劇場公開日 2021年8月27日

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「水準以上の出来栄えで満足」オールド 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0水準以上の出来栄えで満足

2022年6月27日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
劇場公開時には、その存在すら知らなかった作品。
動画配信が可能となり、なかなか評判も高そうなので、鑑賞することに。

【率直な感想】
<どうしても期待してしまう、特殊な監督>
ナイト・シャマラン監督と言えば、「シックス・センス」で有名。
あの作品を観てしまうと、彼の作品を追いかけたくなってしまうというのは、分かっていただけるかと。
でも、あの作品を超えるものには、出会うことができないのが現実。
本作品も、残念ながら、あの作品を超えることは出来なかったけれど、それなりに楽しめる作品に仕上がっていたと、感じています。

<設定の面白さ>
なにしろ、「高速で老化」という設定が面白いですね。
普通の時間より遅く年をとるというのは、昔のSF映画にはよくありました。
例えば、「猿の惑星」(1968年)では、光速宇宙船で半年の人工冬眠をしていたら、地球時間での約2000年が経過していた、というのが物語の発端。
それが本作品はその逆で、しかも、「老化」の速度が恐ろしく速く、主人公たちがやってきたビーチでは、1日いるだけで、およそ50年の時が経ってしまうという、高スピード。
この設定から、登場人物たちには、普通の空間ではあり得ない出来事が連続し、ビーチという限られた空間の中でのお話なのに、観客を飽きさせることのない展開が待っていました。

<スリラーとして高評価>
スリラーも、ミステリの一種なので、伏線の張り方と、その回収が優れていれば、それだけ評価が高くなるかと思います。
「シックス・センス」ほどではないにせよ、きちんと伏線が張られていて、ラストになってくると、あのシーンはこういう意味か、と納得させられました。
物語に仕掛けられた「真相」の衝撃度はそれほどではないけれど、巧い伏線のお陰で、「そういうお話か」と、満足のいく「真相」が待っていたのも、嬉しかったです。

<監督の出演>
ナイト・シャマラン監督は、しばしば、自分の作品に、いわゆる「カメオ出演」するので、私は、その辺りも楽しみに鑑賞を始めたのですが、この登場シーンに驚き。
南国リゾートのホテルに滞在する登場人物たちは、バンタイプの車でビーチに向かうのですが、その運転手が、ナイト・シャマラン監督なのです。
ビーチの入口の金網には、「立入禁止」とあり、運転手は、ビーチを囲む峡谷の手前で、夕方迎えにくるからと、去って行く。
さて、物語が展開し、このビーチが高速で老化する場所であることが明らかとなり、容易に脱出できないとなると、運転手のことが気になりました。
あの運転手は、このビーチが「立入禁止」となっている理由が、「高速で老化」ということを知っていたことは間違いない。
つまり、この物語の「真相」に繋がるビーチの秘密を知っているキーパーソンなのだと。
こうなると、「カメオ出演」どころではないですね。
ここで面白い作品構造に気づきます。
現実世界で、ナイト・シャマラン監督は、物語の「真相」を知る人物。
そして、虚構の世界でも、「真相」そのものかどうかまでは分からないけど、「真相」に近い位置にいる人物。
この二重構造のおかげで、ラストへ向けて、ワクワクしながら鑑賞できました。

【全体評価】
今回も「シックス・センス」は超えられなかったけど、それは想定内のことでしたので、低評価はしません。
むしろ、「シックス・センス」の監督という看板を背負っていない、無名監督の作品であれば、相当に評価の高い作品になっていたような気がするのです。
つまり、スリラー映画として、水準以上の出来栄えであったことは言えるのではないか、と感じています。

悶
LaLaさんのコメント
2022年7月20日

悶さん 、こんばんは
レビューしてなかったので
投稿できました(^^ゞ

>「高速で老化」という設定が面白い
本当にびっくりしました。

>監督の「カメオ出演」
セリフもあるし しっかり配役でしたね。

怖いシーンもありましたが
ラストは、暴露できて良かったです。

エンドロールの曲もGoodでした。

LaLa
赤ヒゲさんのコメント
2022年7月3日

悶様

こんにちは。
偶然にも1日違いで今作を観賞していたようで、ビックリでした(笑)。

>本作品も、残念ながら、あの作品を超えることは出来なかったけれど、それなりに楽しめる作品に仕上がっていたと、感じています。

私も、悶さんと同じような感想でした。
どうしても「シックスセンス」(99)の完成度、カタルシスが強烈すぎて、ハードルが上がってしまいますよね(苦笑)。私の場合、DVDを選択するのと実際に借りるときをずらしていて、できるだけ先入観なしで観るようにしているので、幸運なことに今作もN・シャラマン監督作品ということをすっかり忘れていました。それ故、監督のカメオ出演も後でわかった次第です(笑)。

>物語に仕掛けられた「真相」の衝撃度はそれほどではないけれど、巧い伏線のお陰で、「そういうお話か」と、満足のいく「真相」が待っていたのも、嬉しかったです。

まさにそのとおりで、最後の「真相」を知って、がぜん面白みを感じました。「MINAMATA~ミナマタ」(20)でも、「工場が生み出す莫大な利益からみれば、被害者はppmレベルにすぎない」という台詞がありましたが、実際のところ、ありそうな怖さを感じます(汗;)。

赤ヒゲでした。

赤ヒゲ