スイング・ステート

劇場公開日:2021年9月17日

解説・あらすじ

共和党のドナルド・トランプと民主党のヒラリー・クリントンが争った米大統領選でトランプに敗北した民主党選挙参謀が、起死回生を狙って田舎の町長選挙で大波乱を巻き起こすさまを、スティーブ・カレル主演で描いたコメディ。ヒラリー・クリントンが敗北を喫した民主党の選挙参謀ゲイリー・ジマーは、農村部の票を取り戻す秘策として、YouTube動画で話題の退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐を田舎のディアラーケン町長選挙に立候補させる。大佐の娘ダイアナや住民のボランティアたちと地道な選挙活動がスタートするが、対立候補の現役町長ブラウンに、共和党がトランプの選挙参謀フェイス・ブルースターを送り込む。ディアラーケン町長選をめぐって、ゲイリー対フェイス、民主党対共和党の巨額を投じた代理戦争の幕が切って落とされた。監督・脚本は、16年間にわたり政治風刺コメディ番組「ザ・デイリー・ショー」の司会を務め、アカデミー賞でも2度司会を担当したジョン・スチュワート。

2020年製作/102分/G/アメリカ
原題または英題:Irresistible
配給:パルコ
劇場公開日:2021年9月17日

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映画レビュー

4.0 地方の町長選が民主党対共和党の代理戦争になる痛快風刺エンタメ

2021年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

知的

ブラッド・ピット率いる制作会社プランBは、アダム・マッケイ監督と組んで『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や『バイス』といった金融業界や政界を風刺する社会派エンタメを作ったが、この2作にも出演していたスティーブ・カレルを今度は主演に据え、地方選挙を題材にしつつもテイストの似た新作を送り込んできた。

カレルが演じる民主党の選挙参謀ゲイリーは、かつてヒラリーの大統領選を支えるもトランプの共和党陣営に敗れたという設定。その時の宿敵である共和党の選挙参謀フェイス(ローズ・バーン)と、ウィスコンシン州の小さな町の町長選で民主党対共和党の代理戦争を繰り広げるという話。ストーリー自体はフィクションだが、17年のジョージア州下院議員補選で55億円相当の選挙資金が投じられたことや、地方選挙の候補者たちがニューヨークに出てきて現地の金持ち(当然その地方の有権者ではない)を集めて資金調達イベントをしているといった事実を反映したという。

カレルとバーンはライバル同士を大真面目に演じているが、「そこまでやるか!」という、なりふり構わぬ戦いぶりで大いに笑わせる。ゲイリーが支援する町長選新人候補役のクリス・クーパーと、その娘役のマッケンジー・デイビスもいい味を出している。予想外の結末も悪くない。

メガホンをとったジョン・スチュワートは、長編監督としてはこれが2作目だが、政治風刺コメディ番組「ザ・デイリー・ショー」の脚本・副プロデューサー・司会を16年間務めた経歴を持ち、在任中のオバマ大統領にインタビューするなど大物政治家からも一目置かれている人物。日本でも近年、「新聞記者」や「パンケーキを毒見する」など、同時代の政治を風刺する映画の文化が育ちつつあるように感じるが、この「スイング・ステート」を観るとまだまだだと思う。“代理戦争”つながりで振り返ると、2019年の参院選広島選挙区で菅官房長官(当時)が推す新人の河井案里氏と岸田氏らが推す現職の戦いが「菅vs岸田」の代理戦争と騒がれ、のちに河井夫妻が大規模な買収に関わったとして選挙違反で逮捕された事件などは映画化のネタの宝庫だろうが、この事件を題材にした社会派エンタメが作られたらきっと面白いのにと期待しつつも難しいだろうなと考えてしまう。

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高森郁哉

3.0 民主、共和両党の選挙戦の小粒なパロディ

2025年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

スイング・ステートとは、米大統領選挙のたびに共和、民主のいずれが取るか揺れる州、激戦州を指すが、本作ではラストベルト内の工業・酪農地帯ウィスコンシン州が舞台となっている。

ここ3回の大統領選を振り返ると、この州は両党が取ったり取られたりを繰り返している。

〇2016年 オハイオ州・ウィスコンシン州・ペンシルベニア州・ミシガン州の民主党が比較的強かったいわゆるラストベルトとフロリダ州が勝敗の焦点となったが、共和党ドナルド・トランプがこれら全ての州で勝利した。

〇2020年 民主党ジョー・バイデンがミシガン州・ウィスコンシン州・ペンシルベニア州を奪還し、更に共和党の地盤である南部のアリゾナ州、ジョージア州で勝利し当選した。

〇2024年 共和党ドナルド・トランプが圧勝した。

本作はそれまで民主党が強かったのに、共和党にひっくり返されて負けた2016年大統領選の直後、民主党の選挙スタッフが巻き返しに出て、ウィスコンシン州の架空の都市の町長選を戦う姿をコミカルに描いたパロディ映画である。

ワシントンDCと田舎町のカルチャーの違いから笑わせ、次いでちっぽけな田舎町の選挙に、大掛かりな選挙運動を展開する民主党の必死さで笑わせる。
すると共和党も負けてはいられないと、腕利きの女性選挙スタッフを派遣し、両者は同じホテルの隣りあった部屋に宿泊してしのぎを削る。

いちばんの見せどころは、このライバルのいがみ合いにあり、「選挙に負けたら、1時間アソコを舐め続けなさい!」「お前こそしゃぶり続けろ!」と怒鳴り合う姿に、地元民は呆れて顔を見合わせる。

独身女性の多い地域に「町が避妊具を配布」との公約チラシをバラまいたら、そこは修道院のある地域だったとか、そのチョンボの結果、「ナン(修道女)の支持者はナン(ゼロ)だった」とか、いろいろ小ネタは仕込んでいるが…それが民主、共和の選挙戦の核心を突くパロディにまでは届いていない。
連邦議会のロビイストたちの謀略戦を描いた『女神の見えざる手』などを見た後では、こういうオママゴトではなかなか面白がれないのである。

これならいっそ、成功した実業家のイメージとは裏腹に、むしろ「お前はクビだ」のセリフが痛快なTV番組だけでのし上がったトランプとか、エリート臭がプンプンする嫌な女の典型だったヒラリーとかの実像を描いた方が、よほど面白いはずだが…ま、何人か死ぬかもしれませんww

ちなみに映画冒頭に流れるボブ・シーガー"Still The Same"は、連戦連勝のギャンブラーが昔も今も同じように勝ち続ける、という皮肉な曲である。

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徒然草枕

3.0 政治と金

2024年10月26日
Androidアプリから投稿
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rex

4.0 秀逸作品

2024年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑えるところも多く、選挙戦の闘い方を皮肉を含めながら見せてくれて楽しく観れました
主演のスティーブ・カレルを始めそれぞれのキャストも良かったです
スティーブ・カレルとローズ・バーンの小競り合いが何回も笑えました
選挙はどんな結果になるかと思っていたら、「やられたー」となる結末
そんな予想外の着地点でさらに楽しくなりました

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共感した! 4件)
小町