「意表を突く展開」オールド REXさんの映画レビュー(感想・評価)
意表を突く展開
珍しくシャラマンのオリジナル脚本ではなく、原作があるとのこと。しかしこれがシャラマン監督の作風に見事にはまった。
アイデアの面白さだけで突っ走り、ただの不条理な世界として終わってしまわないかとヒヤヒヤもしたが、ネタ明かしに驚き&納得&すっきり。village程ではないが、意表を突く展開だった。過去作品を振り返れば、シャラマンの映画はきちんとオチがあるから好き。
友達のいない少年、暗号ごっこ、ウェルカムドリンクなどなど、伏線回収もばっちり。
公開のタイミングなどは偶然かもしれないが、この時期にこの黒幕とはね。明確な目的に与える大義名分、都合のいい「正義」には危険が付き物。
巻き添えをくう家族の一部、特に子供にとっては時=人生そのものを失うことになり、たまったもんじゃない。自由というのは、人生に選択肢があるということ。それを同意もなく奪うことは、極刑に値すると怒りを覚えた。
老化が速く進んでしまうことのメリットとデメリットもたっぷり描いていて、ネズミやセミなど短命な動物の一生も、こんな風にめまぐるしいものなんだろうなと思いを馳せたりもした。
このビーチ、老化が速いだけなのなら、あくまでそこで過ごす1時間は1時間でしかないはず。なので精神的に成熟していくことにはやや疑問を感じたが、経験値や知識は増えてはいないので、整合性はあると捉えてもいいのだろう。砂の城、作ってる場合か!
ホラー的要素を加味したかったのか、エクソシストへのオマージュを込めたような描写もあったが、そこまでしなくても…と多少の同情は禁じ得なかった。
ラストの回想が冗長な気もしたが、多くの人が納得する結末だろう。怖いのはビーチより人間、ですね。
それにしてもシャラマン監督、回を重ねるごとに出演時間のびてない?