかもしれません。
以上、長文失礼しました。