オールドのレビュー・感想・評価
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宿命の恐怖とどんでん返し
現実にはあり得ない異常な密室空間では、人間がどんな反応を示すのかが想像できない。 映画では、監督と役者の想像力であえてそれを表現するわけだが、これが過剰であったりわざとらしく見えてしまうことが多い。
この作品でも、異常な状況に対する登場人物のリアクションには、少し違和感を覚えた。
密室劇というのは、(特に日本のドラマや映画では)ほとんどの場合白けてしまい、物語に入り込めなくなるのである。 この作品でも、登場人物たちの身に起こり始める異常な老化、そして、そこから生じる人間関係の軋轢に対する各人のリアクションが大げさに映る。 あれが欧米人の感情表現なのだろうが、私には、不自然に見えてしまった。
もちろん、異常空間での密室劇に、100%納得できるリアリティを求めるつもりはない。 この作品に関しては、後半からが面白い。 そこは、シャラマン監督の力量なのだろう。 些細な点は気にならないぐらい、途中からは物語の展開に見入ってしまった。
この作品の怖さの核になっているのは、異常な速度で進む老化だ。 つまり、誰もが背負う宿命に対する恐怖である。 時間の進む速度に関係なく、我々は確実に老いる。 そして、来るべき死の宿命に従わなければならない。 だから、登場人物たちが短時間のうちに経験する人間の宿命の一部始終を見て、人生の儚さ、虚しさ、愛おしさを追体験すると同時に、リアルな恐怖を感じるのだ。
そして、もうひとつ。 逃れられない運命の絶望感を観客に味あわせながら、終盤に、それとは別のどんでん返しの恐怖を打ち出してくる。 同監督一流のテクニックだ。 最後に明かされるのは、異常な老化を引き起こしている原因だが、 大変現実的で、なおかつ現代的な問題でもある。 現在の世界を取り巻く感染問題への、映画的皮肉表現といった風にも見えた。
シャラマン監督のセンスを感じる佳作だ。 次回作にも期待したい。
OLD
名前はシャマラン、職業は映像を撮る人
歳はゆっくりとりたい
一番怖いのは人間
受け取れる年金額が割に合わない
恐怖がじわじわと伝わって来ました
大筋は面白かった
あらすじ読んで観に行ったので冒頭から匂わせるなぁとワクワクしながら観れました。
ちゃんとワクワクポイントは回収してくれたので、設定の矛盾はちょっと気になりつつも個人的には許容範囲。
脱出の糸口はもっとちゃんとしても良かったかなって印象。なるほどねー!みたいな気持ちよさはないけど不穏な空気が楽しめたので大まかな流れとしては面白かったです。
中盤、子供の性知識のままやらかして妊娠出産~の経緯から含む不穏さのまま無情なオチでも良かったのにラストでポジティブな展開に持っていくのはスッキリした気持ちで映画館を出れたのでエンタメ性もしっかりあって気持ちよかったです。
カーラの「行動しないまま老いるのか」だったり夫婦が満足げに息を引き取るところだったり、刻々と進む時間に人生の縮図を感じました。
ネタバレ込の最後のほうなんですけど、
姉弟が生還してホテルを糾弾する場面のピント外れた背景のなかで、腰掛けてた少年が立ち上がってこちらに腕組んで眺めてたところとカクテル渡してたお姉さんが呆然としてるアップのカットがなんだか印象に残っちゃってるんですけど特に深い意味はないんですかね。額面通り受け取っていいのかな。
同監督の作品はシックスセンスしか観てないので深読みしてしまいました。
面白かったです。
なかなかの締め方
この監督の作品は初めて観るかもしれません。
海岸に巨大なセットを作ったそうで、興味津々で鑑賞です。
ホラーなんでしょうかねー?どうなんだろ?
ひえー!な感じはあんまりなかったんで。
本作はホラーテイストの寓話かな?って思います。
まず、こんな設定よく思いつくよなーって感心します。
ただただ、人の営みを描いてるだけなのに、
時間軸をいじるとこんなにも恐ろしく迫ってくるなんて。
そう考えれば人生はなかなかのイベントだらけなんだなぁとつくづく思いましたね。意図しない、想像してないイベントは恐怖でしかないですもん。でも予期せぬイベントだからこその人生。その時々で考え判断して行動し、喜んだり後悔したり。
喜怒哀楽と共に過ごす人生を誰とどう過ごすのか?を考えさせられる作品ですね。
さらに、お話の終わり方も秀逸。なるほど!です。
あと、ムービーウォッチメンで宇多丸さんが、監督が演じている役所の秀逸な考察をされてました。これまた、なるほどなーと。確かにそう言えるよなーって。
派手さはないけど、十分楽しめる作品でした。
タイトルなし(ネタバレ)
- 設定詰めて欲しかった,破綻してると入り込めないので
- トレントが成長してカラを妊娠させちゃうの,考えなしな所が精神は未熟なままであるみたいでよかった(逆を言えばマドックスがやたら肉体に一致した精神だったの納得いかない)
期待をきっちり裏切らない。
期待を、きっちり裏切らない。
コロナ禍において、
ビーチで少人数の撮影、治験というテーマに、
監督の映画への熱と役割を感じた。
夫婦が老いとともにお互いを許し、
いまを受け入れようとするのは印象的だった。
冒頭の「大人になったらね」的な会話とか、
名前と職業を覚えたりとか、
布石の回収たるや。
単なるスリラーでなく、
家族愛だとか、多数の幸福のための少数の犠牲だとか、
様々なサイドテーマが厚みを出している。
・・・
ラストは、無事帰還、通報。ヘリから件のビーチを眺め、カメラが下方にずれて海を映しておわり。
意表を突く展開
珍しくシャラマンのオリジナル脚本ではなく、原作があるとのこと。しかしこれがシャラマン監督の作風に見事にはまった。
アイデアの面白さだけで突っ走り、ただの不条理な世界として終わってしまわないかとヒヤヒヤもしたが、ネタ明かしに驚き&納得&すっきり。village程ではないが、意表を突く展開だった。過去作品を振り返れば、シャラマンの映画はきちんとオチがあるから好き。
友達のいない少年、暗号ごっこ、ウェルカムドリンクなどなど、伏線回収もばっちり。
公開のタイミングなどは偶然かもしれないが、この時期にこの黒幕とはね。明確な目的に与える大義名分、都合のいい「正義」には危険が付き物。
巻き添えをくう家族の一部、特に子供にとっては時=人生そのものを失うことになり、たまったもんじゃない。自由というのは、人生に選択肢があるということ。それを同意もなく奪うことは、極刑に値すると怒りを覚えた。
老化が速く進んでしまうことのメリットとデメリットもたっぷり描いていて、ネズミやセミなど短命な動物の一生も、こんな風にめまぐるしいものなんだろうなと思いを馳せたりもした。
このビーチ、老化が速いだけなのなら、あくまでそこで過ごす1時間は1時間でしかないはず。なので精神的に成熟していくことにはやや疑問を感じたが、経験値や知識は増えてはいないので、整合性はあると捉えてもいいのだろう。砂の城、作ってる場合か!
ホラー的要素を加味したかったのか、エクソシストへのオマージュを込めたような描写もあったが、そこまでしなくても…と多少の同情は禁じ得なかった。
ラストの回想が冗長な気もしたが、多くの人が納得する結末だろう。怖いのはビーチより人間、ですね。
それにしてもシャラマン監督、回を重ねるごとに出演時間のびてない?
どんな風に落とし込んで行くのか
シャラマン復活ならず
テーマが悪すぎる。一日で置いていく話でそれだけでは面白くないから出産とか色々なエピソード入れてるけど話が早すぎる。観客が映画にルールを飲み込まないうちに話が進むのでついて行けない。手術シーンも各キャラクターが分かってないのにいきなり外科医だから手術しますってならないだろう。このあたりからもう映画に乗れなくなる。
ラストももう少し製薬会社を悪にしないと、結局暴かれない方が世の中のためになるじゃんって思ってしまう。
そのあたりがつまらなくしている要素だと思う。
お好みから選んだ、歓迎カクテルです。
ビーチに着くまでのすべてのセリフがフラグ。そこからがらりと様子が変わる。
ビーチを訪れた数組の家族。大人たちの職業が、この映画の設定を語る代弁者になっているのはうまい。(例えば、博物館の学芸員が白骨化した時間からこのビーチの時間の流れの速さを計算したりとか、医者や看護師がいたりとか、)
個人的に極度の怖がりなのでホラーはほぼ観ないのだけど、シャラマンが監督なので、怖がらせ一辺倒ではないだろうと期待したが、はたしてその通り。なるほど、そういう会社が彼らの目的のために、この特異なビーチを利用してたのか。実に巧妙な仕掛けだ。おまけに、彼らなりの(司法では許されませんよ)理屈もある。だから最後、そういうラスト。でもすっきりとはしない。犠牲者がいるからね。ただ、ある友情から生まれた信頼が残った。それだけでも、善しとしよう。
この先しばらくは、波の音を聞いただけで、閉ざされた気分になりそうだが。
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