「52分。3日間で撮った映画。物足りなさは全く感じない」その日、カレーライスができるまで ゆっきーさんの映画レビュー(感想・評価)
52分。3日間で撮った映画。物足りなさは全く感じない
リリー・フランキー。
ラジオ。
失踪した妻。
そして3日煮込んだカレーライス。
面白くないわけがない。
妻
亡くなった息子
大雨の夜、何度も停電する。
押入れから、ドスンと何やら怖い音が…。
主人公がその時手に持った『武器』の新聞紙にクスッと笑ってしまった。
『何ですかあー?!』ってビビリながら精一杯の声を出し、勇気を振り絞って押入れを開ける。
面白いつかみ。
習慣の育毛剤も、もう誰も自分の薄毛など気にする人もいないと捨ててしまう。
何度も息子さんの遺影が倒れる。最初は偶然か?と思っていたが、どうも偶然ではないらしい。
私も家人との間で似たような不思議な体験を、ごく最近したことがある。
息子さんに、写真ごしに静かに語りかける。
人生が何もかもうまくいかない時は、長く生きていると結構あります。
そして良いこと、悪いこと、どちらも長く続かない。人生は。
最中にいる時はとてつもなく長く長く感じるけれど…。
お父さんは確かにお金は無かったかもしれない。
でも、二人を懐う真心だけは誰にも負けてないと感じました。
全く同じ境遇の子供さんが、多分外国で手術を受けることになったようだ。
雨の丸い円と、
音楽が途中からポワワ〜んと歪み、少しだけあったかい音になってくる。
主人公の気持ちも段々ほぐされてゆく。
主人公のカレーは、後でホロホロになるブロックの牛肉、途中で投入される市販のルウ。そして隠し味はハチ蜜。
やっぱり同じラジオを聴いていた奥さん。
奥さんとの声だけのやり取り。
ちゃんとした服に着替えて、髪を整え、まだ湯気の出ているカレーライスを三人分テーブルに用意したその時…。
うちの地方も5日間雨続きだった。久しぶりに雨あがる。
息子さんの遺影を持ち、3日ぶりに晴れた夕陽を一緒に見た。。
主人公の顔も明るく晴れていた。
ラジオ好きな人に悪い人は居ない。特に普段はサイレント・リスナーな人。ワタシの持論ですが。笑
リリー・フランキーの一人芝居。
52分が全然物足りなく感じない。
主題歌もとても良い。
素晴らしかった。
斎藤工さん、ほか映画に関わったスタッフの方、皆さんエールを!