「強かなのはフェニックス」ドント・ブリーズ2 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
強かなのはフェニックス
前作は近所で、上映されなかった為未鑑賞の作品。しかしながら、SNSを通して、全米で随分反響を呼び、パート2である本作は、日本でも数多くの映画館で公開されることになった話題作。パート1を知っていれば、より面白さも倍増しただろう。そっさく、レンタルで借りて観たい。
前半は、嘗て、軍人であった盲目の老人が、マフィアが雇った傭兵達から一人の少女を守っていくストーリーかと思っていた。しかし、何故、マフィアが少女を狙うのかが疑問に感じながら、中盤に入り、その内容は様変わり。その理由が明らかになるどんでん返しネタが、作品中盤ですでに判明。ここから後半にかけては、一気に猟奇的な殺し合いが始まる。
少女と老人の関係は、前作の終わりから偶然に出会い、老人が亡くなった自分の娘への未練から、少女を連れ去り、8年もの間、本当の両親の存在を知らせずに、実の親子として育ててきた。その老人の少女に対する思いが、あまりに痛々しく、屈折した愛情表現が、哀れに描かれていく。逆に少女は老人からの監視を逃れ、何とか自由な生活を望んでおり、成長するに従い、老人と少女との思いの溝も深まっていく。
事件の舞台は、老人の一軒家から始まり、倉庫へと移動するものの、狭い範囲でのシーン。だからこそ、見慣れた自分の家に潜む闇や影の中から、傭兵達が狂気に満ちて、いつ、どんな形で、飛び出してくるのかという恐怖の描きた方は、クライム・サスペンスとしての一級品だと感じた。
盲目の老人と少女が、傭兵達から逃げ惑う中でどのように反撃するのかも、身近で武器になりそうなモノが、布石となって各所に映し出され、観る者を次のシーンへと想像を掻き立てるような演出も、サスペンスとしての鉄板と言える。
盲目の老人役のスティーブン・ラングのアクションは、なかなかの見ものだが、本当に盲目なのか疑ってしまい、やや出来過ぎなアクション・シーンだと感じた。また、その殺し方や倒し方は、ひとひねりあり、苦しさや痛みがよりリアルに伝わる効果を高めていた。
少女役のマデリン・グレイスは、老人から常々自分の身を守る術を伝授されていただけあり、傭兵達との修羅場の凌ぎ方も、冷静に切り抜けていく。そして、最後の一言「アイ・アム・フェニックス」に、彼女が老人から受け継いだ、生きる為の強かさが凝縮されていたと感じた。