「「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」は、❝Don't think! Feel❞な作品?」ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」は、❝Don't think! Feel❞な作品?
「ジュラシック」シリーズは、「映画の公開年」と「劇中の時代設定」が同じになっている点が特徴としてあります。そのため、本作の舞台は、2022年の地球となっています。
絶滅した恐竜をバイオテクノロジーの進化によって蘇らせた1993年の「ジュラシック・パーク」から30年もの月日が流れています。
「ジュラシック」シリーズにおける究極的な問いかけは「人類と恐竜は共存し得るのか」ということでしょう。これの答えを探すべく「ジュラシック・ワールド」シリーズが生まれた面があります。
2015年の「ジュラシック・ワールド」は1993年の名作「ジュラシック・パーク」の精神を見事にアップグレードしていて、映像センスや脚本も非常に出来が良かったと思います。
ただ、2018年の「ジュラシック・ワールド 炎の王国」は、やや失速した感がありました。
そのため「ジュラシック・ワールド」シリーズ最終章の本作に期待していましたが、結論から言うと、前作での失速はカバーできなかったという印象でした。
本作では「ジュラシック・パーク」からの30年間を総括するような意味合いもあり、一部の「ジュラシック・パーク」シリーズ出演者が合流します。結果的に、ここが足を引っ張った面も感じました。
要素が多いほど、尺の問題が出てしまいます。
それもあってか、本来は重要であるはずの「巨大バイオテクノロジー企業」が、旧メンバーらのために❝取ってつけたような企業❞と化していました。
元々「ジュラシック・パーク」は、バイオテクノロジーの進化を描き壮大な物語を繰り広げてきた作品です。
そのため、当時より遥かにテクノロジーが進んだ現代の「巨大バイオテクノロジー企業」は、より強固な存在でなければ不自然となります。
ところが「犯人は●に違いない」→「あ、旧友が●で働いている」という感じで同窓会のため用意されたような存在で、セキュリティー管理から何までギャグシーンかのように❝異空間❞でした。
最終章ということで、いろいろと詰め込み過ぎた反動が如実に表れています。
これであれば、2部作に分けてでも緻密に描き、作風の統一をしてほしかったのが残念な点です。
そのため本作は「大迫力な恐竜映画」として「深く考えずに、感じる作品」ととらえて見るのが正解では、と思います。
そう割り切ると、1993年の「ジュラシック・パーク」、2015年の「ジュラシック・ワールド」と、始まりはどちらも壮大で映像表現も素晴らしかったです。
この“生きた恐竜”は、本作でも間違いなく存在し、映像のクオリティーは素晴らしく、映画業界に大きな進化をもたらした功績を評価したいです。