「せっかく舞台設定は面白いのに、突っ込み所やご都合主義が多すぎるのが残念」オールド Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
せっかく舞台設定は面白いのに、突っ込み所やご都合主義が多すぎるのが残念
特殊な岩のせいで生体の細胞分裂がめちゃくちゃ早くなる入り江に閉じ込められ、一日で何十年もの歳を取ってしまうと言うサスペンスホラー。
現実世界の何処かにギリありそうな舞台設定で、なかなか先が気になる内容だけど、そこで起こる現象の描写や設定そのものは雑。
まず肉体は成長(老化)していくのに、何故か髪の毛や爪は伸びない。その理由が「髪の毛は死んだ細胞だから」とかいう意味不明な理由。いや毛根は生きてるだろ(笑)。単に何十年分ものスピードで髪や爪が伸び続ける描写が面倒だったのと、やったらやったで滑稽なシーンになりそうだからだろう。また、五~六歳くらいの子供が、わずか数時間で肉体はともかく、思考まで大人のようなレベルを獲得するのもご都合主義。腫瘍の摘出シーンにしても傷が早く治るのは良いとして、麻酔なしで腹を切り開いたり、雑菌の感染や増殖に関しては完全に無視。単に傷が早く治るシーンを見せたかっただけで、リアリティがかなり犠牲にされているなという印象。
オチの「一日で治験が出来るから」という理由で、今まで何百人も犠牲にしてきたというのも無理がある。単に早く新薬の結果が分かるというだけの理由で、普通の会社員が全員グルになって何の罪も無い人たちを犠牲にしている感覚がおかし過ぎて、返ってリアリティが感じられない。これなら凶悪犯罪者や死刑囚を集めての非合法実験とかならまだ納得感もあったのに、何で一般人?そもそも治験は早けりゃ良い訳でもあるまい。逆にこんな特殊な環境下での治験だと、普通の状況では生じない副作用などがあり得そうなのに、その危険性も無視。
また、こんなに行方不明者が出ているのに、このホテルに旅行に来ていた事を犠牲者の関係者全員に隠し通すのも無理がある。天涯孤独の無職でもなければ、身内や友人、会社の同僚などに旅行に行く事を伝えてるだろうし、単に携帯やパソコンを処分すりゃ誰にも気づかれずにOKって事にはならないだろ。
誰が、何の目的でこんな事をしているのかという興味で最後までは見れたものの、ちょっと突っ込み所やご都合主義が多く、勧善懲悪が果たされても後味は悪いラストだった。