「息つく事出来た今回の老人…。」ドント・ブリーズ2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
息つく事出来た今回の老人…。
息をもつかせぬ最恐老人、再び!
とにかく前作が秀逸のシチュエーション・スリラー!
尋常じゃない緊張感、緊迫感。ハラハラドキドキスリリングな演出。
盲目老人役のスティーヴン・ラングの怪演。
その老人vs若い押し入り泥棒たち。
狭く、逃げ場の無い老人宅。
目が見えぬ以外研ぎ澄まされた老人に追い詰められていく泥棒…が、一転して老人の恐るべき素性が判明して、もうどっちに肩入れしたらいいのやら…。
設定もキャラも作りも巧い!
まさか本当に続編が作られるとは…。
このアイデア、この設定だったから良かったんだけど…。
さてさて、気になる続編の感想は…
ズバリと言ってしまおう。
やはり前作に及ばなかった。
引き続きプロデューサーを努めたサム・ライミが絶賛したというアイデア(ストーリー)。
前作から8年。ノーマンは郊外の古びた家で、火事で両親を亡くした11歳の少女フェニックスを娘のように育てていた。
前作を見ていたら驚きだろう。だって、前作は…。
この凶気の老人も学んだのか…?
でも、なるべく外界や他者との接触を絶ち、フェニックスに戦闘術を教えながら。
勿論フェニックスも疑問を感じ始める頃の女の子。母の事、他の皆みたいに学校に行きたい、いつまでもパパと二人暮らしはイヤ、普通がいい…。
ある夜、ノーマンの家を謎の武装集団が襲撃。フェニックスを連れ去ってしまう。
武装集団の目的は…?
武装集団とフェニックスの関係は…?
フェニックスは何者なのか…?
ノーマンはフェニックスを救う事が出来るのか…?
思わぬ関係の武装集団のリーダーのレイランとフェニックス…でも、何となく予想つく。
目的はかなり鬼畜。
そこに、ノーマンのキャラ設定を絡める。
捻ったのであろうけど、何だか鋭利感は無く…。シンプルだった前作の方が鋭利であった。
捻ったのは、家を出て救出の為に外へ。
これもいけなかった。
勿論屋内での闘いもあるし、スリリングなシーンやグロいシーンもあり、それらは見応えある。
でも、前作とは決定的に何かが違うんだよなぁ…。
それに、前作もグロゴア描写はあったかもしれないけど、圧倒的にスリリングな演出が素晴らしかった。だけど今回はどうもグロゴア描写推し…。そこからして違うような気が…。
何よりびっくりは、キャラ改変。
悪役がヒーローになるのは、よくある事。ターミネーター然り。
ノーマンの場合、ヒーロー…と言うには微妙。
罪は多い。
あくまで今回はフェニックスを救いたかっただけ。
先にも少し述べた。
少女と過ごす内、この凶気の老人も知ったのだ。
愛するという事を。愛されるという事を。
人の愛を。
おそらくライミが絶賛したのはここだろう。
改変…と言うより、人は生まれ変われる。
スリラーであると同時に、前作とは思い切って変えた“父娘の物語”。
ラストの「フェニックス」も良かった。
(フェニックス役の少女、マデリン・グレイスの熱演と存在感は拾い物!)
…だけど、こんな事言ったら元も子もない無いけど、
やはりそれらの要素は一切排除して、前作のような恐怖のスリラー一本であって欲しかった。
だって、
今回息つく事出来たもん。